目次 |
【1章.妊娠中のポイント】 ➀血液の増加 ②ホルモンバランスの変化 ③不快症状 ④妊娠中の適切な体重 ⑤母体の栄養摂取 ⑥母体とストレス ⑦予防接種 【2章.時期と変化】 [Five weeks] [妊娠6~7週] [胎児期(妊娠8週以降)] [妊娠12週:Four to five months(into the pregnancy] [妊娠16週:安定期の開始] [妊娠18週] [妊娠20週] [妊娠22週] [after about 27 weeks] [29 weeks] [妊娠9ヵ月:32週] [妊娠34週間] [37週以降] [出産予定日] 【ゆがんだ骨盤を正常に戻す】 |
1章.妊娠中のポイント
➀血液の増加
おなかの赤ちゃんに栄養を送るために血液が増加。鉄分が必要になる。※13
妊婦さんは、血液量が50%も増えるので、普段より多めの水分を補給しなければなりません。もし、水分が足りていないと、血栓症のリスクが高まります。※13
水分を多くとると、むくみなどの症状が出る。※13
【メリット】としては、血液をサラサラにして、子宮の中の赤ちゃんへ酸素や栄養を運ぶためにどんどん循環させることの方がメリットは大きいです。
【必要量】量は食事に含まれる水分も含めて約2ℓ(1日)
成人に必要な水分量1ℓ+妊婦さんに必要な水分量1ℓ=約2ℓ※13
通常時は体重60kgの人で、1.2リットルの飲み水が必要だと言われていますが、妊婦さんの場合、2~2.5リットルでも飲み過ぎではありません。※14
妊婦さん、衛生的な水であれば軟水・硬水のどちらも安全に飲めます。※13
軟水は内臓への刺激も少ない。一定のミネラル分を含む工数でも合わせて摂ると効果的です。妊婦さんは冷えは禁物ですので、常温で飲みましょう。※14
【井戸水】殺菌されていないため衛生面でリスクがある※12
【水道水】トリハロメタンという発がん性物質が水道水に含まれているため、アメリカの健康局の調査によると流産のリスクが高まるという研究結果も。※12
【軟水】癖がないためつわりの時期にも飲みやすい。天然水・RO水・浄水器ろ過
衛生的なみずであればどれを飲んでも。※11
腎臓への負担が少ない。夜の腸の過剰な働きを穏やかにする。※12
【硬水】マグネシウム→腸を刺激するため、便秘の妊婦さんにはぴったり。
硬度は1.000mg/Lを超えないもの。
マグネシウムを摂取しすぎると、お腹を壊すこともあり、お腹を壊すと水分不足になり脱水状態になる可能性もある。※11
マグネシウムは、妊娠高血圧症候群の予防に、良い働きをするという調査もあります。便秘の改善による気持ちの良い便は、心身の健康を示すバロメーターだと考えてください。
免疫力の維持や妊娠中のストレス、マタニティブルーの対策にも、腸を活発な状態に保つことが重要なのです。
朝コップ一杯の硬水をおすすめ。※14
②ホルモンバランスの変化
体の変化の原因は、妊娠によるホルモンバランスの変化。
➀乳房を大きくする。授乳に備えて、皮膚を強くしようとするため、メラニン色素が増えて乳頭や乳輪が黒ずみ、大きくなります。
②脂肪がつきやすくなる。お腹の赤ちゃんを守るため。
③体毛が濃くなる。
④骨盤をゆるめる。
【妊娠線】
体形の変化で皮膚の弾性繊維が断裂することで発生します。赤紫色をしていますが、時間がたつにつれ、白っぽく変化します。おなかや胸、太ももなど脂肪がつきやすい所に出やすいです。
皮膚は、伸びやすい「表皮」と伸びにくい「真皮」、「皮下組織」の3層構造になっています。妊娠線とは急激に大きくなったおなかに真皮の伸びがついていけず、亀裂が生じたもの。亀裂が表皮から透けて見えるため、赤っぽい線に見えます。最初は赤紫で目立ちますが、産後は白くなって目立たなくなっていきます。完全には消えませんが、よく見なければわからない程度になります。予防で大切なのは、出産までの体重増加をゆるやか、かつ適切にコントロールすることです。必要以上に、または急激に体重が増加すると、皮膚の伸びが追いつかず、妊娠線ができやすくなります。
