目次
1章.母乳育児について
【効用】【メリット】【母乳育児を確立する時期】【アトピー性皮膚炎との関係】
 
2章母乳のメカニズム
【成分】【母乳をつくるメカニズム】【母性脳へのホルモン】
 
3章.授乳の仕方
【母乳を飲む赤ちゃんのメカニズム】【授乳の仕方】【授乳のタイミングとペース】【搾乳】【母乳過多】【授乳ケア】【哺乳瓶による母乳育児への影響】【哺乳瓶の消毒について】【働きながら母乳育児をするコツ】【母乳からミルクへの切り替え方】【Equipment Needed for Breast-feeding】【Equipment Needed for Bottle-feeding】
 
4章.母乳の質
【母乳の質】【母乳と食生活】【ビタミンDの不足と対策】【DHA】【アルコール】【カフェイン】【水銀】【乳腺炎と食生活の関係】【牛乳などミルク・母乳に似たものと性質】【塩分】
 
5章.断乳および卒乳
【断乳および卒乳】
 
6章母乳育児の歴史
【母乳育児の歴史】

・母乳にしても、ミルクにしても、睡眠と関係するため、授乳間隔をどのようにするかは、赤ちゃんの生活リズムの形成と大きく関係するため大切。

・母乳は、基本的には需要と供給の関係で量が決まってくる。赤ちゃんが欲しがる量が増えれば、それに呼応して徐々に量が増えていく。そのため最初は出が悪いがある程度は母乳が少なくても大丈夫なように脂肪を蓄えて生まれてきている。一方で、適切に需要を増やしていかないと、詰まったりして乳腺炎の原因になったりする。乳腺炎の対処は、予防は温めて、事後は冷ますのがよい。

 ただ、片方だけ定期的に刺激すればオートクリーンコントロールとか言うのが働いて大丈夫だとか。卒乳や断乳・ミルクなどへの切り換えの際は、徐々に減らしていかないとそれも乳腺炎のリスクになる。

 赤ちゃんの気分などで定期的に需要を増やせない時は、搾乳などを使う方法もある。電動搾乳機が母乳育児の成功のカギと論じる人もいる。

 母乳には前乳と後乳(これをフルコースとも呼ぶ人も)と言うのがあり、後乳に脂質が含まれているため、基本的には赤ちゃんが後乳まで飲める量が出てくるのが望ましい。母乳過多はコリックなどの原因になるとも。

 初乳には免疫が入っているため大切。

・良い母乳を出すためには母体の国などの伝統に基づいたものを食べると良いなどの意見もあるが、基本的には科学的には母乳の糖分と脂質・水銀は食生活によってあまり影響しないとも。ただ匂い(これは羊水のときに慣れているとも言われる)やアルコール・カフェインは影響する。後はビタミンDと鉄分は母乳によって不足してるため日光浴や離乳食で補完は大切。

1章.母乳育児について

【効用】

・母乳栄養のほうがIQが5~10ポイントも高くなるという報告もあります。※8

・生まれてすぐの赤ちゃんは、自分の体の中で免疫物質をつくることができません。母乳からお母さんの免疫物質をそのままもらうことで、抵抗力をつけるのです。※11

母乳は、その赤ちゃんに合わせて、日々、最適な成分に変化していくのです。

赤ちゃんが母乳を飲みことで、赤ちゃんからお母さんへ病原菌が移行し、お母さんはそれに応じて抗体を乳房の中でつくり出し、母乳を通じて赤ちゃんに与えるのです。※11

・初乳とはお産のあと2~3月のあいだに出る母乳のこと。

 初乳には、生まれたばかりの赤ちゃんに最適な栄養があるばかりでなく、「免疫グロブリンA」や「ラクトファリン」などの赤ちゃんを病気から守ってくれる成分が多く含まれています。

 なかでも免疫グロブリンAは、赤ちゃんの腸、気管支、口、鼻、耳などの粘膜に直接作用して、さまざまな細菌やアレルゲンの侵入を防いでくれます。そのため、気管支炎や中耳炎、腸炎などが少ない。

 初乳は1週間ぐらいすると、次第に普通の母乳成分に変わっていきます。※11

・ビフィズス菌が腸内で圧倒的に優位になるので、他の病原菌の侵入や増殖を抑えます。呼吸器系の病気や中耳炎にもなりにくく、またなってしまったとしても回復が早いです。※19

【メリット】

  • 乳がんの予防(女性がかかるがんの第一位)

 乳がん、子宮がんにかかるリスクが減少する。乳がんは1981年頃は独身女性のかかるがんだというのが定説でした。しかし、食生活が西洋型(高脂肪、高カロリー食)になり、更に母乳育児率の減少もあり、女性のがんの第一位におどり出る。※11

  • 自然に最高のダイエットができます。母乳は血液中でつくられますが、このとき、妊娠中に蓄積された余分な脂肪が血液に溶けて母乳になるため。

 母乳はお母さんの血液からできている。その栄養分は出産直後はとくに、血液中に溶け出したお母さんの皮下脂肪です。母乳を与えることで、皮下脂肪を血液中に溶かす作用のホルモンが分泌します。※11

  • 授乳によってホルモンバランスが整い、内側からきれいになります。
  • 自然避妊の作用もあります。母乳を分泌させるホルモンは排卵を抑制する作用があるため、昼夜を問わず3時間以内に授乳をしつづけているあいだ、つまり子育てに集中しているあいだは、次の子どもを妊娠しにくいようになっているのです。

 昼夜を問わず、3時間以内に授乳しているあいだは、排卵を誘発するホルモンが分泌されません。つまり、きちんと母乳育児をしているあいだは、妊娠しないようになっているのです。

 なお、赤ちゃんからの吸う刺激が3時間以上ないと、母乳を出すホルモンの働きが低下して、母乳の分泌量が減ると同時に、母体は排卵を誘発し、次の妊娠を可能にします。

母乳育児をすると排卵が始まるのが後になり、出産後1年半~2年で排卵になる。※11

  • 授乳中には、赤ちゃんをいとおしいと感じる、通称「母性本能ホルモン」が出るようになっています。この「母性本能ホルモン」は赤ちゃんへの愛情を高め、育児の疲れをふきとばしてくれるものです。

 また「母子一体性の原理」として、赤ちゃんがいちばんおいしいと思う母乳をあげられているお母さんの体は、個人レベルで見ても、元気抜群、ベストコンディションの状態なのです。※11

  • 平田の病院で母乳育児を経験した女性のうち64パーセントが更年期障害なし。まったくないわけではないが軽い症状という人を含めると、94%が更年期障害に悩まされることがないという研究データがあります。※11

【母乳育児を確立する時期】

 0歳0ヵ月~2ヵ月が母乳育児を確立する時期です。

 母乳育児は「母親の愛着」を育むための最初の1歩であり、最も重要な要素です。

 初乳には、脳の発達に不可欠な「長鎖多価不飽和脂肪酸」(LUPUFA)が新生児の脳に存在するのと同じ濃度含まれています。

脂肪酸やリン脂質の代謝異常は神経発達や精神障害に関与しており、とくに脂肪酸代謝は発達障害などにも関与していることが推測されています。母乳で育った子どもは、人工ミルクで育った子どもに比べて組織中のLCPUFA濃度が高く、大脳皮質のDHA量が多いという報告もあります。※8

【アトピー性皮膚炎との関係】

「アトピーの原因となる食生活」を送ってきた人がお母さんになると、赤ちゃんは体内ですでに栄養過多になっていきます。そうした場合、お母さんの母乳もおいしくなく、赤ちゃんは嫌がって飲もうとしません。

・アトピー性皮膚炎が増えた原因

発症する原因ははっきりとわかっていない。

  • 戦後の食生活の変化

・卵・牛乳・肉類、パン・菓子(小麦)、コーラ(糖類・色素)、農薬・抗生物質の増加

・母乳育児と旬の食物の減少

・外食・給食のセンター化、防腐材、インスタントや冷食の増加により食品添化物の使用量

・離乳食で卵・乳製品、インスタント食品が早くなる

  • 生活環境の変化

・ホコリ、ダー、カビ

・大気汚染

・花粉

・衣類(合成繊維)の変化など

アレルギー症状(湿疹、ぜんそく、鼻炎など)は、お母さんが妊娠中に高脂肪、高カロリー食をとっていた赤ちゃんに多く見られます。※11

2章母乳のメカニズム

【成分】

 ヒトの母乳は、ほかのどんな哺乳動物のお乳よりも、タンパク質の種類や量において、ヒトの赤ちゃんに最適な成分になっています。消化吸収しやすく、体や脳の発達に必要な成分がすべて含まれているから。※11

 母乳には「タウリン」というアミノ酸の一種がたくさん含まれています。タウリンはおもに魚介類に含まれている成分で、血圧のコントロールや内臓の働きの強化など、多くの作用が認められています。乳幼児期においては、脳神経や目の発達をうながす作用があると言われています。ただし、成人でも体内生成は5パーセントほどで、乳幼児には体内生成はできません。

・母乳は哺乳瓶に比べ、脳に運ばれる酸素の量も60倍違います。酸素が十分に行きわたることで、人間の独特の前頭前野の働きが活発になり、自分で考える力、思考力が発達するのです。※11

・母乳には乳糖が含まれている。乳糖は自然界では乳腺のみ、つくられる糖分です。

ヒトの母乳は牛乳の1.5倍の乳糖を含み、ほかの動物と比べても多くなっています。乳糖は活動のエネルギーになるほか、骨や歯の発育を助け、さらに赤ちゃんの脳や中枢神経の発達に欠かせない成分です。

・ほかには、「必須脂肪酸」「高濃度コレステロール」「リパーゼ」(酵素)といった、牛にはごくわずかしか入っていない、だけど脳の発達に必須の要素がたくさん含まれています。

・母乳の「味の変化」も、脳の発達をうながす要因になります。ミルクはいつでも同じ味ですが、母乳はお母さんの食べたものや体調によって、毎回違う味になります。変化にとんだおいしい母乳を飲むことは、脳への刺激につながります。※11

・多くの消化酵素が含まれるから、消化吸収が早く、赤ちゃんの体の負担にならない。※19

[初乳から成乳]

胸で初めて作られるお乳の「初乳」は、産後3~  5日日に出始める「成乳」と比べて、糖質や脂質 質が少なく、プロテインとビタミンがより多く含まれ ています。初乳には、ママが今までかかった病気 抗体も含まれていますので、赤ちゃんが感染 と闘うのを助けてくれます。成乳に比べて初 乳はもっと濃く、黄色がかかって見えます。産後 2~3日目には、初乳と成乳の混ざったお乳が作られ始めます。3~5日目ごろにはおっぱい が張り始め、硬く敏感になり、触ると痛い ほどになります。これは成乳が完全に出始めた証 拠です。

成乳室はサラサラとして色は少し青みがかって おり、成分が授乳中に変化します。※20

【母乳をつくるメカニズム】

 母乳を作る準備としては、思春期にホルモンの影響で乳腺が発達しはじめる。その後、乳腺のまわりに脂肪がついて乳房のふくらみは大きくなります。

 そして妊娠すると、されにホルモンの働きが活発になり、乳腺がが発達していくのです。

 このとき、乳房を発達させるホルモンや、乳汁をつくるためのホルモンは脳から出ていますが、同時に胎盤から「まだ母乳を出さなくていいよ」と指令するホルモンも出ています。胎盤は出産によって外にでるので、そこでやっと「母乳ストップ令」がなくなり、赤ちゃんが乳頭に吸いつくことで、母乳を出すスイッチになるのです。※11

