【目次】
1章:インドネシアの珈琲
 1.インドネシアと珈琲
  【歴史】
 2.スマトラ島のアラビカ種の珈琲
  [マンデリンとガヨの比較]
 3.アチェ地区のガヨコーヒー
2章:珈琲産地・豆・抽出法による味への影響
 1.育て方と味への影響
  ●コーヒーと標高の関係
  ●シェードツリー
 2.コーヒーの豆と焙煎・挽き方の味への影響
  ■コーヒー豆の種類■
  ■コーヒー豆の焙煎と挽き方■
 3.コーヒーの作り方と味への影響
 【ハンドドリップ】
 【コーヒーサイフォン】
 【エアロプレス】
 【フレンチプレス】
 【水出し珈琲】
 【エスプレッソ】
2024年9月6日付近に調べた内容をまとめる。

2ヵ月前くらいにガヨコーヒーを飲み、感銘を受けたので調べて執筆しました。

 インドネシアの珈琲は、17世紀初頭にオランダの東インド会社がエチオピアで採られモカ港で独占されていたコーヒーの貿易を代行して、インドやインドネシアに転売する事から始まりました。次第に、オランダはインドネシアでプランテーションを築きコーヒーを育てるべく、アラビカ種のコーヒーをインドネシアに持ち込みました。それから長らくオランダによるインドネシアの珈琲はアラビカ種がメインでヨーロッパやアメリカの市場を席巻していきます。しかし、20世紀初頭にさび病が発生し多くのアラビカ種は失われ、ロブスタ種がインドネシアのメインになりました。

 しかし、少数ながら残ったインドネシアのアラビカ種はブランド化され、マンデリンやガヨコーヒーとして残りました。

 マンデリンは前から飲んでいて気に入っていたのですが、今回ガヨコーヒーを飲んでみてこちらも美味しかったです(カフェラテでもオススメ)。アラビカ種は基本的に酸味は強めが多いのですが、インドネシアのマンデリンやガヨは酸味が弱めなのが特長(スマトラ式などの処理方法が影響)。

 昔は重厚で苦みばかりにこだわっていたのでマンデリンばかりでしたが、華やかなガヨコーヒーも好きになりました。

※イラストは、最近喜多川歌麿の茶を持つ女性の日本画を引用して描きました。もともと2年前くらいから日本画な興味を持っていたのですが、江戸後期から明治初期の日本画が好きになり、さらに書にも興味を持ち始めたことが関係しています。

1章:インドネシアの珈琲

1.インドネシアと珈琲

■産地と珈琲■

●コーヒーベルト

赤道を挟んで北緯25度から南緯25度の間に位置するベルト状の地帯です。

●インドネシアの珈琲

 世界第4位のコーヒー生産国。

 ロブスタ種90%以上を占め、強い苦味と控えめな香りが特徴。

 アラビカ種は生産量は10%以下で、高品質で酸味と甘さを含むコク深い味わいが魅力的です。

スマトラ島(西側の細長い島)とスラウェシ島(東側の島)が主要な産地です。

 コーヒー豆の等級は、G1~G5など欠点豆の数で評価。

【歴史】

➀オランダ統治とインドネシアのコーヒー

オランダは1568年から八十年戦争でスペインに対して起こしていて、1609年から1621年は休戦中だった(1609年朱印状による交易を認められたマウリッツ公が参加した戦いである1625年のベラスケスのブレタ開城(スペインの勝利)など、1648年ウェストファリア条約で終結)。

1602年オランダ東インド会社設立。

1619年にはジャワ島のバタヴィア(現在のジャカルタ)を拠点として、東南アジアでの貿易の中心地とする。

1623年アンボイナ事件で、イギリスとオランダの衝突が起こり、結果イギリスは東南アジアを撤退しインドへの注力。

オランダはアンボイナ事件などでイギリスを東南アジア(スペインはそれ以前から撤退しつつあった)から撤退させることで独占的に香辛料貿易を中心とした植民地として東インド会社をジャワ島に設立していた(イギリスはインドに専念)。オランダがプロテスタントであったことや東南アジアで独占的にあったことが鎖国後の日本がオランダと外交を結んでいた一つの要因でもあった。

