欧米においては1920年は狂騒の年代として記憶されているようです。
北アメリカに始まり、第一次世界大戦後にヨーロッパに広がった(第一次世界大戦で戦場にならなかったアメリカが好景気になり波及した)ムードで、ジャズ・ミュージックが花開き、フラッパーが現代の女性を再定義し、アールデコが頂点を迎え、最後は1929年の世界恐慌によって終わりを告げます。
この時代は重要な発明発見が多くされ、前例のないほど製造業の成長と消費者需要と願望の加速、および政治様式の重要な変化が起こりました。
今回はその狂騒の1920年代のムードの中、建設された二つのフランスのホテルを紹介します。
■①Le Bristol Paris■
ル ブリストル パリスは、現在パリにある5つ星ホテルです。
こちらは、ファサードとインテリアの細部はアールデコを醸し出し、後でルイ15世とルイ16世のスタイルが支配的となったデザインのようです。
こちらのホテルは、フランスが勢いづき始めた狂騒の20年代の盛りの1925年にオープンしています。有名なレストラン「Lebouflalamode」のオーナーの息子が壮大な邸宅を購入して作ったホテルのようです。
因みに、フランス料理のフェルナンド・ポワンも若き日にこのホテルで働いています。
■②Hotel Majestic Barriere■
バリエール ル マジェスティックはカンヌにあり、現在だとカンヌ国際映画祭に訪れる人が利用するので有名なホテルのようです。
こちらは1923年から建設が始まり1926年にオープンしています。
白いファサードを持ったやはりアールデコ様式のホテルとなっています。
カンヌは第一次世界大戦後、イギリス人やドイツ人の観光客と多くのアメリカ人の観光客でにぎわい始めたようです。そうして20世紀には新しい高級ホテルが次々建設された中の一つのようです。
こちらのマジェスティックは、やはり若き日のフランス料理のフェルナンド・ポワンが働いていたのと、1912年にシャネルがカペルの資金提供を受けて帽子店を開くHotel Barriere Le Normandy Deauvilleを作ったTheo Petit(1865~1930)が作っているといるというところもポイントです。
ただしTheo自身はメインのファサードと二翼を持ったデザインを考えたのですが、途中で亡くなり、1926年にオープンした時はメインと東側しかできていなかったようです。