 授乳中には、気力や体力を増強する「副腎皮質ホルモン」や「甲状腺ホルモン」なども活発に分泌されることがわかっています。※11

[催乳反射]

妊娠している間に出るホルモンが母乳を作る ための準備を整えます。赤ちゃんが生まれて胸を 吸い始めると、オキシトシンと呼ばれるホルモンが 脳の下垂体から分泌され、胸に「催乳」のシグナル を送ります。乳腺の周りの筋肉が収縮し、赤ちゃん がおっぱいを吸うと、15~20ある乳管に母乳が流れ 込みます。多くの場合、胸に多少チクチクした感覚を 覚え、母乳が出てくるときには子宮が収縮している ように感じます。通常1~2週間もすると、その感覚 はなくなります。赤ちゃんの泣き声が聞こえたり、離 れているときに赤ちゃんのことを考えたりするだけで、催乳反射を経験することがあるかもしれません。

その一方で、緊張していたり、ストレスを感じた りすると、オキシトシンは分泌されず母乳が出に くくなります。 母乳育児を成功させるには、ママ がゆったりとリラックスしていなければいけません。 背筋を伸ばして乗に座り、ゆっくり時間をかけて 赤ちゃんを正しい位置で抱きかかえてください。抱き方が間違っていると、痛みを生じて、オキシトシンの 分泌が減り、催乳反射にも影響します。※20

【母性脳へのホルモン】

オキシトシン…「女性脳」を「母性脳」に変化させる。

 「女性脳」…「視床下部」と呼ばれる、本能に関わる脳の働きが活発です。視床下部は性欲や食欲、攻撃性などをつかさどるさまざまな中枢が含まれており、気分を左右する箇所でもあります。恋愛をすると、この視床下部がよく働くため、誰かを好きになると気分が大きく揺れ動くのです。生殖行動にも視床下部が関与しています。

 思春期以降の女性は、基本的には「女性脳」で生きています。

 しかし、子どもを妊娠して出産し、母乳を与えているうちに脳が変化すると、視床下部の働きが低下します。本能の脳である視床下部の働きが低下するので、気分の揺れが減って穏やかになり、関心が子どもに向くようになります。

 視床下部に代わって、視覚に関わる後頭葉が働くようになるので、認知的にじっと子どもを見つめられるようになります。

 また、「母性脳」になると、男性である夫への興味が低下することもあります。パートナーが妻に母親を求めている幼児性の強い夫の場合は、子どもに嫉妬して、虐待が起きることもあるようです。

 「女性脳」から「母性脳」へ変化するには、「信頼のホルモン」とも呼ばれる神経伝達物質「オキシトシン」が重要な役割を果たします。

 オキシトシンは、脳の視床下部で合成され、下垂体から分泌されるホルモンの一種です。

 オキシトシンが脳でつくられると、脳のある部分に作用し、信頼感を獲得すると考えられています。

 オキシトシン受容体は側坐核、前頭野などの「快情動の回路」や、報酬系、学習の強化で特徴づけられるドーパミン神経の投射領域に分布しています。

 このオキシトシンにより、陣痛や、母乳の射乳藩王がもたらされます。

 まず陣痛時には、オキシトシンが大量に分泌され陣痛が生じ、陣痛の強い痛みで、下垂体から「βエンドルフィン」が放出されます。

 「βエンドルフィン」は陣痛と陣痛のあいだで放出され、強い鎮痛作用と、母体に多幸感をもたらします。母親が出産の痛みに耐えることができるのは、このような作用があるためだと考えられます。

 また、授乳時、赤ちゃんが母親の乳首を吸うときには、オキシトシンが分泌され、母親の側坐核、前頭前野の報酬系の活動が活発になるので、快情動の回路が活性化されます。

 これらの陣痛や授乳の仕組みにより、「母性脳」が形成され、その結果、何よりも子供を最優先するように意識が変化していくと推測されています。※8

 

 扁桃体の働きは、授乳によるオキシトシン分泌によって抑制されます。

 扁桃体は左右の脳の中心部に位置し、喜怒哀楽の情動をつかさどっています。他者から注がれているネガティブな表情を読み取る機能もあります。

 つまり、っは親がわが子のために、恐怖や不安をものともせずに立ち向かう行動は、扁桃体にオキシトシンが作用して誘発されるのです。

 

出産直後に素肌でわが子を抱く(羊水のにおいがしている出産直後からの、母子の素肌のふれあい)でも分泌されると考えられています。※8

「母性脳」への変化を促すには、

 ➀自然な陣痛による出産

 →陣痛促進剤として静脈内に投与されるオキシトシンは、脳には届かないのでドーパミン神経系には作用せず、また持続して投与されると、陣痛間歇期の「βエンドルフィン」による鎮痛作用も期待できず、子宮収縮だけがもたらされる痛いだけのお産になる可能性があります。

 ②子どもを見つめながらの母乳育児

 ③羊水のにおいがしている出血直後からの、母子の素肌のふれあい

 オキシトシンは、母親の脳でつくられ、血液中に移行し、陣痛や射乳をもたらします。母乳はお母さんの血液からできているので、当然、母乳の中にもオキシトシンが含まれます。その能動は血液中より高くなります。※8

 授乳によって「オキシトシン」の血中濃度が上がるため、産後の出血を減少させ、支給を収縮させます。さらに、出産後にもろくなった骨の再硬化を早めることも知られています。※11

 プロラクチンの働きによってつくられた母乳を、入管を収させて乳頭まで押し上げ、さらに赤ちゃんの口の中にまで届ける働きをするのが、同じく脳の脳下垂体後葉から分泌される「オキシトシン」というホルモンです。

 オキシトシンは、お母さんが赤ちゃんのことを思ったときや、赤ちゃんの泣き声を来たときにも分泌されます。反対に、お母さんが痛みや不安を感じたり、緊張したり強いストレスがかかったときは、分泌されなく(=出にくく)なってしまいます。オキシトシンによって押し出された母乳は、入管を通って乳頭近くにある入管膨大部に達し、そこから乳頭に運ばれます。

オキシトシンは「愛情ホルモン」ともいわれます。赤ちゃんのことがかわいくて仕方がなくなるホルモンだとわれます。また、産後の子宮の筋肉を収縮させて、子宮の回復を早める働きをします。※11

プロラクチン

…赤ちゃんがお乳を吸うことによりあふれ出るもので、母乳をつくるホルモンも増加します。

 動物実験ではプララクチンが増えると、巣づくり行動などの母性行動が盛んになることがしられています。母乳育児をおこなっている母親は、一か月検診時の不安が少なく、プロラクチンにより精神的な安定が得られるようです。

 プロラクチンは、母乳をつくるように働きかけるほか、母親に精神的な安定感ももたらします。※8

 赤ちゃんが唇と舌を使って乳頭に与えた刺激が、お母さんの脊髄を通って脳に伝わると、脳の脳下垂体前葉というところから、母乳をつくる「プロラクチン」という物質が分泌されます。

 このプロラクチンの作用によって、お母さんの乳房の中の毛細血管にたくさんの血液が流れ、その血液が母乳となって乳房の中に蓄えられます。このとき、約1mlの母乳をつくるのに、500mlの血液が乳房を通過するといわれています。

 プロラクチンは赤ちゃんが乳頭に吸いついたときに分泌されるもの。母乳の出が悪いと思う人は、もっと数回に吸わせることでよくなることがよくあります。※11

 プロラクチンは「母性本能ホルモン」ともいわれ、女性を母親の気持ちにさせ、「赤ちゃんの世話をしよう、守ろう」という気持ちにさせる作用があるといわれます。また、母親をリラックスさせて眠気を誘う働きもあるため、夜に起こされても、すぐに目がさめ、すぐに眠れる絶妙な仕組みを作ります。※11

3章.授乳の仕方

【母乳を飲む赤ちゃんのメカニズム】

・赤ちゃんはおっぱいを飲みながら、鼻で呼吸ができます。咽頭が上部にあって、気道と食道がほぼ別々に機能してるからこそ、母乳が食道でなく、気道に入って窒息しないための重要な防衛機構です。※2

・唇や顎などの口の「周辺」で味を感じるのも、この時期ならではの能力です。赤ちゃんは口の外の皮膚でも味を感じることができます。おっぱいを上手に探すためだと考えれています。※2

・生後1ヵ月くらいは、おっぱいと30秒くらい吸って15秒くらい休むのです。赤ちゃんはしばしば止まって、お母さんの反応を待っているのです。一種のコミュニケーションです。コミュニケーションの最初の形態は「授乳」です。※2

・授乳のコミュニケーションが2か月ごろになると15秒くらい吸って7~8秒休む。交互作用のペースが少し早くなります。※2

・母乳を飲む労力は、哺乳瓶の人工乳首からミルクを飲む労力の60倍にものぼるということ。その結果、あごがしっかりと発達して、立派なU字型になるのです。あごの発達は、全身の筋肉・骨格の発育や内臓、脳の発達ばかりでなく、視力や言葉の発達とも密接な関係があり、その子の成長に大きな影響を及ぼすからです。

 1983年平田は、世界でははじめて、乳児が哺乳瓶からミルクを飲むときと、直接母乳を飲むときの違いを映像でとらえました。

 赤ちゃんは両手でしっかりとお母さんの乳房にしがみついて、乳首に吸いつき、絞り出すように母乳を飲みます。そのとき、ただ唇を動かすだけでなく、口の中では舌で蠕動運動のような動きをして、乳首をしごくような飲み方をしています。

 そのき、頬とあごを動かし、顔じゅうの筋肉を使っています。全身汗だくになり、真っ赤な顔をして飲んでいます。※11

・帝王切開で生まれた赤ちゃんは、出産時に加わるストレスが少ない分、誕生後3日間くらいは、まだ自分が胎内にいるのか、胎外にいるのかわからない時期だといわています。そんな関係からか、積極的に母乳を飲まない赤ちゃんもいますが、焦らずに飲ませる練習をしてください。※11

【授乳の仕方】

成乳はサラサラとして色は少し青みがかって おり、成分が授乳中に変化します。

 初めは水分の割合が高く脂質が少ない「前乳」が出ます。授乳が進むにつれて赤ちゃんの吸い方がゆっくりになり、吸う間隔も長くなります。こ れは「後乳」が出始めているサインです。後乳のおかげで、授乳と授乳の間のお腹のもちがよくなるからです。片方の胸の母乳を完全に飲 みきる前に次の胸に移してしまうと、2つのおっぱい時から前乳ばかり飲むことになります。こうなると、2時間後にはまた赤ちゃんがお腹をすかせてしまいます。また、前乳ばかり飲んで いると、コリック(疝痛)を引き起こしやすくなります。 片方の胸で足りない場合は、次の胸に移す 前に必ず最初の胸の母乳を完全に飲みきっているかを確認してください。1週目の終わ りごろに、最初の胸から25分、次の胸から5~15分 授乳していれば、バランスよく前乳と後乳を飲 んでいると思っていいでしょう。次の検乳では 次の授乳では3~4時間はお腹がもつはずです。授乳のたびに毎日両胸から飲ん でいる場合は、次の授乳では必ず前回あとに あげたおっぱいから始めてください。そうすることで 1回おきに左右の胸が必ず空っぽになっていることになります。

親指と人差し指で軽く乳首を搾るとまだおっ ないが残っているかどうかを確認できます。

○おっぱいが空になったら、絶対にそれ以上赤ちゃんに 吸わせてはいけません。乳首に傷がついて 授乳中痛みを伴うようになります。

・月齢の低い赤ちゃんは、片胸でお腹がいっぱいに なることもよくあります。最初のおっぱいを完全に 飲みきったら、げっぷをさせておむつを替えてからを次のおっぱいをすすめてください。もっと飲みたければ吸い付くはずです。そうでなければ、次の 授乳でそちらの胸から始めてください。