17世紀前半までコーヒーの供給源はイエメンのモカ港を中心としたものだった。またインド、インドネシアといった他のイスラム圏の地域にコーヒーの知識と習慣が広がっていて、オランダはモカ港からインドやインドネシアに海上輸送する活躍をしていた(このころはオランダ本国での国内需要よりも東南アジア中心だった)。

1642年、オランダ東インド会社が3万2000キロのコーヒーをインドのカルカッタに搬入している。この年はニュートンの生年で、10年度にはイギリスでコーヒー・ハウスが登場(モカのコーヒーがアムステルダムに定期的に輸入されるようになったのは1663年)。

1658年、セイロンでコーヒー・プランテーションの最初の試み。

1680年、バタヴィア総督ファン・ホルンがジャワにコーヒーを栽培する計画をたて、モカからコーヒーの苗木を取り寄せた。香辛料の島はコーヒーも繁茂させることになったのである。これがジャワ・コーヒーで、バタヴィアからアムステルダムへ産地直送。

1696年オランダ東インド会社がジャワ島にアラビカ種のコーヒーは苗を持ち込んだ事から。

1712年、バタヴィアからアムステルダムへのコーヒー・プランテーションによるコーヒーの最初の船荷、894ポンドのコーヒーがアムステルダムとミッデルブルクで競りに出された。アラビア商人の介在しない「植民地コーヒー」の誕生である。

 オランダの統治下で、ジャワ島でのアラビカ種コーヒーの栽培が発展しました。ジャワコーヒーは「オランダ王室御用達」として高い評価を受けるようになりました。オランダは厳格な品質管理システムを導入し、高品質なアラビカ種コーヒーの生産を促進しました。オランダの貿易ネットワークを通じて、インドネシア産のアラビカ種コーヒーが世界中に広まりました。現在でも、インドネシアの一部の高品質アラビカ種コーヒー(例:ジャワ・アラビカ)は、オランダ時代の栽培・加工技術の影響を受けています。

 1799年に東インド会社が解散した後も、オランダ政府による直轄統治(~1949年)。

 1855年には1億7000万ポンドという収穫を記録し、ヨーロッパとアメリカ合衆国の市場を席巻する。

②さび病による影響

 1908年にインドネシアで、コーヒーさび病が大流行しました。この病気の流行により、インドネシアのコーヒー生産に壊滅的な被害をもたらしました。特にアラビカ種のコーヒーノキがこの病気に弱く、大きな被害を受けました。この流行をきっかけに、病気に強いロブスタ種の栽培が増加しました。現在ではインドネシアのコーヒー生産の約90%がロブスタ種となっています。

 このさび病の流行でもともと栽培していたマンデリンは辛うじて生き残ったアラビカ種をもとに栽培を続け品質が認められ、世界的に高級銘柄として知られるようになりました。

 インドネシアは1949年に独立している。

※1…『コーヒーが廻り世界史が廻る』臼井隆一・中公新書1992.10

2.スマトラ島のアラビカ種の珈琲

【スマトラ島】

スマトラ島は火山性の肥沃な土壌と昼夜の寒暖差が大きい高地で、コーヒー栽培に適した環境が整っています。

 スマトラ島のアラビカ種の珈琲は、マンデリン、ガヨなどが有名。ンドネシアのアラビカ種コーヒーは、他の産地(例えばケニアやエチオピア)と比較すると、一般的に酸味が強くないと言えます。

 ガヨは、以前はマンデリンとして扱われていた時期もありましたが、現在は独特の風味を持ち独立した産地として認識されています。

 マンデリンはアチェ州と北スマトラ州で生産されており、アチェ州のものはスッキリとした味わいが特長です。

 北スマトラ州のものは力強い苦味と重厚なコクが特徴で、マンデリンの一般的特徴を反映している。

 スマトラ島では、独特の「スマトラ式(ギリン・バサ)」と呼ばれる精製方法が用いられています。この方法では、コーヒーチェリーの果肉を除去した後、粘液質を残したまま予備乾燥を行い、その後さらに乾燥させることで、独特の風味を持つコーヒーが生産されます。伝統的に「スマトラ式」と呼ばれる独特の半水洗式処理が多く用いられます。伝統的に「スマトラ式」と呼ばれる半水洗式処理が多く用いられ、これにより酸味が抑えられる傾向があります。

