目次
1章.泣いたときの対処法
 【泣き声】【泣き止ませる方法】
2章.背骨の発達と段階別方法
 【まんまる育児】【向き癖】【首が据わったかどうかの判断】【はいはい】
3章.抱っこ
 【抱っこの種類】【抱っこ紐】【おひなまき(おくるみ)】【スリング】
4章.体操
 【体操】
5章.その他
 コミュニケーション【紙おむつ】【予防接種】a.子育ての目的

1章.泣いたときの対処法

【泣き声】

 生まれてまもない乳児の泣き声は「お腹が空いた」「眠たい」「痛い」「怖い」の4つに大別できる。子どもと愛着を形成するには、このような子どもの要求を感じ取れる完成を獲得することが大切です。

 母親が子どもの発するサインを理解する余裕をもつには、まず母親自身が精神的に安定している必要があります。※8

 生まれてから数か月の赤ちゃんには喜怒哀楽の感情はありません。あるのは快・不快の感覚だけです。快適な状態なら穏やかにぐっすり眠るし、不快な状態なら泣く。赤ちゃんはとてもシンプルで分かりやすい存在です。

 「赤ちゃんは泣くのが仕事」と言われますが、生後数か月の、まだ首が据わっていない時期の赤ちゃんは、「快適な状態」に置かれてさえいれば、一日中ほとんど眠りっぱなしなものです。目覚めている時間も穏やかに過ごしており、お腹が空いたときやオムツが濡れたとき、眠たくなったときにちょっとなく程度。

 その時期を過ぎ、起きている時間が長くなっても、一人で静かに遊んでおり、いつの間にか眠っていた、などということもあります。

 泣くのは赤ちゃんの仕事ではないし、寝ないのは個性でもない。※9

 母親が目の前からいなくなるだけで、乳児は恐怖を覚える。5分間でも皮膚濃度の低下(交換神経の緊張によって血管が収縮し血流が低下し、皮膚温度が低下)。他の人では功を成さない。※8

[たそがれ泣き]

 生後3か月くらいになると、毎日決まって夕方ごろに激しく泣くことがあります。原因ははっきりしていませんが、おそらく1日の疲れやコリがたまるからだろうと思われます。

 お勧めは、その時間帯にお風呂に入れてあげること。タミーダブも有効。リラックスできるため。※9

【泣き止ませる方法】

・耳元でレジ袋をガサガサさせる。

・掃除機や換気扇の音を聞かせる。

 一説ではあのガサガサ音(血流の音や外の音が、羊水の中でこもって聞こえるのでしょう)に近いので、それを聞くことで赤ちゃんが安心すると言われています。※9

・「まんまる」がもっとも快適な姿勢

 体がキュッと丸まる(子宮の中にいたときの体勢)

 赤ちゃんの「快適な状態」=体をまんまるに置いてあげること

 それが赤ちゃんを泣きやませ、寝かしつける共通の手段。※9

・「こうのとり」

・足裏合せトントン体操

 壁に寄りかかってあぐらを組んだ中に、赤ちゃんを座らせ、両足の裏をわせます。そして、合わせた足をおへその方に引き寄せます。これで赤ちゃんの姿勢はぐっと丸まります。「いーち、にー、さーん、トントント」とリズムに乗せてやってあげましょう。これを何度か繰り返すと、確実に泣きやみます。

 この体操は、ベビー体操のもっともオリジナルなものであり、赤ちゃんの体をリラックスさせるのに大変効果のあるものです。オムツを替えた後などに、この体操をしてから授乳すると、楽にできることが多いのです。

 普段から折にふれてしてあげることで、赤ちゃんはご機嫌になります。さらに、姿勢が良くなり、股関節の可動性が高まる。発達にも良く、脳も育つと言われており、良いことづくめなのです。※9