また、肌の乾燥は皮膚の伸びに影響する可能性も。おなか、胸、二の腕、わき、太もも、おしりなどにもできることがあります。とくにできやすいのはおへその近く(下部注意)※15
③不快症状
ホルモンによる骨盤変化および肌トラブル。
赤ちゃん優先による血液循環。また血液量の増加にともなう水分量増加。
また子宮の拡大による圧迫による血液・腸への影響。重さの増加による姿勢が崩れることによる影響。
・脚のつり…下肢の血行不良が原因。
おなかが大きくなると下肢から心臓に戻る血管が子宮に圧迫され、脚がつりやすくなります。脚のついりは筋肉が疲労して、異常に緊張した状態。血行を促すと予防できます(ふくろはぎマッサージ)。
・便秘…妊娠中はホルモンの影響で腸の動きが鈍るとともに、日に日に大きくなる子宮に腸が圧迫され便秘が起こりやすくなります。また、妊娠して運動量が減るのも原因の一つ。
・頻尿…膀胱は子宮の前に位置するため、大きくなった子宮に圧迫されると容量が少なり、トイレが近くなりがちです。
・腰痛…妊娠中期以降に起こりやすいトラブル。ホルモンの影響で骨盤がゆるんでくるため、腰や背中の負担が増えて起こります。また、おなかが大きくなると体のバランスをとるために、重心が前に移動し、その姿勢が腰の筋肉に負担をかけてしまうことも原因です。
・肩こり…乳房が大きくなって肩への負担が増すことや、体重増加による姿勢の変化が原因で起こりやすくなります。肩甲骨まわりの筋肉のエクササイズ。
・めまい(立ちくらみ)…脳貧血。妊娠中はおなかの赤ちゃんに優先的に血液を送るため、脳への血液循環が低下しやすい状態。そのため一時的に血圧が低下して脳貧血。妊娠中はおなかの赤ちゃんに優先的に血液を送るため、脳への血液循環が低下しやすい状態。そのため一時的に血圧が低下して脳貧血を起こしやすくなります。急に立ち上がったり、長時間たちっぱなしだと起こりやすくなるので、注意しましょう。
・かゆみ・肌トラブル…ホルモンバランスの変化による影響で肌が敏感になり、トラブルが起こりやすくなります。低刺激のスキンケア用品で保湿を。
・むくみ…妊娠中は循環血液量の変化により体内の水分量が増えるため起こる。妊娠後期は子宮が大きくなることで、下肢の血液循環が悪くなり、脚にむくみが起きたり、静脈瘤ができたりすることも。対策は塩分を控えめにすることが大切。
・貧血…妊娠中は循環血液量が増えて、血液が水っぽく薄くなり、鉄欠乏性貧血にやすい状態。貧血が進むと動悸や息ぎれ、疲れやすいなどいろいろな症状が出やすくなります。
・耳鳴り…妊娠中は全身がむくみやすくなるため、耳管がむくんで耳が詰まったような感じや、耳鳴りがすることも。
・鼻血…鼻の粘膜が充血しやすくなるため、鼻血が出やすくなる人もいる。※15
④妊娠中の適切な体重
【低すぎる】と早産や低出生体重児のリスクがある。
低出生体重児は成人したあとに糖尿病や高血圧、肥満などのいわゆる生活習慣病になりやすい。※15
【増えすぎた場合】赤ちゃんが大きくなりすぎて難産になるリスクや、成長後に糖尿病などの発症リスクが高くなることがわかってます。
2021年厚生労働省「妊婦のための食生活指針」改定によると
BMI18.5未満は12~15kg増加
BMI18.5~25内は10~13kg増加※15
⑤母体の栄養摂取および避ける食品
【葉酸】
葉酸サプリメントの摂取推奨量が一日あたり400マイクログラム。期間としては、妊娠の1ヵ月前から妊娠3ヵ月までが推奨。
葉酸サプリの一番の理由は、赤ちゃんの神経管閉鎖障害という先天異常を予防するためです。
妊娠6週前後(受精後4週)ほどで、脳やせき髄のもとになる神経管ができます。この神経管が完全な管状にならないために起こる。無脳症や二分脊椎といった病気が起こります。サプリメントを摂ることで発症のリスクを50~70%下げられる。