[マンデリンとガヨの比較]

➀産地:

マンデリン: インドネシアのスマトラ島北部全般を指します。主に北スマトラ州で生産されます。

ガヨ: アチェ州のガヨ地区で栽培されるコーヒーを指します。アチェ州はスマトラ島の最北部に位置しています。

②味わいの特徴:

マンデリン: 重厚なボディ感、強い苦味、土やハーブのような風味が特徴です。

ガヨ: マンデリンに比べてよりスッキリとした味わいで、酸味がやや強く、フルーティーな香りがあります。

③歴史的背景:

ガヨは以前はマンデリンとして扱われていた時期もありましたが、現在は独立した産地として認識されています。

④栽培環境:

ガヨ地区は標高が高く(1100〜1900m)、火山性土壌が豊かで、コーヒー栽培に適した環境です。

これにより、ガヨコーヒーは独特の風味プロファイルを持つようになりました。

⑤精製方法:

マンデリンは伝統的に「スマトラ式」と呼ばれる独特の半水洗式処理が多く用いられます。伝統的に「スマトラ式」と呼ばれる半水洗式処理が多く用いられ、これにより酸味が抑えられる傾向があります。またスマトラ式により、ハーブやタバコ、土のようなフレーバーを持ち、深いコクと上品な味わいが楽しめます。

ガヨでも同様の方法が使われますが、近年ではウォッシュドやハニープロセスなど、他の精製方法も取り入れられています。

3.アチェ地区のガヨコーヒー

【アチェ・ガヨコーヒー(インドネシア)】

 インドネシアのスマトラ島(北側のアチェ州ガヨ地区のガヨマウンテン)で育てられるアラビカ種のコーヒーの一つです。

 スマトラ島アチェ州のガヨ地区で栽培される希少なアラビカ種のコーヒーです。

 スマトラ島アチェ州で他に有名なのはマンデリンコーヒーがあります。というのも、ガヨは以前はマンデリンとして扱われていた時期もありましたが、現在は独特の風味を持ち独立した産地として認識されています。

 フローラルな香りと甘みが特徴で、しっかりとしたコクがありながらもまろやかな風味を持っているます。また、ナッツやバターのような風味も評価されており、酸味は非常に低く、甘みが高いことが特徴です。

 インドネシアのアラビカ種のコーヒーは酸味が控えめがあることが多く、マンデリンもガヨも酸味が低いです。比較するとガヨはマンデリンに比べてやや酸味が強く、フルーティーな香りがあります。

 

アチェ州の標高約1650mで生育されています。通常、高地で栽培されたコーヒーは高い酸味を持つ傾向がありますが、ガヨコーヒーはこの一般則に当てはまりません。ガヨコーヒーの低い酸味は、単に標高だけでなく、品種、土壌、加工方法、気候条件など、複数の要因が組み合わさった結果と考えられます。これらの要因が相互に作用し、ガヨコーヒー特有の味わいプロファイルを生み出しています。

ガヨ地区は、オーガニック認証を取得しており、化学肥料や農薬を使わない自然農法が行われています。

シェードツリーとしては、ミカンの木を使用。

2章:珈琲産地・豆・抽出法による味への影響

1.育て方と味への影響

●コーヒーと標高の関係

 標高が高くなるにつれて、気温が低下し、昼夜の寒暖差が大きくなります。この温度変化がコーヒーの生育に重要な役割を果します。

 [呼吸量の低下]高地では夜間の気温が低くなるため、コーヒーチェリーの呼吸量が減少します。これにより、結実から成熟までの期間が長くなり、豆の内部に栄養が蓄積される時間が増えます。

 呼吸は植物が糖分を消費するプロセスであり、この活動が抑制されることで、チェリー内の栄養分の消費が抑えられます。また呼吸量が少ないことで、コーヒーチェリーの成熟に要する時間が長くなります。これにより、(成熟期間が木に留まる期間で成熟期間が長くなるため)果実が木に長くとどまることになり、栄養分を蓄積する期間が延びます。更に、成熟期間が延びることで、コーヒーの木から果実への栄養分の移動が継続して行われます。この結果、チェリー内、特にコーヒー豆となる種子部分に、より多くの栄養分が蓄積されることになります。