2章.背骨の発達と段階別方法

 首がすわる→寝返りができる→おすわり・はいはい・つたい歩き※1

・背骨の発達

  • 胎児の基本姿勢C字型

 お母さんのお腹の中にいるとき、赤ちゃんは小さく丸まった姿勢をとっています。膝を抱えてあごを引き、腕は胸の前に抱えている。背骨は、首からお尻まで滑らかにカーブする形。

 少なくとも首が据わるまでは、胎児と同じように丸まって静かに眠っているが一番落ち着くし、体の成長にとっても都合がいいのです。

  • 「首が据わった」状態

 最初の数カ月を順調に過ごした赤ちゃんは、首の筋肉が徐々に成長して強くなります。すると、体を動かされても自分で頭を守るようになる。この時期に、背骨の首の部分の前向きカーブがしっかりしてきます。とはいえ、背骨全体の形はまだおおよそC字型です。

  • 7カ月くらい

 寝返りやはいはいをするようになると、今度は背中から腰にかけて筋肉が強くなってきます。一人でお座りがdけいるようになるものこの頃。

  • 1歳頃

 立ち上がり歩き始めます。

 しっかり歩けるようになる頃、腰の部分にも前カーブができ始め、大人の骨格に一歩近づきます。

 とはいえ、このS字が2つ連なった背骨の形が、しっかりと筋肉で支えられ、安定するのは、10歳頃と言われています。※9

【「まんまる育児」】

・有効性:生まれた状態の赤ちゃんは胎児と変わらない

 人間は脳がとても大きい動物なので、体が他の動物波に成長するまで待っていると、頭のサイズオーバーで出産できなくなてしまいます。

 だから人間は、赤ちゃんがまだ未熟なうちに出産し、外に出ていから体と脳を成長させるように進化した。そうせざるを得なかったのです。

 一説には、人間は鹿や馬などと比べて1年、チンパンジーなどの類人猿と比べて1年、チンパンジーなどの類人猿と比べて3ヵ月早産だとされています。

 生まれて間もない赤ちゃんは、成長段階としては胎児と変わらないのです。少なくともくびが据わるまでは、胎児と同じように育てる。これが、赤ちゃんが快適に過ごすためのポイントです。

 「胎児の状態に近づける」ことが、赤ちゃんが安心して眠りにつくためのカギなのです。※9

 普段から赤ちゃんをまんまるで抱っこし、まんまるの姿勢で寝かせてあげることで、そもそも泣かない、よく寝る子になってくれます。

 まんまるの姿勢が快適なので、赤ちゃんはずっと眠りっぱなしたっぷり眠れているため、目が覚めている時間もぐずることなく、機嫌良く過ごします。すると、あまり泣いたりせず次の睡眠に入っていけるので、またぐっすり眠れる。これが好循環となるのですね。

 まんまる姿勢は生まれたばかりの赤ちゃんにとって、もっとも自然な体勢のため、体が凝ったりゆがみができたりすることもありません。

 体の不調はぐずりの原因。※9

 生まれたばかりは、血液中の酸素濃度をモニターするために、クリップ型のセンサーを指先につけて姿勢を変えたところ、モニターに表示される酸素の濃度がもっとも高くなったのは、赤ちゃんの体をまんまるに丸めたときでした。※9

[まんまる寝床]

 授乳クッションで作る

  • ベビー布団などの上にクッションを置く
  • 上からバスタオルをかぶせ、真ん中を丸く凹ませる

 仰向けだけでなく左向き、右向きにもさせてあげてください。こまめに向きを変えてあげることで、まんまるできれいな形の頭になります。

 オムツ替えも、まんまるに寝ていると体が反り返ることもなく、自然と足も上げるので、むしろオムツ替えが楽ちんです。

【向き癖】

 平らなところに仰向け寝かせると、赤ちゃんの背骨はまっすぐになります。すると、首が据わっていない赤ちゃんは、顔を上向きにキープすることができません。頭がごろんと左右どちらかに転がって、横を向いた状態になります。このため、いわゆる向き癖や頭のゆがみができてしまうのですね。※9

