1.チーズ総論

まずチーズについて簡単に、、、

➀チーズの分類

 チーズは便宜的に、熟成の方法と程度、また水分量・塩分量によって分類されることが多いです。

●水分量・塩分量分類

  フレッシュ:(水分50~70% 塩分4~6%)

  軟質(ソフト):(水分40~60% 塩分1.3~2%)

  半硬:(水分40%)

  硬質:(水分40%以下)※1

②チーズの作り方

 牛乳に乳酸菌(starter bacteria)とレネット酵素を入れて、ほぼ水分量が多い状態でフレッシュタイプができます。

 もう少し熟成させて、「カード」という固形状態ができてきたら、「ホエー」という液体をからカットして「カード」を取り除くとソフトタイプができます。

 38~55℃で温めホエーを更に放出させると、ハードタイプができます。※2

➂チーズの変化

・酸と塩の添加により、腐敗微生物の増殖を抑制します。

・微生物酵素がたんぱく質と脂肪分子を分化し、風味を作ります。※2

Ⅱ.ロックフォール

 ロックフォールは、

➀ロックフォールの定義

 フランスの南側にあるアヴェロン県ロック=シェル=スールゾン村で北側斜面に形成された巨大な洞窟で採取されたアオカビ(ペニシリウム・ロックフォルティ、名前とは裏腹にペニシリンは生成しないよう)を使い、この洞窟を利用した熟成庫で熟成されたもののみをロックフォールと名付けています。洞窟は亀裂をうまく利用することにより、通気が保たれ、湿度と温度が年間を通して一定になるよう設置されています。

 1925年にAOC(原産地保護)を受けています。

 羊は「ラコーヌ羊」を使います。

 とくに体毛が一部しかなく、お腹などはむき出しになっている外観です。

 洞窟がある山は「コンバルー山」です。

 石灰岩質の小高い山で、頂上が平坦でその端がそり上がっている形状を鞍(コンバロ)になぞらえて命名しました。山の頂上の平坦な地点には牧場があり、羊が草を食む姿が見られるようです。

②ブルーチーズの特徴

 アオカビによって乳脂分が分解されて生じた脂肪酸などのために鋭い風味があって、さらに乳臭さはほとんど消失。内部の隙間に繁殖したアオカビは溶けないので、かびだけが残ってざらついた舌触りとなります。

 熟成室に4~6か月間寝かすが、その間に中身一面にアオカビが広がり、ねっとりとして、牛や羊が食べた牧草の香りが現れます。やや塩味が強く刺激的な味と香りになります。

 アオカビが多いのは中心部で、外側は未熟の割合が高いです。※3

➂他国のブルーチーズとの比較

 世界三大ブルーチーズというと、ロックフォール以外には、イタリアのゴルゴンゾーラと英国のスティルトンがあげられます。

 英国のスティルトンは1730年頃にもともとダニエル・デフォーが紹介するようなチーズが有名な町であり、ロンドンからアクセスがよい宿場町「スティルトン」において、レスターシャー州の田舎で発見したチーズから発想されたものです。

 歴史という意味ではフランスの「ロックフォール」は深いようです。

 後、スティルトンとゴルゴンゾーラは牛乳から作られますが、ロックフォールは羊の乳から作られます。

 また、デンマークではロックフォールをマネて英米輸出用に開発した「ダナブルー」というブルーチーズがありますが、こちらも牛乳を使っています(癖は少ない)。

※1…『調理と理論』

※2…『McGEE on Food&Cooking』

※3…『肉・卵図鑑』 講談社