コーヒー豆に糖分が多く蓄えられます。ただし、焙煎過程でこの糖分は酸に変化するため、必ずしも甘味として感じられるわけではありません。

 

 標高の高い場所で栽培されたコーヒーは、一般的に以下の特徴を持ちます:

・果実味が豊かで爽やかな味わい

・複雑な風味プロファイル (これもゆっくりとした成熟期間に由来)

・高い酸味(上記が高い酸味に影響)

●シェードツリー

 シェードツリーとは、コーヒーの木を直射日光から守るために植えられる背の高い樹木のことです。「日陰樹(ひいんじゅ)」とも呼ばれ、コーヒーノキに適度な日陰を提供します。

[主な役割]

日光のコントロール: コーヒーの木は直射日光に弱いため、シェードツリーが適度な日陰を作り出し、葉が焼けるのを防ぎます。

温度と湿度の調節: 特に熱帯地域では、高温や乾燥からコーヒーの木を守り、ストレスを軽減します。

土壌保護: 雨や風による土壌の浸食を防ぎ、コーヒーの木の根系を安定させます。

生態系の維持: 多様な生物の生息地を提供し、農園の生態系バランスを保ちます。

[環境保全への貢献]

野生生物の生息地提供、土壌の健康維持、炭素吸収による地球温暖化防止への寄与

多様な農業の促進。

[シェードツリーの課題]

シェードツリーの使用には以下のような課題もあります:

コーヒーノキを植える面積が減少し、単位面積当たりの収穫量が減る

機械収穫が難しくなり、手摘みが必要になる。

これらの理由から、ブラジルなど日差しがそれほど強くない地域や、大規模プランテーションでは、シェードツリーをあまり使用しない傾向があります。

2.コーヒーの豆と焙煎・挽き方の味への影響

■コーヒー豆の種類■

・アラビカ種:原産地はエチオピアで世界のコーヒー生産量の約60%を占める。

 ロブスタ種に比べて香りがよく、カフェインが少ないという特長ももっています。

・ロブスタ種:

➀原産地と栽培:

原産地はアフリカ中西部のコンゴ盆地です。現在は主に東南アジア(ベトナム、インドネシアなど)やアフリカで栽培されています。低地でも栽培可能で、病害虫に強い特性があります。

②味わいの特徴:

アラビカ種に比べて酸味は弱めです。アラビカ種の約2倍のカフェインを含んでいます。

③主な用途:

インスタントコーヒーや缶コーヒーなどの工業製品に多く使用されます。

④生産量:

世界のコーヒー生産量の約30-40%を占めています。

⑤栽培の特徴:

アラビカ種よりも病気や害虫に強く、栽培が容易です。収穫量も多いため、生産コストが低いのが特徴です。ロブスタ種は、その強い味わいと高いカフェイン含有量から、主に工業製品やブレンドに使用されることが多いコーヒー豆です。近年は品質向上の取り組みも行われており、単一種としての評価も徐々に高まっています。

■コーヒー豆の焙煎と挽き方■

●焙煎時間の長さ(酸味・ロースト感・苦み)

【酸味の変化】高温での長時間の焙煎により、コーヒー豆に含まれる有機酸が分解されていきます。深煎りでは、アミノ酸と糖が反応するメイラード反応が進行します。この反応により、新たな風味成分が生成されると同時に、酸味を感じさせる成分が減少します。深煎りになるにつれて、豆の表面に油分が浮き出てきます。この油分が舌を覆うことで、酸味を感じにくくなります。深煎りでは豆の細胞構造が大きく変化し、多孔質になります。これにより、抽出時の水との接触面積が増え、苦味成分がより多く抽出されやすくなる一方で、酸味成分の抽出が相対的に減少します。

【香ばしいロースト感】コーヒー豆に含まれる糖とアミノ酸が高温下で反応します。この反応により、茶色い色味や香ばしい香り、独特のうま味が生み出されます。深煎りになるほど、メイラード反応がより進行します。