[首枕]

 首が据わるまでの赤ちゃんの首の筋肉は、本当に弱いのです。首を支えてあげなければ、顔が左右どちらかを向いて、向き癖がついてしまいます。

 頸椎の配列がずれると、神経(胃腸や心臓など内臓の働きをコントロールする迷走神経など)や血管が圧迫され、働きが悪くなってしまうと考えられます。

 首枕はぜひとも「着けっぱなし」にしてあげてほしいのです。

 赤ちゃんの首の後ろに当て、胸のところでバッテンにします。長い方の端を背中に回し、体の横でもう一方の端と結んだら、できあがり。着せ替えや入浴のとき以外は、1日中着けっぱなしにしているのが理想です。

 100%首が据わったと判断できるまで、首枕は必ず当ててください。首が据わってからも、たとえばベビーカーやチャイルドシートに乗るとき、眠りに入るととたんに首がぐらぐらしますから、首枕で首を守ってあげるのが大切です。

寝返りやはいはいをするようになって、おひなまきを卒業しても寝かせるときの首枕だけは続ける。※9

【首が据わったかどうかの判断】

「首が据わる」とは単に首が硬くなることではありません。体の外的衝撃から自分の首を守り、コントロールできることです。

 一見据わったかのように見えるのは首の筋肉が硬く緊張しているためか、向き癖がついている場合。健診で小児科医や保健師が間違うことも。

☆4カ月を過ぎたらやってみるチェック

 

(それより前は首への負担が強すぎる)

 赤ちゃんを平らな布団や床の上に仰向けにして、お母さんの親指を赤ちゃんにしっかり握らせます。お母さんは、残りの4本の指で、赤ちゃんの手をそっと握りましょう。赤ちゃんの腕を引いて、ゆっくりと引き起こします。

 引き起こし始めは、頭は背中より低い位置に垂れています。胴体が45度ぐらいまで起きたとき、自力で頭を持ち上げればOK。

 頭を持ち上げない場合は、首はまだ据わっていません。お尻がズルーッと移動したり、初めから頭が背中と一直線に上がってきたり、つま先と頭とでブリッジしたりするのも、首は据わっていません。

・体を支えて膝に座らせる。左右に傾けて、目を水平に保つように動けばOK。

・正座して片方の太ももの上に赤ちゃんを座らせます。両脇を手でしっかりと支えてあげてください。体を左右どちらかにゆっくり傾けます。このとき、頭が自然に床と垂直になるように動けばOK。反対側もチェックしましょう。

・4カ月を過ぎても引き起こしチェックにクリアできないときには、首と体の緊張をほぐしてあげると、早く首が据わるようになります。首枕を着けっぱなしにして、おひなまきにしっかり巻いて寝かせましょう。

さらに「引き起こし体操」として、首枕と、腕を出したおひな巻きをして、頭が床からわずかに浮き上がったところで戻します。1日に2~3回、1日に3~5回行うと効果的です。

[首据わり以降]

・首が据わっても、「まんまる」はまだ基本姿勢。首がぐらつかなくなっただけで、背中から下はぐにゃぐにゃのままです。そのため、「まんまる」は有効。

・最初の頃のように、寝てばかりではなく、徐々に起きている時間が長くなってきます。いろんなものに興味を持ち始め、なん語(アーアー、バブバブなどの声)が盛んになり、情緒も芽生えてきます。

・体がしっかりしていくると、横抱きは嫌がるかもしれません。そうなったら、首を支えている側の腕を少し高くし、上体を起こした状態にしてあげると喜びます。

他にも「あぐらか椅子に座り、お尻を抱かせるように抱っこ」や「ネコ抱き」が有効。※9

[寝返りへ向けた練習]

・まんまる寝床での体位変換は、生まれてからすぐにでもすることができます。

 仰向けの姿勢から横向きにしてあげます。横向きの姿勢で止まっていられるようになり、添い乳で授乳できる。さらに、そこから腹ばい(うつぶせ)姿勢にしてあげます。これは「寝返り」の練習になります。