葉酸は、神経だけでなく、赤血球を作るのにも必要な栄養素で、赤ちゃんの成長には欠かせません。葉酸サプリメントを摂る量が多すぎたり、妊娠後期まで飲んでいたりすると、喘息のリスクが高まるかもしれないという研究もあります。
妊娠3ヵ月を過ぎてから、葉酸サプリメントを摂取することについては、はっきりとしたメリットは証明されていません。
妊娠三か月以降は、わざわざサプリメントを飲まなくても、食品から積極的に摂取する事ができれば、それで十分かもしれません(摂ってもサプリメントなら1日400マイクログラム程度から3ヵ月を過ぎたら240マクログラム(厚生労働省推奨)程度に)。※21
【鉄分】
鉄分の役割として血液を作ること以外に、赤ちゃんの脳や身体の発達にも大切だということがわかっています。
鉄分不足の指標として、
➀貧血・血液中のヘモグロビンの寮が少ない
②フェチリン(血液中のフェチリンというタンパク質)の値が少ない
フェチリンは体の中で鉄分とくっついて、鉄分を保存する働きをしています。
1992年アメリカの論文、826人の妊婦さんの貧血と、赤ちゃんが生まれた時の状態を調査。結果、母親が鉄欠乏性貧血の場合、赤ちゃんの体重増加が不充分になるリスクが2倍になっていた。
レバー類はビタミンAが1日あたりの妊婦の上限量2700マイクログラムを大幅に越すため、食べるとしても、週一回程度、少量食べるだけで十分。
アサリの缶詰、赤身の肉類が比較的鉄分が多い。
妊娠中期以降は、10~30mgの鉄分のサプリメントを摂取するのがおすすめ。
鉄は、お茶やコーヒーなどタンニンを含む食物や、乳製品などカルシウムを多く含む食品と一緒に摂取すると、吸収率が低下してしまいます。※21
鉄には非ヘム鉄とヘム鉄の2種類がありますが、非ヘム鉄は植物に含まれる鉄分のほとんど、そして肉や魚類に含まれる鉄分の60%を占めています。非ヘム鉄は吸収率があまりよくないので、効率的に摂取するためには、ビタミンCや動物性のタンパク質と一緒に摂るがポイントです。
ヘム鉄は主に肉や魚類に含まれている鉄分で、吸収率が優れています。※21
【DHA・EPA】
DHAは、不飽和脂肪酸のうちオメガ3という種類に分類されるもので、脳細胞が網膜の細胞を作る大切な成分です。
赤ちゃんの脳
正期産で生まれた赤ちゃん 約350g
生後6ヵ月 約660g
1歳 約950g
脳細胞はシナプスという構造を介して、情報を伝え合います。シナプスの数は赤ちゃん気に急激に増加し、最大で1秒間に4万個も作られると言われていますが、このシナプスを構成する脂肪酸の35%がDHAなのです。胎児の赤ちゃんは、特に妊娠後期からdhaを溜め込むため、早産の子はDHAが不足しやすい傾向にあります。
魚を摂取することが、赤ちゃんの発達にいい影響を与えるかどうか、まだ結論は出ていません。しかし少なくとも、DHAが不足しないようにすることは重要でしょう。また、DHA
のサプリメントが必ずしも同じような効果を発揮するかははっきりしないようです。魚に含まれるたんぱく質やビタミン、セレンなどがいい影響を与えている可能性もあります。DHA必要量は、魚を食べさえすれば意外と簡単に摂取できます。※21
週に1回魚を食べた妊婦は、まったく魚を食べなかった妊婦と比べて、のちに子どもが小児喘息とアレルギー性皮膚炎にかかる危険度が43%低下するという研究報告があります。
魚油に含まれる「DHA」や「EPA」などが重要なのです。
[EPA]妊娠中に摂取量が多いと、子どもを産んで1週間ごろに気分が沈む、いわゆるマタニティビブルーの症状が出る人も減少するようです。
[DHA]早産率が低下することも示されています。
りんごは1週間に4個以上。子どものぜん息とアレルギーの危険度が53%低下するとの報告もあります。※16
[メチル水銀]
