【豚肉の部位と解剖学的位置づけ ~part① 肩の外側~】

豚の枝肉で浅胸筋が肘の近くについているの、そのラインをカットし、開いていくとマクラ(上腕二頭筋)が見え、上腕骨の方の付け根に沿って行くとトウガラシ(棘上筋)が見え、さらに肩甲軟骨のラインまで行くと、外すことができます。 牛肉を参考に部位を細かく考えると以下のよう。 スネ(橈骨筋群):固いがスジが多いため、じっくり煮込むとトロトロになる。 マクラ(上腕二頭筋):肉質は粗目で、硬めのため、スライスする。 ニノウデ(上腕三頭筋短頭):筋と液窩動脈が走っており(因みに放血する際は一番有用な場所)、じっくり煮込むことがオススメ。 トウガラシ(棘上筋):英語でチャックテンダーと呼ばれるように基本的には柔らかい。ただ、大き目な筋があるのでそれを的確に処理する必要がある。 ウワミスジ(肩甲下筋、大小円筋):肉質は柔らかいが薄っぺらい上、筋も入っているため、上手く処理する必要がある。 ミスジ(棘下筋):肩甲骨の骨肌がついているのが特徴。このおかげで、肩甲骨からはがすときは肩甲骨嶺さえ外せば手でも外せる。骨肌は肉を良い状態で保つ作用もある。サシが入っていて柔らかい。 肩三角(クリ、しゃくし:上腕三頭筋長頭):肘に繋がる太い筋があるがそれを取ると非常に柔らかい。和牛だとサシが多いのもあるが、赤みが多いのもある。 小三角(大小菱形筋):肩三角に少し多い被り、みすじの下に位置する。サシが入っているので柔らかい。 カッパ(僧帽筋の下部):これは薄いので食べることは他の場所と一緒にスライスするときくらい。豚は薄いが、マトンは面積が大きい様子。

【豚肉の部位と解剖学的位置づけ ~part② 肩の内側~】

豚肉の丸の場合、胸骨を右か左かに沿ってカットし胸を開くと、胸骨のラインと肋骨のラインにから上腕部付け根と上腕部の肘に繋がった筋肉がある。順番としては、上腕部肘を切ってから、胸骨と肋骨のラインにそって剥がし、上腕部付け根までカットすると、いわゆる「肩バラ」が取れる。普通は、頸部までカットして肩ロースまでくっつける。 肩バラは、「三角バラ」と「ブリスケ(ポイント)に分かれ、「三角バラ」は僧帽筋、「ブリスケ(ポイント)」は胸筋に相当する。 「ブリスケ」とは「ブリスケット」の事で、肋骨に沿う筋肉のお腹側のものの事を言う。それを先端側(大体肋骨4~5本のラインが境界)だけ切った部分のことを「ブリスケット ポイントオフ」(ポイントとは「先端」の意味)と言う。 「ブリスケ(ポイント)」は、筋繊維は粗く硬めだが、サシも程よく入っているのと、肋骨に多く接するためかコラーゲンを多く含み、噛めば噛むほど美味しいとも言われている。 加工の際は、胸骨から肘を繋ぐ「浅胸筋」と、胸骨・肋骨と上腕骨頭を繋ぐ「深胸筋」で構成されていて、この二つは繊維の方向が違うため分割する必要がある。

【豚肉の部位と解剖学的位置づけ ~part③ ヒレ肉と寛骨~】

腹部と大腿筋の繋がりを開き、腹部を開いていくと腸骨の上側が見える。そして背骨の肋骨が終わった胸椎12番目と腰椎1番目があるところの横突起のお腹側に大腰筋と小腰筋がある。この筋肉は腰椎の横突起(腰椎の横突起は真横に広めなのが特徴)に乗っかるような形で仙骨付近まで行き、その後寛骨の中を通り、大腿骨の付け根まで繋がっている。それを座骨の上側のラインに沿ってカットするとヒレ肉になる。因みに、ヒレ肉は内モモの一部と繋がっている。 ヒレ肉を外した後、腸骨の上側のラインに沿って開いてき、仙骨の付け根をそのラインにそって分断する。そして、寛骨を下から、坐骨の上側ラインで内ももを切り離し、その繋がりで芯玉を外していき、腸骨の上側のラインにそってランプを外していく。そうすると、寛骨がむき出しになる。 イラスト3枚目…人は直立二足歩行のため坐骨が手前にあり、腸骨が奥にある配置になる。しかし、牛や豚などは4足歩行のため、腸骨が手前側にあり、坐骨は奥側に位置する。寛骨の形態は坐骨が描く三角と、腸骨・仙骨が描く三角をイメージすると把握しやすい。 イラスト4枚目…ヒレ肉は、大腿骨の付け根に停止し、坐骨を越えて、腸骨の間を通り、腰椎の横突起に乗っかるようにして存在している。始まりは肋骨の終わりの椎体から始まり、大体その手前側に腎臓がある。豚肉の枝肉だとその付け根辺りにケンネン脂があり、それをはがすと腎臓があり、それを取り除くとヒレ肉が見えていくる感じ。ケンネン脂は牛ではスーパーの牛脂として並ぶことが有名。