 授乳やオムツ替え、着替えの際など、折にふれてしてあげましょう。背中からお尻までを支えて真横に向け、手を離して1~数秒間様子を見たから、腹ばいにさせます。

 優しく背中や手足をなでてあげると、皮膚も刺激され、筋肉のコリもほぐれます。

 しばらく腹ばいにさせ、赤ちゃんが嫌がり始めたら、今度は反対側の横向きに数秒してあげ、仰向け姿勢に戻します。

 並行して、先のアイアイ体操をしてあげるのが大切です。アイアイア体操の膝タッチは、実は寝返りを促すものなのです。

 一般的に、寝返りは4か月頃からするようになるものとされています。けれども、そのときになれば自然と寝返りができるというものではありません。その頃までに筋肉を育て、寝返りができる柔らかい体にしてあげることが大切なのです。※9

[寝返りの介助]

赤ちゃんにとって寝返りは、初めて経験する自力の「移動手段」。※9

【はいはい】

 寝返りの次の移動手段。

 「ずりはい」…お腹を床につけた姿勢で、肘で床を押しながら回転し始め、続いてバックするようになり、それから前進します。

 「膝ばい」…徐々にお腹が床から離れ、手の平と膝で床を押して這う。

 「高ばい」…膝も浮いて、手の平とつま先でハイスピードで移動する。これをする子もいる。

 「お座り」…はいはいをするうちに、自然と上半身を起こした姿勢で留まるようになります。

 「つかまり立ち」…はいはいとお座りを十分に習得したら、今度は大人の足や椅子などにつかまって立ち上がる。

 「伝い歩き」…つかまり立ちで足を動かす。

 「ひとり立ち」…つかまり立ちの手を離す。

 そして「ひとり歩き」へ。

 あまり早く立ち上がるよりも、はいはいの期間がしっかりと長い方が、最終的に姿勢が都との合った、良い体に育ちます。手足を交互に前に出す動きは、歩く動作の基礎作り。背中や腰回り、背骨回りの筋肉がしっかりと鍛えられますし、手足を調和させて動かす練習にもなります。

 寝返りやはいはいと違い、つかまり立ちやひとり歩きに大人の介添え(歩行器も)は必要ありません。

 時期がくれば、自然と自分でするようになります。まだ体が整わないうちにさせてしまうと、大きな負担をかけます。※9

 「ずりばい」…手足の動きがバラバラの子も多いですが、徐々に滑らかに連動するようになります。

 偏り(引きずり)は、まんまる抱っこやおひなまき、足裏合わせ体操などで体をよくほぐしてあげてください。

 はいはいをしたがらない場合は、体が固まってしんどいためということもあります。寝返りも同様です。おひなまきに巻いて、布を蹴ることで足の運動をさせてあげたり、アイアイア体操を続けることで、だんだん動けるようになっていきます。

 本当はもっとはいはいをしている方がいいのに、赤ちゃんがつかまり立ちを始めてしまうこともあります。つかまるところがいろいろとあるので、立つ方に興味を持ってしまうのです。つかまるところがない広い部屋や、ゆるやかな滑り台があると、赤ちゃんは自然にはいはいあしたり、滑り台を登り始めます。

 他にも「高ばい」せざるおえない坂登りも有効。

 高はいと歩行ができるようになれば、まんまる子育ても一区切りと言っていいでしょう。

 ~10歳くらいまで、背骨のS字カーブも不安定のため、疲れたときは有効。※9

3章.抱っこ

【抱き方の種類と時期】

 新生児→たて抱き、横抱き

 首すわり~おすわり→対面抱き、前向き抱き、おんぶ

 7~36月まで→腰抱き※15

➀縦抱っこ

肩に頭をもたせかけて担ぐような抱き方。縦抱っこで泣きやむ子は少なくありません。けれども、このとき赤ちゃんの背中は伸びてしまい、首に大きな負担がかかります。

 ↑首と体に負担がかからない縦抱っこ:背中からお尻がCカーブを描くようにする抱き方です。背中を持たずにお尻を手の平に乗せ、尾骨をじわーっと動かして背中を丸めていくのです。