○もう片方のおっぱいを飲み始めた場合は次の 授乳でも同じ胸から授乳を始めてください。※20

・日本小児科医会の報告によると、約70%の母親が母乳を与えながらテレビやビデオを見たり、携帯でメールをしたりしています。

 そのような状態では、オキシトシンの分泌が低下する可能性があります。オキシトシンの分泌がないまま母乳を与えても、脳は母性化しません。

 授乳するときは、きちんと赤ちゃんの目を見ながら、やさしく抑揚をつけて語りかけながら授乳することです。どのように語りかけたらいいかわからないときには、わらべ歌の歌いかけがいいでしょう。※8

[姿勢]反り返っていたり、首だけおっぱいに向けて体がねじれていたりしたら、上手に飲むことはできません。

ポイントは、しっかり背筋を伸ばして授乳すること。

[授乳クッション]

赤ちゃんと太ももの間に、授乳クッションを入れるという感じ。授乳クッションに厚みがない場合は、さらにその下に他のクッションを入れるなどして、高さを調整してください。前かがみにならなくても、赤ちゃんの口の位置が自然と乳首に合うように。

  • 赤ちゃんの頭を腕に乗せ、体がしっかりとお母さん側に向くようにします。赤ちゃんの足は丸めた状態にし、体が丸くなるように。手首が痛くなる人はタオルを置く。
  • 赤ちゃんの首の下に手を当てるやり方でもOK。この方が安定して飲ませやすいかもしれません。お母さんの背筋も伸ばしやすくなります。

・授乳クッションに乗せても赤ちゃんが反り返ったり、足を蹴ってしまうちうときには、おひなまきに巻いてしまうのもお勧めです。

[ゲップ]

授乳の後は、ゲップです。縦抱きで背中を叩くのが定番ですが、縦抱きも背中を叩くのもいけません(体を背り返えらせゲップを出しずらくする)。

赤ちゃんの足を太ももの間に入れます。手の平に赤ちゃんの胸を乗せ、体を前に倒します。お尻は太ももに座らせた状態に。自然に背中が丸くなります。

これだけでゲップが出ることが多いのですが、出ない時は赤ちゃんの背中のお肉をかすかに横に揺らしたり、お尻をかすかに揺らしてあげましょう。決して強く揺すらないでくださいね。※11

哺乳ビンでのませるときは、ビンの底を 高くして、いつも乳首にミルクが一杯になっている ようにしてやらなければいけません。それでも、赤ちゃん は、ミルクをのむとき、空気もいっしょにのみこんでし まうものです。

のみこんだ空気は、胃のなかで集まって泡になり,まだ 半分ものまないうちに、空気でお腹がいっぱいになって、のむ のを止めてしまう赤ちゃんもいますが、ほとんどの赤ちゃんは、 平気でしまいまでのんでしまいます。なかには、ことに母乳 の赤ちゃんには、ゲップになるほど空気をのまない子もいま す。※18

授乳を何度も中断してげっぷをさせようとすると、 赤ちゃんがイライラして泣き始めるため、よけい空気が入ってしまいます。

ほとんどの赤ちゃんは、授乳中に一度そして授乳 後に一度げっぷをすれば十分です。

母乳育ちの赤ちゃんはげっぷをしたいときは、おっぱり から口を離します。片方の胸を飲み終わったところで まだげっぷをしていない場合回もう片方のおっぱいを 飲ませる前にげっ裾ぷをさせてください。ミルクの赤 ちゃんは、半分から4分の3ほど飲み終わった時点で げっぷをさせてください。しようとするはずです。どち らの場合も、正しい方法で抱きかかえていれば、授乳中 も授乳後も素早く簡単にげっぷが出るはずです。※20

空気を吐き出せる方法

➀赤ちゃんをあなたの膝の上にまっすぐに座らせてしず かにお腹をさすってやります。

②赤ちゃんの顔があなたの肩にあたるように抱いて、背中をさするか、軽く叩いてやります。ゲップが出るとき 空気といっしょにお乳を少し吐くことがありますから、 肩におむつのきれいなのでもあてておくといいでしょう。 なかなか出ないようだったら、一ぺんちょっとねかして、またおなじことをやってみます。

 空気をたくさんの人でしまって、途中でお乳がのめなく なるような赤ちゃんは、ありだで、いちど空気を出してやらねば なりません。それほどでなければ、のみ終ったときだけひ いいのですが、とにかくゲップを忘れてはいけません。胃の中 に空気が入ったまま寝かせられると、とても気持ちが悪 く、お腹が痛くなることさえあります。しかし、ゲップが 出ようと出まいと、気持ちよさそうにしているときは、2, 3分もやって出なければ、ねかせてしまいます。

小さい赤ちゃんが、ミルクをたっぷりのむと、お腹が とても大きくなるので、はじめてのお父さんやお母さ 人は心配するかもしれません。しかし、これは、大人に くらべて赤ちゃんは、からだのわりにたくさんのお乳をいちどにのむからなのです。※18

[授乳・片方か両方か]

・片方の胸から飲むだけで、その後3時間は 機嫌がよく、毎週順調に体重が増えているようであれば、片方だけで明らかに十分です。

・授乳後2時間もするとお腹がすいている、

または、夜中に二度以上目を覚ますときは、もう 片方のおっぱいも与えたほうがいいでしょう。

とくに おっぱいの出が悪くなる夕方以降はっ両胸から 授乳する必要があるかもしれません。

○必ず最初の胸を完全に飲みきっていること を確認してから次の胸に移ってください。親 指と人差し指で乳首の周りを軽く擦ると 確認できます。※20

【授乳のタイミングとペース】

 出産直後は「泣いたらすぐにおっぱい」が基本です。※2

 新生児の頃は、赤ちゃんが泣いていれば、お 腹がすいているのが主な理由だと判断して、おっぱいをあげるべきです。

それでも母乳育ちの赤ちゃんで、授乳後の機嫌 のいい状態が2~3時間続かない場合は、赤ちゃんがきちんと乳首を吸えていない場合も多く1時間近くおっぱいを吸っているように見えても、 実はそのほとんどの時間、お乳を飲めていないということもあるのです。

出生時の体重が2-7キロ以上で2週間以内にずつ体重が増加出生体重重に戻り毎週約180gずつしている赤ちゃんで、授乳のたびに必要な量をしっかり飲んでいれば、授乳間隔が3時間(もしくはそれ以上)空いても大丈夫なはずです。

・産後で疲れているときは昼間赤ちゃんが眠っている間に休みたくなるのも当然です。しかしよく眠るの日最初の数週間という短い間のことで その後は目を覚ましている時間が増えて、ママ や他の人と遊びたがるようになるはずです。

ですから、おっぱいの出をよくするためにも胸に十分刺激を与えることができるように、赤ちゃんは最初の1週間目は必ず3時間おき (お腹がすいていればそれより早くに授乳してくださ い。昼間に3時間おきに起こしていれば、深夜24 時から朝6時の間に目を覚ますのは一度だけになる可能性が高くなります。リラックスして休養をたっぷりとっていれば、疲れてストレスのたまっているママよりも、おっぱいの出がいいことも多いです。※20

 まず3時間おきにそれぞれの胸から5分ずつ授乳する ようアドバイスします。おっぱいの出が安定するまで、 1日数分ずつ時間を増やしていきます。 3時間は、授乳を始めた時間から、次の授乳の開始時までとして計ってください。3~5日目ごろに 赤ちゃんが吸う時間も 15~20分に増えているはずです。この頃には、 ほとんどの赤ちゃんは片方の胸でお腹がいっ ぱいになり、次町におっぱいを欲しがるまでろ 時間はご機嫌なはずです。

しかし、3時間たつ前にお腹がすいているよう であれば、迷わず授乳してください。機嫌 が改善しなければ、毎回両胸から授乳するよう にしましょう。いつも機嫌が悪く、ユリックに悩 まされている赤ちゃんは、前乳の飲みすぎが原因のことが多いのです。後乳(前乳の3倍の脂肪分を含んでいる)

お乳を十分飲むのにどれくらい必要かは、赤ちゃ 人の様子を見て判断してください。

時間通りにおっぱいを飲み、授乳と授乳の 間は機嫌がよく、おむつもしっかり濡れているようであれば、お乳の量は十分足りているということです。※20

 She knows how many calories her body needs and what her digestion can handle. If she’s not getting enough, she’ll probably cry for more. If there’s more in the bottle than she feels like eating, she’ll probably stop.

 Feeding usually works best when you follow your baby’s cues let her fill up when she feels empty and stop when she feels full. That way, you’ll be nurturing her self-confidence, her joy in life, and her love of people, as well as her body.

 Your main job is to, then, is to understand your baby’s hunger cues.

➀Fairly easy to read

 They feel hungry on a predictable cycle and feel comfortable once full.

②More difficult

 They cry at odd intervals, sometimes from hunger, sometimes from other discomforts. If it feels like you can’t make sense of your baby’s signals, don’t blame yourself, but do ask for help from experienced friends and family members and from your baby’s doctor.

 ほしくないのに無理やりにのませていると、赤ちゃんは、だんだんと、お乳に興味を持たなくなってゆきます。いやなものだから、のみながら眠ってしまって、たくさんのまないようにしてみたり、反抗心をおこして、ぐずぐずのむようになったりします。

[授乳中に眠ってしまうケースの対処]

○授乳を始める前に、赤ちゃんが完全に目を覚ましていることを確認してください。ベビー ベッドの中でおくるみを外し、パジャマから足を 出して、肌が冷たい空気を感じて自然と目を 覚ますようにしましょう。その後、授乳を始めます。

○あまり暖かくしすぎないことが肝心です。 厚着はさせず、お部屋も暖めすぎないようにしてください。プレイマットをあなたの隣に置いて、赤ちゃんが眠りそうになったらすぐにプレイマットに移動させましょう。必要であれば、服を脱が せてください。体を伸ばしたり,キックしたりしやすくなりま す。数分もすると、赤ちゃんは床に置かれたことが嫌 でぐずりだしますのでそうしたらもう一度抱っこして 同じ胸からさらに数分授乳してください。この作 業を2~3回繰り返さなければいけないかもしれません。

○可能であれば、搾乳したお乳を使って夜22時台の授乳をパパに代わってもらいましょう。こうすれば ママも一晩のうちに少なくとも数時間はまとまった 睡眠をとることができます。

・睡眠時間と寝る前(22時台)の授乳量は関係 している。朝早く起きるようなら多めにあげる。但し 朝の授乳量が少ないときは睡眠時間が減ら ない程度に22時台の授乳量を減らす必要も。 昼寝前も少し多めにする。※20

【Sucking instinct】

Babies nurse eagerly for two reasons

➀because they’re hungry.

②because they love to suck.

If you feed them but don’t give them enough chance to suck, their craving for sucking will go unsatisfied and they will try to suck something else- their fists, thumbs, or clothes. Some babies feel this urge more than others.

Buttle-fed babis sometimes end up overeating because they just keep on sucking and the formula keeps on flowing. When they overfill their stomachs, they spit up or pass large watery stools. Less often, breast-fed babies have the same problem.