脳に障害を引き起こす可能性のある、有害な物質です。魚などを通して摂取すると、その95%以上が吸収され、胎盤を通り抜けて胎児の体にも入ってしまいます。1950年代に起こった水俣病もこれによる(工場からの)。
メチル水銀は海や湖などで微生物によって作られるので、微量ながら魚に含まれています。そのため、食物連鎖の頂点にいる魚(マグロなど)で濃度が高くなっている。但し通常は食べても問題ありません。
・サケ・イワシ・アジなどは毎日100g食べても問題ありません。
・サバや、ツナ缶の主な原料であるキハダマグロは100gほど食べると一日量を超えてしまいます。マグロ類、メカジキ、キンメダイなどは週1回程度にしてください。※21
[ダイオキシン類]
発がんを促進したり、生殖機能や免疫機能に悪影響を与えたりする物質です。日本では一日摂取量の約90%を魚介類が占めています。
偏った種類の魚ばかり食べると、ダイオキシン濃度が高くなってしまう可能性もあり、注意が必要です。
メチル水銀もダイオキシン類も生物濃縮される物質です。「寿命の短い、食物連鎖の低位の魚が安全」と言います。
魚は週3~4回が目安。※21
【避ける食品】
・加熱殺菌していないナチュラルチーズ、肉や魚のパテ、生ハム、スモークサーモン、生肉
→お腹の赤ちゃんに重大な悪影響のある微生物に感染するリスクがあるからです。
リステリア菌の食中毒、トキソプラズマ症
トキソプラズマは67度以上まで加熱しないと殺菌できません。牛は感染リスクが低いという意見もありますが、日本でも6.5%の牛が感染しているかもしれないという報告もあり。
・アルコール…胎児性アルコール・スペクトラム障害
少ない飲酒量でも赤ちゃんに影響が出る可能性がある。胎児は大人の3~4%の速さでしかアルコールを代謝できません。一度アルコールを羊水中に排出しても、アルコールを含んだ羊水を再び飲み込んで、繰り返し影響を受けてしまいます。
・カフェイン…1日200~300mgのカフェインは摂取しても問題ないということが、複数の研究から結論づけられています。
カフェイン摂取量によって、流産率に違いはない。出生体重に明らかな違いはなく、早産が増えることもありませんでした。
カフェインもアルコールと同様に胎盤を通過しますし、しかも胎児はカフェインを代謝する事ができません。妊娠中のママが摂取したカフェインから、赤ちゃんは直接の影響をうけるのです。2012年のイタリアの研究では、コーヒー1杯程度でも、赤ちゃんの心拍数に変化が起こることを示しています。
しかし、心拍数が一時的に変動することや、出生体重が低くなるリスクがわずかに上昇することは、赤ちゃんにとって非常に大きな悪影響とはいえない。
コーヒー1杯カフェイン120mg紅茶60mgカカオ分70%以上のダークチョコレートは、10gあたり6~12mgのカフェインが入っている。※21
⑥母体とストレス
視床下部―脳垂体―副腎経路の、いわゆる「ストレス経路」の形成は胎児期に始まり、乳児期から幼児期にかけて完成していきます。
ストレスを受けると副腎皮質ホルモンの一種である「コルチゾール」の分泌が高まります。分泌される量によっては、血圧や血糖レベルを高め、免疫機能の低下や不妊をもたらします。
PTSD:過剰なストレスによって多量の「コルチゾール」が分泌されると、脳の海馬を委縮させることが観察される。海馬に影響が及ぶとコルチゾール受容体が減少して、ストレス経路に対する抑制がかかりにくくなることが予想されます。
そうすると少しの刺激に対して過敏に反応するような状態が生じ、そうなると行動上、学習上の異常を起こしやすくなります。
さらに年齢が上がるにつれて、うつ状態などの「気分障害」やちょっとしたことが気になったり、当然苦しくなったりする「不安障害」があらわれるようになり、生涯にわたって精神の変調をきたす可能性を残します。
[要因]
➀母体で「コルチゾール」が大量に分泌されたり、胎盤の機能異常が起こったりしたとき。但し、母体で産生された「コルチゾール」の90%以上は、胎盤で分解され胎児に届きません。