首が据わり、腰もしっかりしてくるまで、基本的に縦抱っこはなしと考えてください。抱っこ紐に首を支えるサポートの仕掛けがついているから大丈夫ということなのでしょうが、体を縦にするかぎり、頭の重さは、まだ筋力が不十分な首にかかってしまいます。

負荷がかかった首の筋肉は、なんとかして支えようと過剰にがんばり、首にコリやずれが生じる原因となります。※9

②抱っこ

[抱っこ三原則]

  • 全身を丸く(背中のカーブ) ②手足を伸ばさない ③ねじらない(顔・胸・おへそがまっすぐ)

※とくに首が据わる前の赤ちゃんは、首を支えながら、全身が丸くなるように抱っこするのがとても大事。それから、赤ちゃんの体がねじれたり曲がったりしないことも大切です。

・反り返っている場合、なかなか背中が丸くならないかもしれません。このときは軽くスクワットしてみましょう。上下にゆっくり揺らすことで、徐々に赤ちゃんの全身が丸くソフトになっていきます。こうして体の緊張がゆるめば、泣いていた赤ちゃんも落ち着き、やがて眠りにつくでしょう。

・横抱き以外の抱き方

 

・反り返っている場合、なかなか背中が丸くならないかもしれません。このときは軽くスクワットして、上下にゆっくり揺らすことで、徐々に赤ちゃんの全身が丸くソフトになっていきます。こうして体の緊張がゆるめば、泣いていた赤ちゃんも落ち着き、やがて眠りにつくでしょう。※9

・片手抱っこ

 両腕で横抱きをし、頭を支えている側の手首を曲げて、手の平で赤ちゃんのお尻を支えます。しっかり抱え込んで、足を支えている側の腕を外して完成です。

・前抱っこ

 お尻から膝までを丸く抱え、頭を胸の辺りで支えます。

③抱っこから寝床(布団)へ

 まんまる寝床の上にバスタオルなどを敷いて、赤ちゃんをそーっと、横向きに下ろします。そして、胸を赤ちゃんに当てたまま、抱かれていると感じさせながら、ゆっくりと赤ちゃんから手を離します。

 そして、敷いておいたタオルで、赤ちゃんをくるみます(クリップで包むように止める)。

 スリングの場合は、体を抜いてそのまま下ろすだけでOKです。できるだけゆっくりと離れることが大事です。

 そして横向きになった背中に、赤ちゃんと同じぐらいの大きさのぬいぐるみなどを当てておくと、安心してよく寝る子もいます。※9

④添い寝

 腕枕(外すときに起きやすい)の代わりに首枕を着けて、授乳・寝かしつけをするのがお勧めです。

 仰向けに戻すと起きてしまいがちですし、そもそも大人の平らな布団の上で仰向けに寝かせるのはいけません。首枕をして横向きに寝かせることで、まんまる姿勢を保てるのです。

 寒い季節に寝返りを打って布団から脱出してしまうのを防ぎたいときなども、背中にぬいぐるみやクッションを当てるといいでしょう。

そして、夜長時間寝るときは、授乳のたびに向きを変えてあげるようにしてください。右向きで寝かしつけたら、次の授乳の後は左向きで寝かしつけると、きれいな丸い頭の子に育ちます。※9

⑤ネコ抱き

 首が据わった時期くらいに有効な抱き方。

【抱っこ紐】

[抱っこ紐の初期の方法]

 首が据わっただけの状態で使う場合は上記のようにして、そして足はあぐらにして、抱っこ紐の中に入れます。まだ体の小さい赤ちゃんは、足を抱っこ紐の外に出すと180度開脚した状態になってしまいます。足や股関節は固定され、不自然な状態が続くことになります。