授乳のたびにたっぷり時間をかけ、一日の回数もふやして、心ゆくまで吸わせてやることが大切です。

You can’t be sure it’s hunger just because a baby tries to eat her hand or starts to take the bottle eagerly. Often a baby who is having colic will do both these things. It seems the baby  herself can’t distinguish between colic pain and hunger paines. In other words, you don’t always have to feed a baby every time she cries. If she is crying at the wrong times, you have to study the situation. She maybe wet, or too warm or cold; she may need to burp or be comfortable; or she may just need to let out, a few cries to release tension. If this keeps happening and you can’t figure it out, discuss the problem wit your doctor. ※18

●母乳をあげるタイミングの変遷

When to feed

・20世紀前半

A hundred years ago, experts told parents to feed their babies every four hours by the clock. This plan, which was supposed to prevent diarrhea, worked well enough for many babies. With the availability of pasteurized milk and safe tap water, severe diarrhea became much less of a problem for babies.※18

・1942 Self-demand feeding

 実験The baby awoke rather infrequently for the first few days; then, starting about the time the milk began to come in during the second week, he awoke surprisingly often, about ten times a day. After two weeks he settled down to six or seven feedings a day, at rather irregular intevals. By ten weeks he had arrived at approximately a two-to four- hour schedule.

 That brave experiment inspired a general relaxation in infant feeding schedules. We know that breastfed babies in the first two hours. That means that some nurse every three hours and some as often as every hour and a half. All of these patterns are normal, and it’s normal for feeding frequency to change over time.

 From a baby’s point of view, the most important thing is to be fed more or less right away. I say more or less, because most babies can wait a little now and them. But when they have to scream with hunger for long period, they don’t learn to trust in the people who provide for them, and they can come to feel helpless and alone. Most babies, however, can adjust their hunger cycles to fit the regular times that feeding occur.

 A regular schedule also helps parents to conserve their strength down to a reasonable number of feedings at predictable hours and giving up the night feeding as soon as possible the baby is ready.

 たいていの赤ちゃんは、授乳の時間も睡眠の時間も、自然に規則的なかたちにおちついていくものです。親がそのようにしむけることも手伝って、やがて授乳の時間割は落ちつき、それが赤ちゃんにも親にもムリなく受け入れられて、生活のリズムができていきます。赤ちゃんはめいめい、(1時間半から4時間ぐらいで目をあます)自分に合う時間割をつくりだしていくものです。しかしそれには、数週間はかかるでしょう。

 昼と夜が反転していても、生まれて数週間もすれば、夜の睡眠時間はだんだん長くなってくるし、夕方泣きさわぐのも、永久につづくわけではありません。

2,3か月もすれば、少しずつよくなってきます。昼間はあまり眠らないで、お乳をのんだり、はしゃいだりむずがったりするようになり、夜はほとんど通して眠ります。

お誕生近く(1年後)にもなれば、たいていの赤ちゃんは、夜通しねむります。朝早くに目をさまして、お乳をほしがるかもしれませんが、のんだら、また1,2時間は眠るでしょう。このころになると、1日3回の食事をとり、そのほかに軽い食事を2回ほど食べます。そして、1,2回ひるねをして、最後の授乳がすんだあと、適当な時間になったらねむります。

自己欲求授乳といっても、生後2ヵ月までは3時間おき、ついだ3時間半おき、3ヵ月をすぎたら4時間おきぐらいが適当だということを、一応頭にいれておいて、おこしてのませた方がよいでしょう。昼間のうちに、5時間も6時間もねむらせておくと、夜3時間ごとぐらいに泣いて、夜と昼とをとりちがえた赤ちゃんになるでしょう。Parents shouldn’t get the idea that the more they give up for the child, or that have to prove that they are good parents by ignoring their own convenience.※18

・Middle-of -the-night feeding:

 The easiest rule for night feeding is not to wake your baby but to let him wake you. Then some night, probably when hi7s between two and six weeks old, he will sleep through wntil 3:00 or 3:30 a.m. Feed him then.

 When babies get ready to give up the middle-of-the- night feeding, somewhere between six and twelve weeks, they usually do it in a hurry, within two or three nights.

In the case of the breast-fed baby, he may nurse longer at his other feedings. In the case of the bottle-fed baby, you can increase the amount in his other bottles to make up for the bottle he’s given up, if he wants that amount. Night feedings should be extra given quietly in a darkened room, in contrast to daytime feedings, which can be accompanied by more stimulation.

Giving up the middle-of-the-night feeding.

If a baby reaches the age of two or three months and weighs twelve pounds (5kg 半くらい) but still wakes for a middle-of-the-night feeding, it’s sensible to try to influence him to give it up. If he doesn’t quiet down but instead is soon crying furiously Instead of hurrying to him as soon as he stirs, you can let him fuss for a little while. If he doesn’t  quiet down but instead is soon crying furiously, apologize to him and feed him promptly. But try again in another week or two. From a nutritional point of view, a twelve-pound baby who’s eating well during the day doesn’t really need this feeding.

午後10~11時に寝て午前、5~6時起床を 想定し、寝る時間の前に寝てたら起こし授乳してから寝る事を推奨。※18

【射乳現象とペース】

出産直後以降は泣かなくても、授乳の間隔は3時間以上あけないようにします。3時間以内であれば、短い分には1時間おき、2時間おきでもかまいません。

 「3時間以内」というルールは、母乳育児のとても大事なポイント。

 赤ちゃんの胃の中で母乳が消化するのは3時間(良質な母乳なら睡眠中も)良質な母乳であれば、睡眠中でも順調に消化するので、3時間たてば空腹になり、「お腹がすいた!」と泣いて起こしてくれるでしょう。

 一方、脂肪分の多い、消化の悪い母乳を飲んでいる場合や、粉ミルクだと3時間以上続くため、朝方まで寝てしまうことになります。

 とくに、母乳は夜間に多くつくられますので、一緒になって寝てしまうと、翌朝、乳房はパンパンにはってしまいます。こうして3時間以上たった乳汁は、古く溜まった「溜まり乳」といい、赤ちゃんは飲みたがりません。その状態を放置すれば、乳腺炎になる可能性も高くなってしまいます。

・生後100日までは1日15~20回、生後100日~断乳までは1日8~10回を目安(多い分には問題がない)。

 1歳前後には「おっぱいの嵐」というほど、1日に10~20回くらい飲むようになります。

100日戦争と名付け、おっぱいがはっている状態は古い母乳が貯まっている、よくない状態です。よい状態であれば、母乳が出るリズムが決まっていて、それに合わせて赤ちゃんが吸うようになっているので、つねに乳房が空っぽの状態でいられるはずなのです。

射乳現象(母乳が出るリズムのこと)

[産後100日まで]10~60秒くらい乳汁の分泌が持続し、その後の3~10分間、乳汁分泌は休憩に入ります。でも、赤ちゃんがそのまま乳房を含んで待っていると、また射乳現象が繰り返されます。一度の授乳で赤ちゃんが満足するまでには、1時間ほどかかると考えていいでしょう。

[産後100日から]射乳現象が2~3分と長くなり、休憩も2~3分と短くなります。15分ほどで満足できるようになり、お母さんもぐっと楽になるはずです。

100日を過ぎれば、なかなか母乳の出なかったお母さんもでるようになりますし、射乳現象の変化によって授乳時間も短くなります、※11

・母乳育児実施率は生後3か月40%代、1~2歳までは数パーセントとなる傾向があります。

・出産後のおっぱいはゼロで当たり前。

 ホルモンが順調に働きだすまでには3日~1週間くらいかかります。

 あふれるようには100日くらいかかる。

 その出が悪い間は約1週間から1カ月は、皮下脂肪から栄養をとれるようになっています(そのため皮下脂肪が溶けて体重が減る)。

・授乳を始めたばかりの数日は、母乳が出にくいことが多いものです。赤ちゃんも最初からうまく飲める子ばかりではありませんから、初乳は少しでも足りるように、栄養満点、高カロリーになっています。

 それだけでなく、赤ちゃんは皮下脂肪に約3日分の影響をもって生まれます。もし2日、3日で体重が減少しても、あわててミルクをあげる必要はありませんよ。※11

・生後1ヵ月くらいは、おっぱいと30秒くらい吸って15秒くらい休むのです。赤ちゃんはしばしば止まって、お母さんの反応を待っているのです。一種のコミュニケーションです。コミュニケーションの最初の形態は「授乳」です。※2

 授乳のコミュニケーションが2か月ごろになると15秒くらい吸って7~8秒休む。交互作用のペースが少し早くなります。※2

[生後2ヵ月]

 とくに生後2ヵ月ごろまでの乳児は満腹感に乏しく、何度も母乳を欲しがります。すると、授乳によって母乳をつくるホルモンのプロラクチンが増加するため、この時期はお母さんも授乳すればするほど、母乳の分泌が増していきます。

 生後二か月間は、母乳育児を確立するためにとても大切な2か月間であり、同時に、母親になるためにとても重要な時期ともいえます。※8

【搾乳】

母乳育児を成功させるポイントの理由は単純で、 母乳の出は「需要と供給によって決まるからです。 生まれたばかりの赤ちゃんかほとんどの場合、片方の 胸から飲むだけでお腹がいっぱいになります。もう片方の胸から少しだけ飲む子もいますが、この時期に両 胸のおっぱいを飲み干せる赤ちゃんはほとんどいません。2週目が終わる頃には、母乳の出もバラン又がとれて、赤ちゃんが欲しがる分だけお乳が作 られるようになっているはずです。3~4週目には赤 ちゃんは成長期を迎えて、食欲が増加します。現存 一般的には6週までは搾乳をすべきではないと言 われていますが、その通りにしながらスケジュールに従おうとすると、ここでしばしば問題が生じます。

増加した食欲を満たすために、2~3時間おきの 授乳パターンに戻らなければいけなくなるため、夜中の授乳2回に増える可能性があります。このパターンが成長期がくるたびに繰り返されて、 結果的に、眠る直前に授乳するのが癖になります。このせいで、「ねんね」= 「おっぱい」だと 刷り込まれ、赤ちゃんを以前の授乳リズムに戻すのがもっと大変になってしまいます。産後早 い段階で搾乳をしていれば、お乳の出が悪いといった問題も起こりにくくなります。

・1~4週の間に、夜22時台の授乳で搾乳 したおっぱいやミルクを使ってあげることにすれば、 授乳を他の人に代わってもらうことができます。 哺乳びんから飲める赤ちゃんであれば、夜21 時30分~22時の間に搾乳をすませて、そのあと 布団に入りましょう。この時間に搾乳するのは、 お乳の出をキープし、夜中の授乳のときに十分 な量のおっぱいが出るようにするためにも、大変 重要です。

搾乳に一番適した時間は、通常おっぱいの 張りが強い午前中です。授乳時間がきたら まず搾乳をすることとすれば簡単です。授乳の 前に最初の胸から搾乳をするか、または まず授乳をして、その後もう片方のおっぱいを 赤ちゃんにあげる前に搾乳してください。片方の おっぱいをあげながら、もう片方を搾乳するのが楽だというママもいます。授乳前に 搾乳したほうが次の授乳時間まで時間が 長く空きますので、より多く母乳を作ることがで きるという利点もあります。

ジーナ式では、朝6時45分に搾乳するように すすめていますが、母乳の出が十分で、早朝の 搾乳をする気にならないときは、赤ちゃんが最初の おっぱいを飲み終えた朝7時30分ごろに2番 目のおっぱいから搾乳を始めてもいいでしょう。

○はじめのうちは、60~90ml搾乳するのに 朝で最低15分、夜は30分程度をみておく必 蛮要があります。1ヵ月もすると、夜21時30分の搾乳で両胸用の搾乳器を使用すれば、10 分もあれば60~90ml搾乳できるようになります。

○母乳の製造量が減る夜間は、催乳が鈍いこともよくあります。リラックスできる温かいお風呂やシャワーは、お乳の流れをよくする効果があります。さらに搾乳の前と搾乳中 に、胸を優しくマッサージするのも効果的です。