 他には、豆の細胞構造の変化による香り成分の放出、焦げ目によるピラジン類などの香ばしい香り成分の生成が影響。

【苦み】深煎りでは豆の細胞構造が大きく変化し、多孔質になります。これにより、抽出時の水との接触面積が増え、苦味成分がより多く抽出されやすくなる。

[ホットとアイスでの推奨]

・ホットコーヒー用の焙煎

一般的に中煎りからハイローストが適しています。豆本来の風味や酸味を活かすことができます。バランスの取れた味わいを楽しめます。

・アイスコーヒー用の焙煎

従来は深煎りが好まれてきました(現在のトレンドはハイロースト(中煎りと深煎りの間))。氷で薄まっても風味が損なわれにくいです。苦味とコクが強調されます。

●珈琲豆の挽き方

【抽出速度】豆を挽くことで表面積が増加し、水との接触面積が広がります。これにより、水溶性成分の抽出が促進されます。挽くことでコーヒー豆の細胞構造が破壊されます。これにより、細胞内の成分が露出し、抽出されやすくなります。

 このため、細いほど濃い味わいになり、短時間での抽出に適している。

 コーヒーの抽出とは、挽いたコーヒー豆から水溶性の成分を水やお湯で取り出すプロセスです。コーヒー粉に水やお湯を加えることで、豆に含まれる水溶性成分が溶け出します。

抽出される成分には、カフェイン、有機酸、糖類、タンニンなどが含まれます。

【酸化】珈琲の酸化反応は空気中の酸素の量によって早まります。酸化とは狭義の意味で酸素と反応することであるため。ただし酸味自体を直接生成する訳ではなく、コーヒーの全体的な風味バランスに影響を与え、結果として酸味の知覚に影響する可能性があります。

【香り】挽く際の摩擦熱により、豆の温度が上昇します。

この熱が揮発性成分の放出を促進し、香りに影響を与えます。粗いほど香りが引き立つ。また香りなどが多く残るためコクが深くなる。一方、細挽きは香りが少なくなるため、渋みや苦みが強く出やすい。

[ホットとアイスでの推奨]

・ホットコーヒー用の挽き方

一般的に中細挽きが適しています。ペーパードリップやコーヒーメーカーで使用する場合は中細挽きが最適です。

・アイスコーヒー用の挽き方

通常、中細挽きから中挽きが適しています。ペーパードリップで淹れる場合は中細挽きが推奨されます。

・挽き方を変える理由

➀抽出時間の違い

アイスコーヒーは氷で冷やすため、抽出時間が短くなりがちです。やや粗めの挽き方にすることで、適切な抽出時間を確保できます。冷水での抽出は温水に比べて効率が低下します。粒度を調整することで、この効率の違いを補うことができます。

②風味のバランス

アイスコーヒーは冷えることで味や香りが変化します。挽き方を調整することで、冷えた状態でも美味しく飲めるバランスを作ることができます。

3.コーヒーの作り方と味への影響

●珈琲の作り方

【ハンドドリップ】

 湯を手動で注ぐ方式。重力を利用して水をフィルターを通過させる。抽出時間や湯の注ぎ方を調整できる。

 クリアでバランスの取れた味わい。豆の個性を引き出しやすい。抽出時間や湯温の調整で味をコントロールしやすい。一般的に90-96°C程度の湯を使用。

【コーヒーサイフォン】

蒸気圧と真空を利用した自動的な抽出方式。下部のフラスコで水を加熱し、蒸気圧で上部に押し上げる(上部陽気でコーヒー粉と混ざりあう)。火を止めると真空状態になり、抽出されたコーヒーが下部に戻る。

苦味と香りがしっかりと強く出る。スッキリとした味わいが特徴。高温抽出によりコーヒーオイルが多く抽出されるため、コーヒーの香りがよく引き立つ。一方、温度や抽出時間の微調整が難しい。ほぼ沸騰点(約100°C)の高温で抽出。

 1842年にイギリスのロバートナピアーが発明したが、一般的なサイフォンの原理は使われていない。一般的なサイフォンの原理は液体を高い位置から低い位置へ、途中で最初の一よりも高い地点を通過させて移動させる装置(重力を利用している)。一方、コーヒーサイホンは蒸発による移動。