【おひなまき(おくるみ)】

 赤ちゃんが反り返ったり、足をばたつかせて泣いているとき、その体の動きで興奮し、ますます泣いてしまうことがあります。興奮を収める効果があります。

 「驚愕(ビックリ)反射」(寝ていた赤ちゃんがビクッと動いて目が覚めてしまう)も起きにくくなります。

 反り返っておっぱいをくわえられないときにも、まんまるに巻いてあげると落ち着いて飲めるようになります。

・足をピンピンに伸ばして泣いているときは、無理に足を曲げようとしないでください。そのままの足でいいので、まずはくるんであげましょう。しばらくすると、赤ちゃんは必ず足を曲げます。そうしたら、ゆるみをとりながら、布地がピンと張るようにキッチリと結び直します。

・きつきつに巻いてちょうどいい。

 赤ちゃんはどこまでが自分の体なのか、わからないのだそうです。ですから、ゆるいと体全体に均等に圧力がかからず、自分の体を認識できないので、鎮静効果も半減します。

 妊娠後期にはお腹から足を伸ばしたりして、赤ちゃんは筋肉を強化して生まれてきたため、くるまれていても問題なく手足を動かします。

 布を足で蹴ったり、手で伸ばしたりすることは、パワートレーニングと同じ効果があり、そのうえ、体の使い方もうまくなるのです。

 4カ月頃までは、オムツを替えるときやお風呂のときにほどくだけで、あとはおひなまきのままで大丈夫です。

 寝返りやはいはいをするようになって、活動性が高くなってきたら、眠るときに巻く、という感じで。とくに反り返る傾向が強い子は、1歳過ぎぐらいまで、短時間でもいいから毎日何日かおひなまきにしてあげるといいでしょう。※9

[足をピンピンに伸ばして巻けないとき]

・足裏合せトントン体操

・足首回し

 …が有効。

【スリング】

 良いところは、これ自体に、赤ちゃんの体を柔らかくほぐす作用があることです。スリングの中で赤ちゃんは胎児のようにまんまるになっています。お母さんが動き回ると、スリングも自然と軽く揺れます。揺れることで、赤ちゃんの体に自分の思いみがかかって、よりまんまるになるように働くのです。

 寝かしつけに使っているお母さんもけっこういるようです。

 泣きやませるときにもスリングが効果的です。スリングに入れての「こうのとり」はとてもよく効く。

 スリングに入れて、立ったまま授乳、という離れ業も可能です。

背中からお尻がちゃんと丸まって入っていれば、赤ちゃんの体がスリングから抜け出たり、頭が飛び出ることはありません。

[装着方法]入れる前に背中からお尻は丸く、手足は曲がるように抱きます。うまく丸まらないときは、何度かスクワットをするときれいに形が整います。

ポイントは、お尻から入れることです。最初にお尻の位置を決め、少しずつスリングを着せていくとうまくいきます。

赤ちゃんは首枕を当てたままで。これでスリングの中で首が泳いだり、前に強く倒れたりすることなく、安定感が出ます。

おひなまきのまま入れると簡単。

赤ちゃんをできるかぎり上の方で抱き、より体に密着させるのもポイントです。下の方で抱くと、それだけお母さんの体に負担がきます。

リングありは、お母さんの体格や赤ちゃんの成長に合わせて調整がきく。

2003年頃(10年ほど前)「スリングは股関節脱臼になる恐れがあるので危ない」一部の整形外科や小児科医が言い始め、利用者減る。

現実には起きたケースは報告されていない。もし股関節脱臼になるとしたら、膝をまっすぐに伸ばした状態でスリングに入れた場合です。

「股関節脱臼を防ぐスリングの使い方」といって、縦抱っこにして足を外に出す抱き方が推奨される場合もあります。けれども、赤ちゃんがまだ小さいうちに足を出すと、お母さんの腰骨に押されて、股関節が180度近く開き「股裂き」状態になってしまいます。