○母乳の出が安定してきたら、搾乳する量を減らしても構いません。けれども、復職することになって いる場合は、赤ちゃんが6~7ヵ月になって完全に 離乳食が軌道に乗るまでは、22時台の授 乳時に搾乳を続けることをおすすめします。 仕事に戻ると母乳の出る量が劇的に減る ことが多いようです。けれどもこの時間に搾乳を続けることで、おっぱいの出をキープすることができるはずです。

6ヵ月未満で離乳食を始めることに 決めた場合は、搾乳をストップしても構い ません。医師らのすすめで早めに離乳食食 を始め、すでに3回食が定着し、12時間夜通 し眠っているようであれば、おっぱいの出に影響 なく搾乳をストップすることができるはずです。

搾乳をすすめる理由

➀成長期が訪ずれたときに、不足分を補うために授乳回数を増やさなくてもよくするため②搾乳をしていればおっぱいの出が悪くなることは決してありません。※20

【母乳過多】

片胸からの搾乳で、120~150ml出ているとき催乳時に鋭い痛みを感じることもあるでしょう。

おっぱいの張りすぎや、乳管の詰まり、乳腺炎などのトラブルが起きることがあります。

赤ちゃんの体重が3.6kg以上であれば、飲める 量が増えるまで片胸からの授乳を続けていれば 大きな問題にはなりません。しかし体重がそれ下 の場合は、後乳が出てくるまで飲み続けることが なかなかできません。

○出すぎるために、おっぱいを飲んでいる赤ちゃんが泣いてしまう。

○前乳は乳糖を多く含むため、前乳だけを飲んで いる赤ちゃんは お腹に空気がたまりやすく吐くことが多い。また後に含まれる脂質を飲んでいないせいで、早めに次のおっぱいが必要になる。

→対処法

●片方の月からのみ授乳する。1時間以内にまたおっぱいを欲しがる場合は、同じ胸からあげる。

○出すぎるためん、おっぱいを飲んでいる赤ちゃんが泣いてしまうときは、授乳前に少しだけお乳を搾って出しておく。胸に刺激を与えて、もっとお乳を作るように脳に信号を送らないように、搾りすぎに注意すること。 →赤ちゃんの成長に合わせて母乳の出も需要と供 糸のバランスが整ってきますので、母乳過多の問題も 解消されていきます。※20

【授乳ケア】

 乳房の基底部(乳腺体の後面)の進展性をよくするものです。乳腺の詰まりをとり、乳房中に溜まっている古い母乳を搾乳することで、乳房を空にし、活性化を促す。そうすることで催乳現象が起こり、新鮮な母乳の分泌が始まるようになります。※11

 乳腺炎とは、乳房が詰まって痛みを伴って腫れることに加え、発熱など全身症状が起こる病気です。授乳中のママの20~10%がかかるといわれています。その原因は、授乳k何核が空いてしまったり、赤ちゃんの吸着が適切でなかったりすることにより、母乳がうっ滞(たまったり、停滞してしまう状態)することです。※16

・3~5日目ごろにはおっぱい が張り始め、硬く敏感になり、触ると痛い ほどになります。これは成乳が完全に出始めた証 拠です。

痛みの原因は、母乳が出始めたことに加え乳 腺が広がって胸に流れ込む血液の量が増え たためです。おっぱいが出始めたら、少量ずつ頻繁 に授乳する必要があります。おっぱいを刺激し母乳の出をよくするだけでなくこうすることで胸の 極端な張りからくる痛みが緩和されます。張りが強いと赤ちゃんが上手におっぱいに吸い付 くことができませんので、授乳の前に少し搾乳するといいでしょう。温かく湿らせたタオルを胸に当てて、手で優しく搾乳します。また、授乳と 授乳の間に冷やしたキャベツの葉をブラジャー 挟むと鎮静効果があるようです。※20

乳の出始じめと胸の張りの対応

○日中は3時間以上、夜中は4~5時間以上 授乳間隔が空かないように気を付けましょう。

○授乳の前に温かいお風呂に入ったり、お 湯に浸して温めたタオルを胸に当てたりすると 母乳の流れをよくするのに効果的です。必要で あれば、授乳の前に軽く手で擦ると、赤ちゃん がおっぱいに吸い付きやすくなります。

○湿ったタオルを冷蔵庫で冷やし、授乳後に 胸に当ててください。血管が収縮し、腫れる 抑える効果があります。

○湿ったタオルを冷蔵庫で冷やし、授乳後に 胸に当ててください。

血管が収縮し、腫れを抑える効果があります。

○外側から2枚目のキャベツの葉を冷蔵庫で

冷やし、授乳と授乳の間にブラジャーに 挟んで胸に当てておきます。

[痛み]

・おっぱいをあげ始めたばかりの時期に痛みを 感じる理由は、授乳時の赤ちゃんの抱き方が 正しくないケースがほとんどです。赤ちゃんか乳首の 先端を噛むことになり、十分に飲むことができ ませんので、すぐにお腹がすいておっぱいを欲しがり また乳首を傷付ける、という悪循環に陥ります。

○必ず赤ちゃんのお腹とママのお腹をくっつける ように抱っこしましょう。乳首全体だけでなく乳 輪もできるだけ大きくくわえられるように、赤ちゃ 人の口が十分開いているのを確認してください。※20

【哺乳瓶による母乳育児への影響】

 赤ちゃんは適応能力が高いので、哺乳瓶のラクさを覚えると、母乳にも同じようなラクさを求めるようになります。そうなると、乳首の先だけを吸うようになり、乳首が切れて、お母さんはその痛みから授乳をいやになってしまうことがあります。

赤ちゃん自身も、吸うのが大変な母乳よりもラクなミルクを好むようになってしまうので、注意が必要です。※8

【哺乳瓶の消毒について】

 ・ミルクと関連する病気の原因菌

 ➀サカザキ菌と②サルモネラ菌

➀サカザキ菌

 現在の製造技術では粉ミルクを無菌にすることはできず、特に土壌や水など環境中に多く存在するサカザキ菌は、どうしても検出されます。サカザキ菌に一旦感染してしまうと、髄膜炎などといった重症の感染症を起こすことがあるのです。

 一歳未満の赤ちゃんは感染のリスクが高いといわれていて、特に危険なのは感染のリスクが高いといわれていて、特に危険なのは2ヵ月未満の赤ちゃんや、早産や低出産体重児の赤ちゃん、そして病気などで免疫が抑制されている赤ちゃんです。

 育児書では生後一か月まで、ネットでは少なくとも3~4か月まで哺乳瓶の消毒を推奨。

サカザキ菌は、71~72℃に加熱すれば、およそ0.7秒ごとに10分の一の数に減らすことができます。

そんとあめ、世界保健機関(WHO)の2007年のガイドラインでは、粉ミルクの調乳は70℃以上で行うにと書かれています。

サカザキ菌の一部の株は、特にシリコンやプラスチックの表面にくっついて繁殖し、バイオフィルムという膜を形成します。一般に、バイオフィルムが形成されると物理的に除去するのは大変で、消毒薬や洗剤を使っても落としにくくなると言われています。

できるだけバイオフィルムを作らせないことが大切ですし、バイオフィルムができてしまったら十分に消毒することが必要です。

WHOガイドライン→哺乳瓶は1歳になるまで毎回消毒。※16

・アメリカのガイドライン

ミルクを作る際に勧められているのは、ミルクを作る前に手を洗うこと、哺乳瓶や哺乳瓶の乳首をよく洗うこと、室温で2時間以上置いてあったミルクは捨てること、の3つです。

食器洗い乾燥機に入れれば、自動的に60~80℃程度のお湯にさらされることになるので、サカザキ菌を減らす効果もある程度期待できそうです。

2003吉留厚子『看護研究-慣習的な乳房清拭および哺乳瓶消毒を再考する』大分看護科学研究によると、

有効(菌が検出されなかった)洗浄・消毒方法

・98℃/90℃のお湯を50ミリリットル哺乳瓶に入れて5分間放置する方法(60℃はダメ)

・60ミリリットルの水を入れて5分/3分レンジで加熱する方法(1分ではダメ)

・食器洗い洗剤とブラシで洗う方法(水道水のみはダメ)

→菌がついた直後に洗浄(バイオフィルムが形成される前)がポイント

→哺乳瓶は使ったらすぐに洗浄し、ブラシと洗剤を使って、ミルクの汚れをきちんと洗い落とすようにしてください。すぐに洗浄するのが難しい場合も、その場でさっと水でゆすいでおくのがおすすめです。更に、数回に一回でも消毒が推奨。

液体ミルクは無菌なので、常温のまま赤ちゃんに与えることができますが、哺乳瓶に移し替えて使うものが多いです。粉ミルクと同様に、哺乳瓶を清潔に保つことを心がけてください。

さらに、赤ちゃんを感染から守るためには、手を洗う事も大切です。哺乳瓶を組み立てたり、調乳したりする前は必ず手を洗いましょう。夜中など、手を洗うのが大変なときは、手指消毒スプレーで手を消毒するのでもいいと思います。

大切なのは菌が繁殖しないよう、汚れを落とすことです。※16

【働きながら母乳育児をするコツ】

  • 直接飲ませる場合

 昼休みに赤ちゃんをつれてきたり、保育園や家に帰ったり。

  • 預けている場合
    • 冷凍母乳を預けて飲ませてもらう
    • 離乳食のみを与え、母親は職場で搾乳して母乳を捨てて、夜間や休みのときだけ母乳を与える。1年間育児休業明けの母親はこの方法でOK。

[冷凍母乳の注意点]

 ・搾乳して母乳を冷凍し、冷凍した母乳を解凍して与える

 ・冷凍母乳は一度解凍したら、残ったとしてもその分は捨てる

 ・持ち歩く途中で溶けた母乳を捨てる(腐敗しやすい状態になっているので、赤ちゃんが下痢などをすることがあります。注意してください。)※11

職場復帰と母乳育児

○日中10時と14時30分の2回か、21~22時の間に搾乳

○2週目までには22時台の授乱で、哺乳びん を使って搾乳したお乳をあげてください。 仕事と 復帰したときにスムーズに哺乳びんに移行できます。

○片胸用の搾乳器の場合は、右と左の胸を何度も切り替えながら交互に搾乳したほがお乳の流れがいいようです。※20

【母乳からミルクへの切り替え方】

しっかり計画を立てて行わなければいけません。 断乳の時期を決めるための目安として、いったん お乳の出が安定したら、授乳1回分の量を減 らすのに1週間かかるということを覚えておいてください。

たとえば、母乳の出がしっかり安定するには 約6週間かかりますが、その後断乳を決めた場合、母乳での授乳をすべてミルクに切り替る には、最低でも、5週間はみておかなければいけません。おっぱいがきちんと出始める前に母 乳育児をやめてしまう場合でも、赤ちゃんが哺乳びんからミルクを飲むのに慣れるための時間を考慮に入れておかねなければいけません。おっぱいから飲むことで得ていた喜びや安らぎの感覚を突然失うと、不安定になる赤ちゃんもいます。

母乳からミルクに切り替えるためのスケジュール

○おっぱいをあげていたのが1ヵ月以内であれば、1回分 の授乳をミルクに切り替えるのに、3~4日かけるようにアドバイスしています。1ヵ月以上母乳をあ げてきたママは、1回分の切り替えにち〜7日は かけてください。夜22時迄のおっぱいをあげる時間を1日に5分ずつ減らして、その後、ミルクで不足分を補完すると一番無理がありません。

断乳か、卒乳は、慎重に計画を立てて行えば、 赤ちゃんが哺乳びんに慣れるための時間も確定 保できますし、母親も乳腺炎になるリスクを回 避できます。乳腺炎は十分な時間をかけずん 急に母乳をストップしてしまうと起こりやすい ため気を付けてください。

