今回は、イギリスのジントニックを紹介してきます。

①ビーフィーター

ロンドン塔の看守の名前が冠されたジン。


ビーフィーターとは「ビーフ(beef)」と「食べる(eat)」が組み合わさった言葉で、かつてロンドン塔の看守の給金に当時一般的でなかった「牛肉」が含まれていたため、「牛を食べるもの(ビーフィーター)」※1の名前が付いたそうな。更に、看守の屈強なイメージがこのジンの味わいに合うと考えられ、「ビーフィーター(牛喰い)」の名前がこのジントニックに冠されたようだ。そのため、ラベルには看守のイラストが描かれている。


トウモロコシと大麦から蒸留した蒸留酒をベースにして、ジュニパー・ベリーやコリアンダーなどで風味付け成されていて(オレンジやレモンの皮の香りも強い)、成分浸透のためアルコール度数は最低40%以上で製品化される。


芳醇な香りが特徴的だが、癖が少なく、ジントニックの中ではかなりストレートでも飲みやすい分類に含まれると思う。イギリスの世界No.1のジンに「ボンベイ サファイア」があるが、ビーフィーターの方が個人的には癖が少なく、飲みやすいと思う。でも、「ビーフィーター」にしろ「ボンベイ サファイア」にしろ非常に複雑で強烈な芳醇な香りが酷似しているため、飲み比べてみるとよいかもしれない。


このジントニックの開発者は坂本竜馬世代ともいえる1835年に生まれた薬剤師で、1863年に蒸留所が設立され、1876年にこのジントニックが誕生している。ヴィクトリア時代後期にできた今でもロンドンで蒸留している珍しいジン。


※1…衛兵隊の正式名は、「ヨーマン・ウォーダーズ」であり、「ヨーマン」とは独立自営農民のことを示していて、その独立自営農民が有事のとき国民義勇軍として馳せ参じたため、1485年にイングランド国王ヘンリー7世が正式にロンドン塔の看守として設立したのが始まりのよう。この100年後にはロンドンの都市化が進むので、封建時代の名残とも言える。

②ボンベイ・サファイア

イングランドの有名なジンのブランドの一つ。

 ボンベイの名は、英国統治下のインドでジンが人気を博したことと、マラリア防止のために飲まれていたキニーネを大量に含むトニックウォーターの人気が重なって、トニックウォーター(※)にジンを加えて飲むようになったため、都市の名である「ボンベイ」をとったもの。そして、それをチェシャ―州ボンベイスピリッツ社が1987年に改めて製品化したもの。

 伝統的な原材料ジュニパーベリー(ジンの語源でもある)に加え、9つの香料と植物が加えられています。さらに蒸留の蒸気をハーブやスパイスに通すため薫り高いジンに仕上がっています(ヴェーパー・イフュージョン製法)。 

 更にアルコール自体を作るベースとしてはスコットランドで作られた穀物のみを使用し、最後に加える水は英国ウェールズのヴェルヌイ湖を水源としています。 

 瓶はヴィクトリア女王の肖像があしらわれ、イギリスの伝統とこだわりが感じられます。 

 ただ、クセになるとロックとかが良いのだと思いますが、最初はカクテルなどで飲むことをオススメします。ベルモットと混ぜたドライ・マティーニにしてよくこの「ボンベイ・サファイア」は飲まれるようです。


※トニックウォーター:炭酸水に各種の香草類や柑橘類の果皮のエキス、および糖分を加えて調製した清涼飲料水。もともと熱帯地方の英国植民地でマラリア防止のため飲まれるようになり、当時はマラリア防止に有効なキニーネが大量に含まれていた(それが独特の苦みになり人気になった)。基本的な解説はwiki参照

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