首が据わるまでは、横抱きでスリングに入れてあげましょう。

「カンガルー抱き」なら、そのまま寝てしまっても、頭をお母さんの体にもたせかけてあげることができます。

「寄り添い抱き」「カンガルー抱き」はお尻からスリングに入れます。

「腰椅子抱き」は体が小さい赤ちゃんの場合、足がやはり大きく開脚してしまうので、十分な足の長さになるまでカンガルー抱きや寄り添い抱きの方がいいでしょう。

スリングは3歳頃まで長く使えます。※9

4章.体操

【体操】

・足裏合せトントン体操

 壁に寄りかかってあぐらを組んだ中に、赤ちゃんを座らせ、両足の裏をわせます。そして、合わせた足をおへその方に引き寄せます。これで赤ちゃんの姿勢はぐっと丸まります。「いーち、にー、さーん、トントント」とリズムに乗せてやってあげましょう。これを何度か繰り返すと、確実に泣きやみます。

 この体操は、ベビー体操のもっともオリジナルなものであり、赤ちゃんの体をリラックスさせるのに大変効果のあるものです。オムツを替えた後などに、この体操をしてから授乳すると、楽にできることが多いのです。

 普段から折にふれてしてあげることで、赤ちゃんはご機嫌になります。さらに、姿勢が良くなり、股関節の可動性が高まる。発達にも良く、脳も育つと言われており、良いことづくめなのです。※9

 

上記2つの体操の説明

 姿勢:激しく泣いているときはお母さんの膝の上に抱き上げたり、あぐらの中でしてあげるのがいいですが、そうでないときはまんまる寝床に寝かせてしてあげても構いません。

 メンタル:赤ちゃんをリラックスさせてあげる方法ですから、お母さんがゆったりすること。

シチュエーション:おひなまきを巻くとき、オムツ替え、眠そうにしているときなど

屈曲期と伸展期:

屈曲期は体を丸める動きが優勢の時期で、伸展期は体や手を伸ばす動きが優勢の時期。生後1か月間ほどは胎児期の延長にあたる屈曲期のためおひなまきが巻きやすい。2カ月入った頃から最初の進展期となり、4カ月頃から屈曲期になり、7カ月頃から伸展期となります。※9

・手指がよく使えるようにしてあげる体操

 

 さらに親指だけでなく、よく使う人差し指も、また左手もまんべんなく吸えるようにすることで、手先の発達を促すことができます。※9

[爪]

 赤ちゃんの爪は、大人用の爪切りについているヤスリでといであげれば、切る必要はありません。手袋をかぶせてしまうのは、脳の発達にブレーキをかけることになります。※9

 肘が内巻きにねじれている(手の平が体側に向かない)ため、手の甲側が口に向かい、上手に指しゃぶりができず、手の甲や手首をしゃぶったり、あるいは手をひねって小指を吸ったりします。

 「アイアイ体操」が有効。これにより、手を開いたとき手の平が体側に向く、ねじれのない肘になる。またこの体側に向く、ねじれのない肘になる。またこの体操は腰から上の上半身全体の動きをよくするのに効果的です。

 「アイアイ体操」により、肩から肘、手首がほぐれ、よく動くようになります。※9

その他

コミュニケーション

・0歳からのコミュニケーション

 この時期にどれだけ話かけてあげたかによって、2歳児以降の語彙力に差が出るとも言われています。

 また、この時期赤ちゃんの五感を刺激してあげることが非常に重要です。五感をたくさん刺激してあげることが非常に重要です。五感をたくさん刺激してあげることにより好奇心を育てることができます。

 したがってこの時期に話しかけてあげる言葉は五感や気持ちを表す言葉である形容詞(「~い」や「~しい」で終わる言葉)をたくさん使うと良いと言われています。五感を楽しみながら言葉と結び付けることができます。※10