切り替えを進める内も、夜21時30分の搾乳は継続してください。搾乳できる量で、どれくらい お乳の出が減っているかが今かります。ステージ3に進んだら、21時30分の搾乳を時間を毎 晩3分ずつ短かくして、搾る量を徐々に減らして いきます。搾乳できる量が60ml程度になって、朝方のおっぱいの張りも強くなければ、この時間の搾乳をストップできるはずです。完全に断乳したあとは、胸を刺激しないように注意しましょう。お風呂に 入って胸を温めると、残っているわずかな母乳を 出しきることができます。

●おっぱいをあげる回数が1日2回まで減るち 急激にお乳の量が減ることが多いようです。ここで 注意すべき兆候は次の2点です。①赤ちゃんが授 乳が終わっても機嫌が悪い。②次の授乳時間 のかなり前にすでにお腹がすいている。もしもどちらか の兆候があれば、おっぱいをあげたすぐあとに、 搾 乳したお乳かミルクを30~60ml足してください。 こうすることで、お腹がすいて睡眠リズムが崩れてしまうのを防ぐことができます。

それぞれのステージで3~4日、もしくは5~7日 かけて母乳の回数を減らしていきますしかける 日数は母乳育児の期間によって決まります。)※20

【ミルク育児】

イギリスの保健期間は、4ヵ月未満の赤ちゃんの場合 体重1ポンド(約454g)当たり70mlのミルクが必要だとしています。 1日に必要な授乳量を授乳回 数で割ります。(搾乳されたおっぱいも同じ)

・正しい時間帯(7時、10時30分、22時30分など に飲む量が増えるように授乳を管理しましょう。 これは母乳育児にも当てはまります。1日の必要 摂取量のほとんどを朝7時から夜23時の間に飲ませていれば、夜中に必要な量は減り、ゆくゆく は完全に授乳をストップすることができます。※20

成長期の間は、7時、10~10時30分、22~23時の 授乳量をまず増やしてください。

ミルクを赤ちゃんにあげる前に、手首の中央部分に 数滴垂らして必ず温度をチェックしてください。ぬる いくらいが適温で、熱くてはいけません。一度 ミルクを温めたら、もう一度温め直してはいけ ません。バクテリアが繁殖しやすく、ミルク育ちの赤ちゃんがお腹を壊す原因として知られています。

ミルクを前もって作り置きすることは現在推奨されていません。 授乳のたびに、一度沸騰させたあと、 70度まで冷ましたお湯で1びんずつミルクを作るのが一番安全な方法だとされています。

○ミルクを準備し道具を消毒する場所は、ゴミ 一つなく清潔に保たれていなければいけません。キッチンカウンターは、毎事朝洗剤を混ぜたお湯で完全に洗い流しましょう。使った布巾を熱湯でしっかり洗 って、洗剤が残らないように,もう一度きれいに拭き 取りましょう。それからキッチンベーバーと殺菌ス系プレーを使って最後の仕上げ拭きをしてください。

○正午ごろ赤ちゃんは長めのお昼寝に入る。

○キッチンタオルは細菌繁殖の温床ですので、キッチンペーパーで拭いてください。

ミルクの飲ませ方

初めのうちは、赤ちゃんを抱きかかえている腕をクッションにのせてサポートするといいでしょう。赤ちゃんの背中はできるだけまっすぐにして、体を倒しすぎないように支えてあげてください。

○赤ちゃんが熱いミルクに慣れてしまうと、授乳が進むにつれてミルクが冷めたときに飲むのを嫌がるようになります。

○授乳が始まったら、赤ちゃんが空気を吸い込みすぎないように、哺乳びんの角度を十分に上げて、乳首全体がいつもミルクでいっぱいになっているように してください。まず赤ちゃんが欲しがるだけ飲ませて、その後、様子を見てげっぷをさせます。

まだしたくないときにげっぷをさせようとすると、 赤ちゃんの機嫌が悪くなります。

○ミルクをほとんど飲んで、げっぷもすませたあと10 ~15分休憩して、その後再び残りのミルクを飲む赤ちゃんもいます。はじめのうちは途中に休みを挟 むながら飲んで、ミルクを終わらせるのに40分かかることもあります。

○6~8週目には、20分ほどで飲み終わることが 増えてきます。授乳にかなり時間がかかったり、飲んでいる途中にいつも居眠りしたりする場今は乳首の 穴が小さすぎるのかもしれません。この時期に、乳首を サイズアップする必要がある赤ちゃんも出てきます。

・ミルクを飲むのに時間がかかり、ほんの少し飲んだだけでやめてしまうときは、授乳間隔を少し長めにしてみてください。

・60mlほど飲んだところで赤ちゃんが授乳を嫌がり始めたら、まず飲みたいだけ飲ませて その後20~30分様子を見ます。通常、10分もすると再び 残りを飲み始めることが多いため。

・10~15分でミルクを全部飲みきって、もっと欲しがる赤 ちゃんもたまにいます。こういう赤ちゃんは「よく飲む赤 ちゃん」とひとくくりにされますが、実際にはたいてい、 お腹がすいているというより、吸うのが大好きなのです。 吸う力がたいへん攷いために、あっという間にミルクも飲 み終わってしまいます。吸うという行為は、小さな赤ちゃんに とっては、お乳を飲むための手段というだけではなく、 生まれてすぐにできる遊びのひとつでもあるのです。 あな たの赤ちゃんが授乳のたびに必要量をあっという間に飲 み干して、もっと欲しがる場合には、小さめの穴の乳首を 試してみてもいいかもしれません。

ミルク育ちの赤ちゃんの場合、体重別に推奨され ているミルクの量をかなり超過して飲ませていると体 重があっという間に増えてしまいます。1日に60~70ml余 分にあげる程度であれば問題はありませんが、飲みすぎ の赤ちゃんで毎週のように240g以上体重が増えている為 と、ゆくゆくは太りすぎてミルクだけでは空腹を満たせな くなるでしょう。離乳食を始めてもいい時期が来る前にこのような状態になると、大きな問題になる可能性 もありますので気をつけてください。

・赤ちゃんが朝7時の授乳の時間が来ても眠っていることが多く、目が覚めてもそれほどお腹がすいて いないようであれば、夜中の授乳を30ml減らしてみましょう。

ミルクの与えすぎ

ミルク育ちの赤ちゃんに一番よくある初期のトラブル。 この問題が起きる理由は、哺乳びんからミルクを飲む のが速すぎて、「吸いたい」という赤ちゃんの自然な欲 求を十分に満足させることができないために、口から哺乳びんを離すと泣きだす赤ちゃんがいるせいだと私は考えています。このときに、泣いている赤ちゃんを見てお腹がすいているせいだと解釈するママが多いために、結局もう1びん分ミルクを あげてしまうのです。このミルクの与えすぎの傾向があっという 関に習慣になり、赤ちゃんの体重は毎週みるみる増加していきます。この問題を放置しておくと、(6ヵ月以下の場合 離乳食を始めるには小さすぎるのに、ミルクだけでは食欲 を満足させることができなくなってしまいます。

30mlほど多めに飲む必要のある赤ちゃんがいるのも確かですが、1日に飲む総量が必要量を150ml以上超えていて毎週体重が240g以上増えている場合は特別な注意が必要です。

「吸うこと自体が大好きな子」だと感じたときは、授乳のあとに おしゃぶりをあげたりしました。

○胸のサイズは母乳の製造量にはまったく関係もがありません。

○おっぱいにはそれぞれ15~20の乳管があり、ひとつひとつの乳管にお乳をつくる乳腺房がいくつも つながっています。母乳はこの乳腺房の中でつくられ、 赤ちゃんが吸ったときに乳管を通って押し出されます。

・もう一方のおっぱいを与える前に、必ず最初の おっぱいが空になっていることを確認しましょう。こう することで、もっとお乳を製造するように信号が出されます。

[湯冷まし]

赤ちゃんが8~12週で夜中に目を覚ます場合、それが 習慣になっているせいであれば30ml程度の湯冷まし を与えることが長い間推奨されていました。 →近年、湯冷ましに関するアドバイス改定があり 現在は6ヵ月未満の赤ちゃんに湯冷ましをあげることは推奨されていません。月齢が6ヵ月以上で

夜中に目を覚ます理由が空腹ではない土場合は、 湯冷ましを30ml与えて再び眠りに戻るのを待つ のは有効です。しかし、眠りに戻るのを嫌がったう 眠っても30~40分後には目を覚ましたりするのであ れば、湯冷ましをあげる意味はありません。※20

【Equipment Needed for Breast-feeding】

[Nursing Bra]

 A good nursing bra should not press tightly against the nipples, as this can be a cause of blocked milk ducts.

[Nursing Pillow ]授乳クッション

 They can also be used for propping babies up and make a excellent back support for  older babies who are learning to sit up.

[Nipple Cream and Sprays]

The main cause of pain is poor positioning of the baby on the breast. If you experience pain either during or after feeding, it would be wise to consult your doctor or lactation consultant for advice before purchasing a cream or spray. No other special creams or soaps are recommended when breast-feeding. Simply wash your breasts twice a day with plain water and each after each feeding. The nipples should be rubbed with a little breast milk and allowed to air dry. 

[Electric Breast Pump] 電動搾乳器

•If breast-feeding, purchase your for the Birth your electric breast pump well in advance.※20

I am convinced that one of the reasons the majority of mothers I advise are successful at breast-feeding is because I encourage the use of an electric breast pump. In the very early days when youare producing more milk than your baby may need (especially first thing in the morning), this milk can be expressed using one of these powerful machines.   The expressed milk can then be stored in the fridge or freezer and used as a top-up later in the day when you are tired and your milk supply may be low. Not enough milk is, I believe, one of the main reasons why so many babies are restless and will not settle after their bath in the evening.

If you want to breast-feed and quickly establish your baby in a routine, an electric breast pump will be a big asset. Do not be tempted by one of the smaller hand versions, which can be so inefficient as to put many women off expressing at all.  

[Bottles ]哺乳瓶

Most location consultants are against new born babies being given a bottle, even of expressed milk. They claim that it creates nipple confusion, reducing the baby’s desire to suck on the breast, leading in turn to poor milk supply and the mother giving up breast-feeding altogether. My own view is that the majority of women give up breast-feeding because they are totally exhausted with ” demand feeding”, often several

times a night.

I advise giving babiesаbottleаday of either expressed milk or formula milk from the first week and introducing it by the fourth week at the latest. This one bottle can be given either last thing in the evening or during the nights by someone other than the mother, thereby allowing the mother to sleep for several hours at a stretch. This, in turn, is likely to make her more able to cope with breast-feeding.

I have never had a problem with a baby rejecting the mother’s breast or becoming confused between nipple and bottle nipple, but this could happen if, in the early days, a baby was offered more than one bottle a day.

早い時期から1日2回以上哺乳びんを使っていると

Other good reasons for getting your baby used to a bottle are the following:

➀it gives you some flexibility

②the problem of later introducting bottles to an exclusively breast-fed baby doesn’t arise.

→完全母乳の赤ちゃんが必要になったときに哺乳びんを受け付けない

③it gives the baby’s father a wonderful opportunity to become more involved.

• It is also worth looking around for bottles that are free of Bisphenol A (BPA) as some scientists believe that this chemical, common in clear plastic feeding bottles, can leach into the milk.

•I suggest that you start by using a newborn nipple, which will encourage your baby to work as hard drinking milk from a bottle as when breast-feeding.