【豚肉の部位と解剖学的位置づけ ~part④ モモ肉(外モモとランイチ)~】

背骨の仙骨との付け根の部分を腸骨の上の部分のラインにそって切り離すと、寛骨とそれにくっついた腰と足の骨と筋肉がついてくる。寛骨は、腸骨・恥骨・坐骨の3つに分けられ、腸骨から始まる筋肉を「外モモ」、恥骨から始まる筋肉を「シンタマ」、坐骨から始まる筋肉を「内モモ」と筋肉も寛骨の接続部分に伴って分類できる。また寛骨に沿って筋肉を外し、更に大腿骨を外すと「モモ肉」となり、それらを筋膜にそって別けていくと「外モモ」「シンタマ」「内モモ」に別かれる。丁度、坐骨と恥骨の間の部分辺りに「縫工筋」が走っていて、それの筋肉は薄く、割ると「内モモ」と「シンタマ」の境目の筋膜が出て来る。また、その筋膜を開くと大腿骨が見えるため、外すこともできるが、アキレス腱の方から脛骨と腓骨を開き、膝蓋骨を取ってから大腿骨に至る方が簡単に外すことができる。骨を外した後、「内モモ」の「外モモ」にくっ付いている筋膜をはがしていくと「シキンボ」という半腱様筋が見えてくるため、それの外側に沿って「内モモ」を外していく。「外モモ」と「シンタマ」は、腸脛靭帯という太い靭帯が境目になっているため容易に外せるが、靭帯に沿って上の方まで外していくと「外モモ」のランプの部分まで外れてしまうため、通常は恥骨が走っていたライン当たりで「シンタマ」を外してく。更に「外モモ」も「シンタマ」を恥骨が走っていたラインに沿って分割していくと「ランイチ」と「ナカニク」に分かれる。「ナカニク」は下の方に「ハバキ」というヒラメ筋など脛骨・腓骨に着いた筋肉もついているため外す。因みに「ナカニク」とは大体大腿二頭筋の事で腸脛靭帯が脇に走っている強い筋肉で「ハムストリングス」とも言われ、骨盤を立たせるバランスをとることに役に立っている。大腿二頭筋は脛骨の上部から腸骨辺りまで走っているが、大腿二頭筋の上部は「イチボ」、真ん中から下は「ナカニク」と言って分けて考えることが多い。また「ナカニク」も大腿二頭筋の長頭と短頭と「シキンボ」が付属している。人間は大腿骨の下部辺りで長頭がほぼ真っ二つに分かれて脛骨に着くが、牛や豚は四足歩行のため真上に立たせる力はあまり必要ないためか外寄りに偏って割れている。そして、短頭側の方に「シキンボ」という半腱様筋がくっついてるため外す。「ランイチ」は、上記の大腿二頭筋長頭の先端である「イチボ」を外して「ランプ」と呼ばれる部分になる。「ランプ」は仙骨から腸骨まで幅広いラインから始まるが全て大腿骨の大転子にくっ付くことが特徴。大腿二頭筋がくっ付いていた腸骨の外側に平らな赤みのお肉がついていて、これが「ランボソ」と呼ばれ「中殿筋」である。また腸骨の真ん中から仙骨まで広く拡がった丸い赤みの筋肉は「ランプ」と呼ばれ「大殿筋」である。更に腸骨の奥深くにくっ付いた細長い筋肉は「ネクタイ」と呼ばれ「小殿筋」である。更に本来は腸骨の内側から走っていた「腸骨筋」は「メガネ」とか「かぶり」と呼ばれ、「ネクタイ」の上についている。残る「シンタマ」は大腿四頭筋の事で、大腿骨に広い面積でくっ付いていた内側広筋という「マルカワ」から外す。そうすると、棒状の大腿直筋である「シンシン」が見えるため外す。さらに「シンシン」の下に中間広筋である「カメノコ」が見えるため外す。そして、外側の「トモサンカク」という外側広筋と大体膜張筋がくっ付いた筋肉を外すと、牛肉の希少部位の分解まで完了する。

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