②出生後、赤ちゃんに強い恐怖を与えると、大量の「グルココルチコイド」が産生されたとき。
ストレスは他に、母体の自律神経の緊張により、血管が収縮し、子宮に流れる血液が減ると、胎児の発育が阻害され、低出生体重児の出生率が高まる可能性も考えられます。
[リラックス]
交感神経の緊張がとれて子宮に流れる血液も増えて、赤ちゃんには多くの酸素と栄養が運ばれ、よりよい発育が望めます。
出生後3日以内に母親の声を聞き分ける赤ちゃんは、すでに胎児期に母親の声、心臓の音、血液の流れる音などを聞き、とくに母親の声を記憶していると思われます。※16
⑦予防接種
妊娠中は、MR(麻しん風しん混合)ワクチン、おたふくかぜワクチン、水痘ワクチンなどの生ワクチンは摂取できない。
妊娠中は病気にかかりやすく、特に麻しんやおたふくかぜは重症化しやすかったり、流産や早産のリスクが上昇したりすることが分かっているからです。さらに、風しんや水痘は、お腹の赤ちゃんに先天性の障害をもたらす可能性があります。
医療機関で抗体検査を行って、抗体価が落ちているものだけ摂取してもよい。抗体を持っている人がワクチンを打っても問題はないので、抗体検査は省いても構いません。
妊娠中でも死んだ病原体やその一部分でいきている不活性化ワクチンと百日咳は、この不活性化ワクチンにあたります。
妊婦さんにインフルエンザワクチンの接種を勧める理由の一つは、妊娠中はインフルエンザが重症化しやすいからです。さらに、生まれてくる赤ちゃんにもインフルエンザの免疫をつけてあげることができます。生後6ヵ月までの赤ちゃんは、インフルエンザワクチンを接種することができません。
百日咳(咳が続く病気)に生後6ヵ月未満の赤ちゃんがかかってしまうと、咳が続いてそのまま呼吸が止まってしまい、亡くなることもある重大な病気です。
百日咳の免疫は、赤ちゃんに四種混合ワクチンを接種することでついていきますが、四種混合の接種は生後3ヵ月からです。生後3ヵ月までの、まだ体が小さく重症しやすい赤ちゃんを感染から守るには、ママがワクチンを打つ必要があります。
アメリカでは、妊娠27~36週の間に、Tdapと呼ばれる成人用の三種混合ワクチン(百日咳、ジフテリア、破傷風)を接種することが推奨されています。
百日咳の単独ワクチンは製造されておらず、現在日本では3種混合ワクチンが承認されています。これはTdapとは抗体量が異なり、添付文章上は「妊娠中の接種に関する安全性は確立されていない」と記載されています。Tdapは国内未承認。※21
2章.時期と変化
Before your child is born
[Five weeks](after their last menstrual period)
Most women realize they’re pregnant. The major organs begin to form about five weeks later.※19
[妊娠6~7週]
この頃までには胎児の心拍が確認※15
●胎芽期(妊娠8週未満)
体の基礎ができる大切な器官形成期。受精卵の細胞分裂は、妊娠直後、つまり受精直後から始まります。分化した細胞はおよそ7週目までに、各種臓器として形づくられていきます。
この時期の胎児は、母体の置かれた環境から、非常に影響を受けやすくなっています。大きな奇形などの先天異常は、その多くがこの時期につくられます。
[異常をもたらす主要な環境原因]
➀感染症(風疹)
トキソプラズマ→人を含む多くの温血動物に寄生しています。ほぼすべてのほ乳類・鳥類がトキソプラズマに感染する可能性があり、とくに羊肉・豚肉・鹿肉などは寄生しやすいことが知られています。
生食や不充分な加熱によって感染することが知られており、食肉そのものだけでなく、包丁やまな板などから、ほかの食材や手を汚染することもあります。