言葉:形容詞を意識的にたくさん使って語りかけながら。

 「○○ちゃんのアンヨ冷たいねー」

 「ママのお手手、あったかいでしょう?」

 「まぁるく、まぁるく、まぁるくなーれ」

 「だんだんあったかくなってきたねー」※9

・クーイング…言葉の発達のはじまりで「あー」や「うー」などの母音の発音ができるようになります。赤ちゃんのクーイングを親が「あー」と「返信」することが大人の役目。まだしばらくは一方通行ですが、こうした地道な積み重ねがコミュニケーションと、何より信頼関係の基礎を作るとされています。(他には、視線を合わせたり、おもちゃを鳴らしたり、話しかけたり…最初は「発信」のみの一方通行も)

最初のうち、赤ちゃんは「あー」と出している声が、自分のものでは気づいていません。※8

・クーイングの「あー」などを親が反復しているとしだいに認識し、3~4か月ごろには親が返す声を聞いて「あ、お母さんは私の声のマネをしてくれている」と気づくようになります。※8

【紙おむつ】

 赤ちゃんの肌は皮脂量が少なく、皮膚は大人の約2分の1の厚さしかありません。そのため、少しの刺激で肌トラブルが起きてしまうことも。

 生まれてすぐの時期はテープ型の新生児サイズを使います。一度にたくさん買い置きせず、赤ちゃんの体形や肌質との相性を見ながら買い足していくのがおすすめ。※15

 生まれてしばらくの間、赤ちゃんは、少量ずつ何回もおしっこやうんちをします。しかも、うんちはゆるゆるで水っぽい!おむつが汚れると赤ちゃんは気持ちが悪く、おむつがかぶれなどの原因にもなります。頻繁におむつを替えてあげる必要があります。※15

【予防接種】

 泣かずに上手にできるコツとしては、パパ・ママの抱っこの固定(しっかり抱っこする)にも左右されます。※10

a.子育ての目的

 子供たちが将来、精神的に自立し、発想力と決める力を駆使しながら自立的に動ける(生きる力)ように、親はその訓練に励むしかないようです。子育てとは、子どもの自立に向けたたった20年前後の人材育成プログラムのようです。※11

 私が考える本来の育児の姿は、「親の希望通り子に育て上げる」のではなく、むしろ「親なんていなくても立派にやっていける子になる」ように導くことです。親に依存する子でなく、親を不要とする子に育てるという考え方もあるようです。※2

 養育は保育の質であって、誰かがそれを行うかではないともいわれるようです。

 ※『母親業の再生産』ナンシー・チョドロウ1981大塚光子・大内菅子訳・新曜社

 乳児が父親に抱かれると泣くことが多いのは、父親の慣れない抱き方に不安を覚えるとか、接する時が少ないからのようです。※1

※1…『あなたは人生に感謝ができますか?』佐々木正美、講談社、2012.10.29

※2…『パパは脳研究者』池谷裕二2017.8.18クレヨンハウス

※3…https://ysgv.jp/waterlab/1022 産科医の竹内正人

※4…https://resettimes.com/blog/topics/column_58/2022.12.07

※5…https://www.flair-water.jp/column/fujita-column/water-by-which-deionized-water-makes-itself-ill/ 藤田紘一郎

※6…https://akachanikuji.com/sayu

※7…https://www.chibasyouni.com/wordpress/wp-content/uploads/2020/03/millennium72_15.pdf

※8…『人生の基盤は妊娠中から3歳までに決まる』白川嘉継、2013.8.15、東洋経済新報社

※9…『カリスマ助産師トコちゃん先生の赤ちゃんがすぐに泣きやみグッスリ寝てくれる本』渡辺信子、すばる舎、2013.12.21

※10…『パパとママの育児戦略』NPO法人ファザーリング・ジャパン、2018.10.12 repicbook

※11…『戦略子育て』三谷宏治2018.7.12東洋経済新報社

※15…『パパと読むたまごクラブ』2023.2