しかし、流れが悪すぎるとお腹に空気がたまりやすくなることもありますので、赤ちゃん の様子をしっかり見て、合っていないようであれば大きめの穴のものルサイズアップしてください。早いと3週目にはサイズアップが必要になりますが、通常は8週前後が多いようです。

【Equipment Needed for Bottle-feeding】

[Bottles]

If your baby is likely to take all his milk from a bottle, the wide-necked bottles is important that the risk of developing colic(疝痛=内臓疾患による発作 性腹痛) or wind(お腹に入る空気の量) is kept to a minimum. The wide-necked bottles, in time, can also be adapted to become feeding cups with soft spouts and handles.

[Nipple Brush]乳首用ブラシ

Most mothers find that the easiest way to clean a nipple is by using their fore finger. ブランを使うと乳首の穴をダメにして 買い換えなければいけないことが多々あります。「爪を切る」上で人差し指がオススメ。

[Kettle]

ミルクに使用する水は、蛇口から出してすぐの水道水で、沸騰は一回のみ、最長30分冷まして70度になったら使用します。

[Clothes for the Newborn]

You will need to renew your baby’s wardrobe.at least three times in the first year.

When choosing clothes for the first month, don’t be tempted by brightly colored underwear or sleepwear. Newborn babies have a tendency to leak from both ends, and it is impossible to remove stains by washing at anything less than the hottest wash cycle. (60°C以上). Brightly colored garments will soon faded if frequently washed at this temperature, so stick to white, and leave the brighter colors for the outer garments. 下着はカラフルなものはお出かけ用の服で取り入れてください。※20

4章.母乳の質

【母乳の質】

 質のいい母乳…「新鮮でサラサラして、さぱりしたおいしい母乳」です。

 赤ちゃんの飲み方も質と関係します。

 質がいいときは、ちゅくちゅく、ごくんごくん、と一定のリズムで勢いよく夢中になって飲みます。

 悪いときは、飲むリズムが悪いだけでなく、体をくねらせたり泣いたりと集中せず、乳首をかんだり引っ張ったり、…ひどいときには寝たふりをしたり、髪の毛が逆立ったりします。

 良質の母乳は、大人が飲んでもおいしいと感じるはずです。※11

【母乳と食生活】

 その土地に合った食べ物、伝統的に続いてきたような食べ物は安心であり、逆に、それまであまり食べなかったような食べ物を急激に食べると、体に異変を起しやすくなると考えていいでしょう。

 [戦後の急変による影響]日本人は長い間、お米を主食として、小魚や野菜が中心の食生活を送ってきました。戦後60年間で急速に欧米型の食事スタイル:動物性脂肪と動物性たんぱく質の摂取は3~5倍。また肥満、心臓病、がんやアレルギーなど急増。

 魚介類や豆類の中でも、脂肪を多く含むものは控えます。基本的には低カロリーが前提。野菜、海藻をたくさん含んだ和食推奨。

・おっぱい110番での食事指針と制限する食べ物(食事の基本方針)

  • 食品の構成比「穀物4:野菜2:魚介類1」
  • 旬の食材を食べる
  • 無農薬・有機栽培の作物(穀物、野菜、果物)を食べる
  • 添加物をあまり使用しない、なるべく自然で安全なものを食べる
  • 脂肪、砂糖、果物を制限する
  • 刺激物は控える

[具体的に制限する食べ物]

  • 脂っこい食べ物 2.乳製品 3.卵 4.ピーナッツなどのナッツ類 5.餅・赤飯 6.菓子果物など甘い物 7.ジュース・炭酸飲料・清涼飲料水 8.インスタント食品 9.刺激物(アルコール、たばこ、珈琲)

[おいしくない母乳の原因となる食べ物]

 代表的なものは、高カロリー、高脂肪の洋食メニュー、肉や卵や油脂や乳製品を使ったもの、砂糖を使った甘いものです。見逃しがちなのが魚の脂です。まぐろのトロやうなぎ、にしん、さば、さんま、ぶり、はまち、いわし、穴子、ししゃもなども脂肪分が多い。

また、あくの強いタケノコや山菜類、トウガラシなどのスパイス類も控えたほうが安心です。

・母乳の成分となる皮下脂肪は、急に食生活をあらためても、しばらくはその影響が母乳にあらわれてしまいます。※11

一方科学的には、母親の食事の糖分や脂肪分が多かったからといって、母乳中の糖分や脂肪分が増えるわけではないことがわかりました。

糖分や脂肪分の割合にあまり差がなければ、味(味覚)にも大きな差はないと予想できます。

母乳の匂い(おいしさの一要素)は、実際ママの食事によって、変わる。そして羊水の匂いにも、ママの食事が影響する。ただ、生まれたばかりの赤ちゃんが好む匂いとは、ママの羊水の匂いである。※16

・経験上、ママがたんぱく質を十分食べなかった日は、赤ちゃんの機嫌がいつもより悪く

なることが多いような気がします。

乳製品がコリックを誘発すると指摘する研究もあります。

○人工甘味料やカフェインは赤ちゃんのお腹の調子が悪くなる可能性があります。

・イチゴトマト、マッシュルーム、玉ネギ,フルーツ ジュースを大量に摂取すると、赤ちゃんの機嫌 が悪くなることが多くありました。

赤ちゃんがお腹の痛み、下痢、過度のおなら 異常に泣きじゃくるなどの症状を示したら、その 12~16時間前に摂取した食事と飲み物を すべて記録しておきましょう。※20

【ビタミンDの不足と対策】

 もともと母乳にはビタミンDとビタミンK、鉄分が足りないのです。※16

 母乳にビタミンDと鉄分が少ない理由の定説や仮説はなく僕の私見だが、ビタミンDは日光浴などで得られるから、鉄分は6か月くらいまで赤ちゃんの中に貯蔵があるからではないだろうか。

 ここ10数年でビタミンD不足による「くる病(骨変形や成長障害)が増加。2017年母乳栄養の赤ちゃんの75%がビタミンD不足。※16

原因➀アレルギーを恐れた食事制限

 卵や魚にビタミンDが多く含まれている。アレルギーを防ぐために卵などの食品摂取を遅らせることは、現在推奨されていません。もちろん最初は少量ずつ食べさせるなどの注意が必要ですが、卵の黄身や白身魚はアレルギー症状などの問題がなければ積極的に食べることも。白身魚の場合、タラにはビタミンDが少ないので、カレイやシラスがおすすめです。

原因②日光浴の不足

 以前は母子手帳でも日光浴が推奨されていたのですが、1998年以降は「外気浴」という言葉に変わっていますし、赤ちゃん用の日焼け止めも多数販売されています。これは、紫外線の悪影響が認識されるようになってきたからです。たしかに子どもの日焼けは、しわやしみなどの皮膚老化を早める・将来、皮膚がんを起こしやすくなる・目の病気を起こしやすくなるといったデメリットがあるので、皮膚が赤くなるほどの日焼けは避けるべきです。

 しかし、紫外線は、皮膚に当てることでビタミンDを作り出すという大切な役割もあります。

 国立環境研究所2013年

 5.5マイクログラムのビタミンDを作り出すのに必要な日光浴(厚生労働省の基準、接種目安量乳児5.0マイクログラム)

 →晴天の7月の正午・つくば→3.5分

  晴天の12月の正午・つくば→22.4分

 これは大人が顔と手の甲を露出した場合の時間なので、体の表面積が少ない赤ちゃんの場合は、大人の数倍の時間が必要かもしれません。

 帽子はかぶせ、日光に長時間さらされるようなときは日焼け止めを塗りますが、日常的にUVカットのレッグウォーマーをはかせるのはやめて、脚を出すようにしました。

 赤ちゃん用のビタミンDのシロップも一つの選択。

 母乳を通してだと、ビタミンDが過剰になると、血液や尿中のカルシウム濃度が高くなり、腎結石のリスクが上昇する。

 厚生労働省はビタミンD摂取基準量

  授乳婦は1日8.0マイクログラム、成人の上限1日100マイクログラム

大切なのは、紫外線をこわがりすぎず、離乳食は遅らせないこと。※16

【DHA】

 ママの食事によって母乳の脂肪分の合計量はあまり変わりません。しかし、脂肪分としてどんな脂肪酸が含まれているかの割合は、ママの食事内容によって変わることが分かっているのです。

 DHAは、不飽和脂肪酸という物質の仲間で、脂肪を構成する成分の一つです。

 魚を食べるママの母乳はDHA濃度が高いという研究も複数あります。

 また、DHAサプリメントも母乳中のDHA濃度を上げる効果があるようです。※16

【アルコール】

授乳中のママがアルコールを多量に摂取すると、赤ちゃんも母乳を介してある程度の量のアルコールを摂取することになり、短期的には赤ちゃんが傾眠状態になったり、ホルモンバランスが崩れたりする可能性があります。ただ長期的には、授乳中のアルコール摂取の影響は非常に大きいとはいえず、これまでの研究結果からは、少しでも飲んだら大変なことになる、とまではいえないようです。

お酒を飲むとすぐ顔が赤くなるのは、アルコールでなく、アルコールの代謝産物でアルデヒドの代謝速度が影響しています。アルデヒドは母乳中には分泌されないともいわれています。お酒が残りやすい人はアルコール自体の代謝が遅いかもしれない。※16

【カフェイン】

 研究では、生後3―6ヵ月頃までは、カフェインの代謝が大人より遅いことがわかっています。

 現在では、授乳中にママがカフェインをある程度(珈琲2~3杯)摂取しても、赤ちゃんに大きな影響はないという意見が主流です。

 カフェインには、眠気覚ましの効果だけでなく心拍数の増加などさまざまな体への影響がありますが、赤ちゃんが母乳を通して摂取する量は、先にご説明した通りかなり少ない量です。夜泣きに限らず、この程度の量ではっきりとした影響が出るとは考えにくいと思います。

 赤ちゃんが6ヵ月を過ぎたら(大人と同じレベルの代謝能力となるため)2~3杯までなら気にする必要はなさそうですが、もし気を付けるとしたら、コーヒーを飲むならできるだけ午前中、特に授乳直後に飲むようにすると、より安心だと思います。※16

【水銀】

 母乳中の水銀濃度は、母親の血中の水銀濃度の5分の一程度であり、授乳中に水銀が赤ちゃんに与える影響については、それほど心配しなくてよいと考えらえています。

 そのため、日本のガイドラインでは授乳中のママは魚の摂取制限の対象ではありません。一方、アメリカは魚の摂取量のガイドラインを出しています。※16

【乳腺炎と食生活の関係】

 食事内容が乳腺炎のリスクになるという科学的根拠は、現在のところありません。※16

【牛乳などミルク・母乳に似たものと性質】

 骨密度(骨の丈夫さ)は20代でピークを高めるためには、子ども時代の運動習慣と、牛乳をはじめとする乳製品を摂取する習慣があることが重要です。

 一方、牛乳に豊富に含まれているカルシウムと、(哺乳同様牛乳に少ない)ビタミンDを一緒に摂取できれば、骨密度を高める効果は高くなると予想できます。一方で、日本の成分無調整の牛乳では、ごくわずかです。牛乳を一日に500ミリリットル飲んだとしても、ビタミンDは60IU程度の量しか摂取できません。一歳以上の幼児の一日の必要量は600IUなので、その十分の一です。

 日本では、1~2歳の幼児は1日に400~450mgのカルシウムを摂取することが推奨をされています。牛乳100gに含まれるカルシウムは110mgなので、1日480ml程度牛乳を飲めば、カルシウムが足りるということになります。