妊娠中に「トキソプラズマ」に初感染すると、胎児は「先天性トキソプズマ感染症」を30~40パーセントの確率で発症します。発症した場合は、水頭症、脳内石灰化などが見られ、発達が遅れることもあります。
妊娠中は肉の生食を控え、調理の前後には必ずよく手を洗い、野菜や果物もよく洗ってから食べる。※16
[胎児期(妊娠8週以降)]
脳の発達はすでに始まっている。
心臓や肺などの臓器の機能は未熟でありますが、出生直後から生きていけいるよう、このころから独立して機能します。
神経系もまた、出生後に生き延びることができるよう、胎児期に急速な発達を遂げています。
妊娠後期から生後6ヵ月は、脳の成長が最も急速な時期です。
脳の発達の順序としては、まず反射運動や呼吸や循環に関わる、生命維持に必要な「脊髄」「脳幹」ができます。
次に、情動に関わる「大脳辺縁系」と呼ばれる「古い角質」がつくられて、最後に情操や理性に関わる「新しい」の大脳ができます。
それぞれの部分で、神経細胞の枝である神経線維は「髄鞘化」し、「シナプス結合」を。※16
髄鞘→神経細胞の枝である神経線維の衣
髄鞘化→神経の情報を伝達する速度が5倍から100倍も速くなります。
シナプス結合→髄鞘化した神経細胞は絡み合い、情報交換や記憶の貯蔵庫になる結合をし、神経と神経のつながりを形成していきます。
髄鞘の構成成分→約40%が水であり、残りは85パーセントの脂質と約15~30%のタンパク質です。
この時期、大脳皮質に存在するリン脂質に「長鎖多価不飽和脂肪酸(LUPUFA)」が
とりこまれることによって、脳が成熟していきます。
[妊娠12週:Four to five months(into the pregnancy]
12週未満の初期の流産は赤ちゃん側の原因によるものがほとんどで、また努力や医療で防げるものではない。※15
When you probably first feel your baby moving.※19
[妊娠16週:安定期の開始]
16週から27週まで中期。
体調が安定している妊娠中期から、いろいろ検討して買う人も多い。※15
妊娠は病気でもなんでもないのですから、あっさりとした和食を心がけ、安定期に入ったなら、しっかり普段通りに体を動かしたほうがいいのです。※18
[妊娠18週]
18週から20週にかけて胎動を感じる※15
[妊娠20週]
胎生20週前後が神経細胞の増加によるDNA増加の第一ピーク。※16
[妊娠22週]
妊娠22週~出生後7日未満
妊娠高血圧症候群や分娩時の新生児仮死など、母体や胎児、新生児の生命にかかわる事態が発生する可能性が高まるようです。※1
22週未満まで、流産・切迫流産のリスクが。
「切迫流産」…妊娠22週未満に、流産と同じような出血などの症状があるけれど、流産には至っておらず、赤ちゃんの心拍が確認できる状態をいいます。多くの場合は問題なく、正常な妊娠の状態に戻る可能性が十分にあります。※15
22週~37週未満まで、早産・切迫早産のリスクが。※15
「切迫早産」…早産の兆候がある状態を指し、できるだけママのおなかの中で赤ちゃんが育つことができるように治療が行われます。※15
[after about 27 weeks](During the third trimester)
The baby’s length double and the weight triples. The brain grows even more quickly, and new behaviors begin to appear. ※19
[29 weeks]
A fetus will startle in response to a sudden loud noise. But if the noise repeats every twenty seconds or so, the baby learns to ignore- a sign of very early memory.