【エアロプレス】

エアロプレスは「電気を使わないエスプレッソ」と呼ばれることもありますが、実際にはエスプレッソとは異なる抽出方法と味わいを持つコーヒーを生み出します。エアロプレスはエスプレッソに近い濃厚さを出すことができますが、本格的なエスプレッソの代替にはなりません。

[エスプレッソとの違い]

➀抽出方法:

エアロプレス: 手動で圧力をかけて抽出します。比較的低圧(約0.35〜0.7気圧)で抽出します。

エスプレッソ: 専用のマシンを使用し、高圧(約9気圧)で抽出します。

②味わい:

エアロプレス: スッキリした味わいが特徴で、豆の個性を引き立たせます。

エスプレッソ: 非常に濃厚で、コーヒーのソースと呼べるほど濃い味わいです。

③抽出時間:

エアロプレス: 約1〜2分で抽出できます。

エスプレッソ: 20〜30秒程度の短時間で抽出します。

④使用する豆の挽き方:

エアロプレス: 中細挽きを使用します。

エスプレッソ: 極細挽き(パウダー状)を使用します。

⑤設備:

エアロプレス: 電気を使わず、携帯性に優れています。

エスプレッソ: 専用のマシンが必要で、一般的に固定設置されます。

⑥クレマ:

エアロプレス: クレマ(泡)はほとんど生成されません。

エスプレッソ: 特徴的なクレマ(泡)が生成されます。

【フレンチプレス】

 戦後フランスで普及した方法。

フレンチプレスによるコーヒー抽出の化学的な側面について説明します:

➀抽出プロセス:

フレンチプレスは浸漬法(イマージョン法)を用いています。コーヒー粉を直接お湯に浸すことで、成分を抽出します。

②油分の抽出:

金属製のメッシュフィルターを使用するため、ペーパーフィルターと比べてコーヒーオイルがより多く抽出されます。

これにより、コーヒーの表面にキラキラと光る油分が見られます。

③成分抽出:

長時間(3〜4分程度)お湯と接触することで、水溶性成分と油溶性成分の両方が十分に抽出されます。

カフェイン、有機酸、糖類、タンニンなどの成分が豊富に抽出されます。

④温度管理:

適温(95℃前後)のお湯を使用することで、苦味や酸味のバランスが取れた抽出が可能になります。

⑤粒度の影響:

中挽きから粗挽きのコーヒー粉を使用することで、過抽出を防ぎ、バランスの取れた味わいを実現します。

⑥濾過プロセス:

プランジャーを押し下げる際、メッシュフィルターがコーヒー粉を分離しますが、微細な粒子は通過するため、ボディ感のある味わいになります。

フレンチプレスは、コーヒーの成分を豊富に抽出し、油分を含んだ濃厚な味わいのコーヒーを生み出す抽出方法です。この方法により、コーヒー豆本来の風味を楽しむことができます。

【水出し珈琲】

 ホットコーヒーと同じようにドリップ式もあるが、水出しコーヒーは下記のように作る。

水出しコーヒーとは、水で抽出したコーヒーのこと。文字通り「水で出したコーヒー」を意味しています。

熱湯で抽出する通常のコーヒーに比べると、水で抽出する水出しコーヒーにはコーヒー豆の油分があまり溶け出しません。コーヒー豆の油分にはコーヒーの香りやコクなどが含まれるため、コーヒーのおいしさが際立つ一方で、場合によってはクセや雑味を感じてしまうこともあります。

そのため、コーヒー豆の油分をあまり含まない水出しコーヒーは、クセの少ないすっきりとしたマイルドな味わいになるのです。

水でゆっくりと抽出するため、熱湯で抽出するコーヒーより時間がかかるのも水出しコーヒーの特徴の1つ。熱湯を使わずに抽出するので、アイスコーヒーとして提供されることの多いコーヒーでもあります。

水出しコーヒー以外に「コールドブリュー」「ダッチコーヒー」といった呼び方を耳にすることがあります。それぞれ別の種類のように聞こえますが、これらはすべて同じ「水で抽出したコーヒー」のことです。