 Cf.牛乳以外のカルシウム豊富な食物:小松菜100gあたり150ml、鯖の水煮缶100gあたり260ml

 アーモンドミルクはたんぱく質が少ない。

 投入はイソフラボンをとりすぎるというデメリットもあります。

 イソフラボンは、女性ホルモンに似た形をした物質です。動物実験の結果からは、動物の子どもの生殖機能に影響がある可能性もあるといわれており、人間の体への影響は、まだはっきりとした結論がでていません。現在の日本の基準では、大人での安全な摂取の目安量は1日に70mgであり、子どもが大豆イソフラボンをサプリメントなどで摂取することは、勧められないとされています。

・乳糖不耐性

特に冷たい牛乳を一気に飲んだりした時、お腹が張ったり腹痛や下痢が起こったりする。乳糖を分解する力が弱いタイプで、日本人には多いといわれています。しかし、牛乳を少し温めてあげて、ゆっくりコップ一杯分を飲ませてあげたりする分には、症状がない場合がほとんどです。

・牛乳は(母乳同様)鉄分が少ないというデメリットがあります。1~2歳の鉄分の1日の摂取推奨量は4.5mgですが、牛乳100g中に鉄はわずか0.02mgしか含まれてません。 

牛乳を飲みすぎてお腹がいっぱいになってしまうと、ただでさえ不足しがちな鉄分を食事から十分に摂取することができなくなる可能性もあります。毎日継続して650ml以上飲むのは避け、赤身肉など鉄分が豊富な食品を摂取するといいでしょう。

・フォローアップミルクは出来上がり量100ml中1.3ml程度の鉄分が含まれているものが多く、ある程度鉄分を補給することができます。鉄や葉酸を強化した牛乳もスーパーなどで販売されていますが、小さな子どもにはカルシウム・鉄や葉酸などが多すぎる場合もある。

牛乳を1日に1~2杯ずつ与えつつ、他の食事もバランスよく食べ、鉄分・ビタミンDを摂取させてあげることが大切です。※16

【塩分摂取】

 基準5ヵ月までの赤ちゃんは1日0.3g 6か月から11ヵ月は1.5gが目安。

 それ以降は目標量 1~2歳は3~3.5g以下 3~5歳は4~4.5g以下 12歳以上で大人と同じ7~8g。

 WHOガイドラインでは2歳以上の子どもの塩分量はエネルギー摂取量に対しての比で大人と同じになるようにする、とされています。2歳前までに腎機能が大人と同等に成熟するからです。

 WHOの推奨量は大人で1日5g以下。大人のエネルギー摂取量は2000~2600キロカロリー、2~5歳のエネルギー摂取量は900~1300キロカロリー程度なので、およそ大人の半分です。つまり、WHOの基準から考えると、2~5歳は1日2.5g程度に抑えるのがいいということになります。

 子どもの塩分摂取量に制限があるのは、子どもの頃の血圧と大人になってからの血圧に関連があること、そして子どもであっても、塩分摂取量を控えることで血圧が下がることが研究からわかっているからです。

 塩分が多い食品はある程度決まっていて、加工食品やスープが主です。腎機能が成熟する1~2歳までは、特に味付けを薄めにする、お味噌は薄める、チーズやハム、パン、チキンナゲット、練り物など塩分の多い食品を食べさせすぎないなど注意する必要がありそうです。

 しかし2歳以降は子供だから塩分を特別に控えなければいけないわけではありません。塩分摂取量はエネルギー摂取量に対しての比で考えているので、偏食がないと仮定すれば、子どもも大人も味付けは同じで、食べる量が違うだけ、ということになります。

 そもそも、WHOの大人の推奨量である5gと言うのは日本の目標量である7~8gよりかなり少なく、日本人の実際の摂取量は9~10gですので、その約半分です。

 子どもだけでなく、大人も一緒に薄味の食事を楽しめれば理想的ですね。※16

5章.断乳および卒乳

【断乳および卒乳】

 断乳:まだ飲みたいけれど、期日を決めて、やめせるのが断乳。

 卒乳:赤ちゃんが自然に飲まなくなるのが、卒乳。

→断乳は親離れの大切な第一歩。赤ちゃんから幼児への成長のターニングポイントです。

 母親にとっては子離れの第一歩。乳汁分泌を停止させる。乳腺炎や硬結の予防。

 子離れの学習。子どもの成長の確認。

[断乳の時期]

 一人歩き(=二本足歩行)ができるころまで。だいたい、1歳半から2歳ごろでしょうか。国際母乳連盟は、2~3歳まで推奨。

 プラス離乳食にほぼ移行していること(大人と同じものを食べられていること。量は少量でもかまわないが、自分の手でにぎって食べていること)。

自然界で生き抜くためには、自分の力で食料を獲得しなければなりません。そのためには当然、自分の足で歩く必要があります。

歩行の能力と消化吸収の能力は密接にリンクしていて、自分の力で歩けるようになったころ、はじめて大人と同じようなものを食べ、消化吸収できるようになるのです。このころになると、歯もそろい、たいていのものを食べられるようになっています。

[断乳の方法]

2カ月前に心の準備(母子ともに)

母2カ月前に決断。

子1カ月前に1回断乳の日を告げる。

母1週間前にからカロリー、水分の制限。

子1週間前から1日1回断乳の日を告げる。

当日、桶谷式の断乳の手技を受けたあと、両乳房にへのへのもへじを書きみせる。

お母さんは断乳の日から約60日かけて、食事制限と搾乳手技で断乳を完了させます。この断乳マッサージは、授乳期から通常の生活に向けて体質を変えるものですから、慎重に確実に行わなければなりません。※11

6章母乳育児の歴史

【母乳育児の歴史】

・20世紀前半 下痢対策としての4時間スケージュール法

A hundred years ago, experts told parents to feed their babies every four hours by the clock. This plan, which was supposed to prevent diarrhea, worked well enough for many babies. With the availability of pasteurized milk and safe tap water, severe diarrhea became much less of a problem for babies.※18

・1942 Self-demand feeding

 実験The baby awoke rather infrequently for the first few days; then, starting about the time the milk began to come in during the second week, he awoke surprisingly often, about ten times a day. After two weeks he settled down to six or seven feedings a day, at rather irregular intevals. By ten weeks he had arrived at approximately a two-to four- hour schedule.※18

 戦前から中は自宅でのお産が普通であり、そのためにお産のプロである私たち助産師が呼ばれたものです。赤ちゃんは生まれた直後からお母さんと同じお布団で寝て、泣いたらお母さんと同じお布団で寝て、泣いたらお母さんの胸に抱かれ、母乳を飲み、2~3歳ごろまでは、母乳で育っていくのが当たり前でした。

 1950年代まで、家庭分娩とともにほぼ100%の母乳育児率(1~3か月継続した母乳育児のこと)

 日本はそもそも、母乳育児が長かった国。助産師という職業が資格化したのも、世界でいちばん最初でした。

戦後にアメリカGHQの指導により、家庭分娩から病院分娩(生まれてすぐに新生児室へ連れていかれ、3日ほど粉ミルクで)への移行が始まると、それに並行するように、粉ミルクでの育児が主流になっていきました。

また『スポック博士の育児書』が「アメリカは進んでいる」として受け入れられ、「自立重視」の考え方の源となる。「添い寝はせずに、ひとりでベッドに寝かせる」「自立心を養うには、泣いてもひとりにさせておいたほうがいい」など。※11

1960~1970代は「粉ミルク全盛期」

1960年代に先進国が軒並み出生率が低下した。このまままでは売り上げが頭打ちになるミルク会社は、その埋め合わせのように先進国以外の国を含む世界中へ広告をかかげ、各国の病院に大量のサンプルを配りました。

日本においては母乳育児率が70%となる。

1965年 平田喜代が九州大学医学部付属助産婦学校卒業し国立福岡中央病院勤務中も粉ミルク全盛期で、第二次ベビーブームを迎えつつあった時期。そこでは乳腺炎を起して、乳房をガチガチに腫らしてしまうお母さんが多く、病院も激痛マッサージを実践していた。

そこで、「桶谷式母乳育児法」と出会う。故・桶谷そとみ先生が提唱する「かならず母乳が出る、居たくないマッサージ(桶谷発案のすばらしい手技)」の記事から。当時は厳しい徒弟制でなだ弟子もほんの少数でした。平田は直接習うことができた。

病院側から「なにがいまさら母乳だ。粉ミルクでも赤ちゃんは育つ」「痛くないマッサージなんて」「食事指導(おそらく和食中心の食事指導のこと)も古くさい。質素な食生活だったから、日本人は貧弱な体型だったんだ。これからの子どもは、肉や乳製品をとって大きく育てたほうがいいに決まっている」

1970年代は日本の母乳育児率は30%となる。それ以後はほぼ50%以下になっている。※11

1981年平田母乳育児コンサルタント開業、コンサルタントルーム「おっぱい110番」をスタート

1981年やがて開発途上国を中心に、重大な事故が続出し、「母乳代替品の販売流通に関する国際規準」(通称「WHOコード」WHO/UNICEF The International Code of Marketing of Breast-milk Substitutes)ができる。

WHOでは、「乳児は通常4~6カ月までは、ほかのいかなる食べ物や飲み物も必要としない」WHO、ユニセフの基準では、生まれてからの6カ月間、母親の母乳だけで乳児を育てることが最良と言われています。

また、生後6カ月のあいだ、完全母乳育児を続けたあとは、早い時期に断乳してしまうより、適切な補完食(離乳食)を食べさせながら、母乳育児を2年以上続けることか、子どもの成長にとっても適切な方法とされているのです。

WHO/UNICEF『母乳育児のための10カ条』

4.産後30分以内に母乳育児が開始できるよう、母親を援助しましょう。※11

1992年育児大学講座を開講(理事長)。「育児としつけの大学講座」で育児全般についての講義を行う。※11

【参考文献】

※1…『あなたは人生に感謝ができますか?』佐々木正美、講談社、2012.10.29

※2…『パパは脳研究者』池谷裕二2017.8.18クレヨンハウス

※3…https://ysgv.jp/waterlab/1022 産科医の竹内正人

※4…https://resettimes.com/blog/topics/column_58/2022.12.07

※5…https://www.flair-water.jp/column/fujita-column/water-by-which-deionized-water-makes-itself-ill/ 藤田紘一郎

※6…https://akachanikuji.com/sayu

※7…https://www.chibasyouni.com/wordpress/wp-content/uploads/2020/03/millennium72_15.pdf

※8…『人生の基盤は妊娠中から3歳までに決まる』白川嘉継、2013.8.15、東洋経済新報社

※9…『カリスマ助産師トコちゃん先生の赤ちゃんがすぐに泣きやみグッスリ寝てくれる本』渡辺信子、すばる舎、2013.12.21

※10…『パパとママの育児戦略』NPO法人ファザーリング・ジャパン、2018.10.12 repicbook

※11…『おっぱい先生の母乳育児「超」入門』平田喜代、2010.1.5東洋経済新報社

※15…『パパと読むたまごクラブ』2023.2

※16…『科学的に正しい子育て』森田麻里子2020.1.30光文社

※17…『定本 育児の百科』松田道雄2007.12.14岩波書店

※18…『最新版 スポック博士の育児書』1995.10.28ベンジャミン・スポック、マイケル・B・ローゼンバーグ(訳)暮しの手帳翻訳グループ、暮らしの手帖社

 英語版は『DR.SPOCK’S BABY AND CHILD CARE』9th Edition, Upated and Revised by Robert Needlman ,M.D.  Benjamin Spock

※19…『最強母乳外来』SOLANIN2011.7.30朝日新聞出版

※20…『The New Contented Little Baby Book』Gina Ford 2013.  New American Library

『赤ちゃんとおかあさんの快眠講座 改訂版』 2020.1.30 ジーナ・フォード(訳)高木千津子朝日新聞出版