If a pleasant sound is repeated, like the sound of your voice, your unborn baby remembers this, too.※19
[妊娠9ヵ月:32週]
脳は、ほぼ成人と同じ形になり、神経細胞の数もほぼ同様になります。※16
[妊娠34週間]
産前休暇…6週間以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。※1
[37週以降]
赤ちゃんが外の世界で生きていくには、ある程度の体重と、体の機能が成熟する必要があり、それが37週以降である。※15
[出産予定日]
・妊娠40週0回(280日目)に設定※1
・標準的な妊娠期間…十月十日(とつきとおか、40週、280日)※16
・出産は人間の一生で最も死亡率が高いときです。とくに出生後2時間は危険な時間です。出生後の急変は、この時期に集中してます。
母親と赤ちゃんをふたりだけにすることを避けるべき。
妊娠、出産後しばらくは、オキシトシンの効果により、愛着に問題を抱えた女性がそれを克服する非常に重要な機会でもあります。出生後、否定的な言葉出てきたら要注意。※16
・出生時、脳は380g(大人は1250~1400g)。※16
・出産時にオキシトシンが大量に分泌されるようです。
オキシトシン
➀子宮を収縮させるホルモンで、陣痛促進剤としても広く知られているようです。
②相手を絶対的に信じ、愛情を注ぐためのホルモンでもあります。自分が産んだ赤ちゃんを見て、「どんな犠牲を払ってでもこの子を守ろう」という気持ちに自然となるでしょう。出産後も、オキシトシンは授乳中によく分泌されます。授乳するたびに、母親はわが子への愛情を強めていくはずです。※8
一方、男性の脳には、女性ほど劇的な変化は生いません。父親は子育てに参加すればするほどオキシトシンの濃度が上昇し、最終的には母さんと同じレベルに届くことがわかっています。(『Father’s brain is sensitive to child care experiences』Abraham E Heldlerら2014)※8
「恋愛はまるでわが子への愛情にそっくり」恋愛しているときの脳の活動を見ると、親が子どもに愛情を注いでいるときとそっくり。子供以外の特定の相手にもオキシトシンが注がれてしまいます。
オキシトシン(oxytocin)が分泌されると9、仲のよい人とはより強い信頼関係をむすぶようになりますが、そうでない人に対してはより疎遠になり、しばしば攻撃的になります。つまり、「親密vs疎遠」の対比が鮮烈になるのです。子育てをしている動物は警戒心が強く、近づくものを攻撃します。これこそがオキシトシンの作用です。
お父さんも「親密な相手」という枠の中に入ることができなかったら攻撃対象です。線引きの外側に置かれてしまうと、後から内側に入るのは難しいものです。万が一、外側に取り残されてしまったら、お母さんのオキシトシンの作用が落ち着くまで、待つしかない。※8
男性も女性と同じくらい泣き声を聞き分ける能力がある。ただし、子育てによく参加し、子どもと接触する時間を充分に取っている父親のみが、母親と差がなかったのです。この能力のもととなるのは、オキシトシンです。(『Father’s brain is sensitive to child care experiences』Abraham E Heldlerら2014)※8
【マタニティブルー】
日本人の産婦は、産後1週間までに約30%の確率で陥る。自分を否定せずに受け入れてくれる誰かがそばにいるだけで、その発症は軽減します。※16
産後のママの身体が妊娠前の状態に戻ろうとするためにホルモンバランスが変化し、心身ともに不安定な状態になることです。分娩直後から産後7~10日以内に一過性に起こります。産後ママの50~80%が経験すると言われています。※17
【産後うつ】
産後うつ病の母親に表情がなくなると、子どもも表情なく経過してしまうことがあります。生後2ヵ月ごろまでは顔のマネをしやすい時期なので、育児をするうえで表情豊かであることが大切です。※16
産後2~4週間頃から発症します。気分が落ち込んで急に涙が出てきたり、考えがまとまらずに不安や焦りの気持ちでいっぱいになったり、考えがまとまらずに不安や焦りの気持ちでいっぱいになったり、睡眠障害や拒食うあ過食の症状などが出てきます。その割合は産後の女性の5~10%と考えられています。
産後うつになりやすいママは責任感が強い頑張り屋さんが多いと言われています。育児書通りにならなかったり、泣きやまなかったり育児は予想外の連続です。また、家事がおろそかになることもあります。※17