コールドブリュ―はアメリカ発祥の水出しコーヒーで、ダッチコーヒーはインドネシアが発祥であるとされています。(keyコーヒーHP https://www.keycoffee.co.jp/shallwedrip/coffeeknowledge/about-coldbrew-coffee/

【エスプレッソ】

 1900年代に登場。

ドリップコーヒーの場合はお湯が落ちる重力を利用して、コーヒー豆の中をお湯を通すことでコーヒー成分を抽出していきます。

しかし、エスプレッソは機械でコーヒー豆に圧力をかけることで、抽出するため、雑味などが出にくく、コーヒーの美味しい成分だけを引き出す方法だといえます。(https://hope-beans.com/espresso

➀抽出プロセス:

エスプレッソは高圧(9-10気圧程度)の熱水を使用して抽出されます。

この高圧抽出により、短時間(25-30秒程度)で濃縮されたコーヒーが得られます。

②成分抽出:

高圧と高温により、通常のドリップコーヒーよりも多くの成分が抽出されます。

これには油分、カフェイン、有機酸、糖類などが含まれます。

③クレマの形成:

エスプレッソの特徴的な泡状の層(クレマ)は、抽出時の高圧により形成されます。

クレマは、コーヒーオイルと二酸化炭素の微細な泡から構成されています。

→コーヒーの香りを閉じ込め、口に含んだ時の香りの広がりを作り出す。

④pH値:

エスプレッソは通常のドリップコーヒーよりもpH値が高く(つまり酸性度が低い)、一般的に4.8-5.4の範囲です。

⑤カフェイン含有量:

エスプレッソは濃縮されているため、単位容量あたりのカフェイン含有量は高いですが、一杯の量が少ないため、総カフェイン量は通常のドリップコーヒーと大きく変わりません。

⑥揮発性化合物:

高圧抽出により、多くの揮発性化合物が抽出され、これがエスプレッソの豊かな香りの源となります。

⑦エマルジョン形成:

高圧抽出により、水とコーヒーオイルが微細に混ざり合い、安定したエマルジョンを形成します。これがエスプレッソの滑らかな口当たりの要因となります。

これらの化学的プロセスにより、エスプレッソは濃厚で複雑な風味プロファイルを持つ独特のコーヒーとなります。

定義は互いに混ざり合わない2つの液体が、一方が他方の中に微細な粒子として分散している状態。水とコーヒーオイルが微細に混ざり合った状態。高圧抽出により、水とコーヒーオイルが強制的に混ぜ合わされる。安定したエマルジョンを形成することで、エスプレッソの滑らかな口当たりが生まれる。

クレマとの関係: エマルジョン状態のコーヒーが、クレマの形成に寄与する。

[エスプレッソを基にした様々なコーヒー飲料]

以下にいくつかの人気のあるバリエーションを紹介します:

➀カプチーノ:

エスプレッソにスチームミルクとミルクフォームを加えた飲み物です。

通常、エスプレッソ、スチームミルク、ミルクフォームが1:1:1の割合で構成されます。

②カフェラテ:

エスプレッソにたっぷりのスチームミルクを加えた飲み物です。

カプチーノよりもミルクの割合が多く、よりマイルドな味わいです。

③マキアート:

エスプレッソに少量のスチームミルクを加えた飲み物です。

「マキアート」はイタリア語で「しみをつけられた」という意味で、エスプレッソの濃厚さを保ちつつミルクの風味を楽しめます。

④アメリカーノ:

エスプレッソにお湯を加えた飲み物です。

通常のドリップコーヒーに近い味わいですが、エスプレッソ特有の風味が楽しめます。

⑤コン パンナ:

エスプレッソの上に生クリームをのせた飲み物です。

「コン パンナ」はイタリア語で「クリーム付き」という意味です。

⑥アフォガート:

エスプレッソをバニラアイスクリームにかけたデザート飲料です。

「アフォガート」はイタリア語で「溺れた」という意味で、アイスクリームがエスプレッソに「溺れている」様子を表しています。

これらの飲み物は、エスプレッソの濃厚な味わいを基に、ミルクや他の材料を組み合わせることで、様々な風味や食感を楽しむことができます。個人の好みに合わせて、エスプレッソを楽しむ方法を見つけることができるでしょう。

※基本的にperplexityの検索で作成