【産後クライシス】
生後1ヵ月ごろに生じ、人種間、地域間に大きな差はなく15%程度発症すると言われていますが、助産師の介入で予後に大きな差ができる。※16
子どもが生まれてから、急激に夫婦仲が悪くなったり、関係が冷え切ったりする現象のようです。
きっかけとしては、「自分優先の言動」「初めての育児なのに母親ならできると思っている」「夜泣きに対応してくれない」など、産後子育てに奮闘する母親に対し、父親の意識や言動に変化が見られないことなどが挙げられるようです。※1
【ゆがんだ骨盤を正常に戻す】
[骨盤ベルト]
→産後の骨盤ケアにも有効。
妊娠期間中から出産にかけて、妊婦さんの体の中では、リラキシンというホルモンの量が急激に増えます。これは体内の靭帯をゆるめる働きのホルモンで、これによって骨盤がゆるくなります。その結果、骨盤が大きく開いて、赤ちゃんは産道を通れるようになるわけです。出産後、リラキシンが減ると共に骨盤が締まり、子宮の位置や形も妊娠前の状態に戻っていくわけですが、腰回りの筋肉や人体が弱いと、骨盤が広がったままとなり、お腹の中で内臓が垂れ下がってしまいます。
内臓が本来の位置から垂れ下がって機能が落ちるので、便秘やむくみ、尿もれなどの不調が出ます。血行が悪くなって体が冷えることも多いもの。
さらにひどい場合は、腰痛や恥骨痛で歩けないとか、起き上がるのもしんどいといった状態になる人もいます。骨盤のつなぎ目(恥骨結合や仙腸関節)が安定せずにぐらぐらして、痛みを発するのです。
出産後まだ日が浅い体は、リラキシンの影響が残っていますから、全身の靭帯がゆるんでいます。これは体のゆがみを整える上で絶好のタイミングと言えます。
この機会に、体をしっかりとケアすれば、出産前よりもしっかり整った、良い体になります。骨盤ベルトを着けて、内臓をしっかり支える。
☆骨盤ベルト着用のポイント
・薄手の腹巻を履いた上にベルトを着け、下着を履けば、トイレの際もベルトを外さずにすむ。
・ベルトの締めすぎに注意。座ったときにちょうど気持ち良い強さが最適。※20
【参考文献】
※1…『共働き夫婦最強の教科書』内藤真弓2021.10.6東洋経済新報社
※2…『LIFE SHIFT』リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット(訳)池村千秋、東洋経済、2016.11.3
※3…『20代、結婚までに知っておくべきお金の使い方』野瀬大樹、裕子、クロスメディア・パブリッシング、2011.6.11
※4…『「結婚」で人生を黒字化する』野瀬大樹、裕子、祥伝社、2010.11.5
※5…https://sitter.honeyclover.co.jp 『実家に頼れない共働き夫婦の子育て法』2021.12.8
※6…『結婚したら、やっておくべきお金のこと』中村芳子、ダイアモンド社、2009.5.28
※7…『戦略子育て』三谷宏治2018.7.12東洋経済新報社
※8…『パパは脳研究者』池谷裕二2017.8.18クレヨンハウス
※9…『あなたは人生に感謝ができますか?』佐々木正美、講談社、2012.10.29
※10…日本メンタルヘルス協会テキストより
※11…https://resettimes.com/blog/topics/column_58/2022.12.07
※12…https://daitoyakuhin.co.jp/blog/2022/03/02/
※13…『クリクラSMILEベビー』パンフレット
※14…https://ysgv.jp/waterlab/1022 産科医の竹内正人
※15…『パパと読むたまごクラブ』2023.2
※16…『人生の基盤は妊娠中から3歳までに決まる』白川嘉継、2013.8.15、東洋経済新報社
※17…『パパとママの育児戦略』NPO法人ファザーリング・ジャパン、2018.10.12 repicbook
※18…『おっぱい先生の母乳育児「超」入門』平田喜代、2010.1.5東洋経済新報社
※19…『Dr.Spock’s Baby and child care』Benjamin Spock M,D(Revised and updated by Robert Needlman M.D) Mary Mogan trust 2017.3.27
※20…『カリスマ助産師トコちゃん先生の赤ちゃんがすぐに泣きやみグッスリ寝てくれる本』渡辺信子、すばる舎、2013.12.21
※21…『科学的に正しい子育て』森田麻里子2020.1.30光文社