世界三大ブルーチーズのひとつであり、食べると変な夢を見るという研究報告もある「スティルトン・チーズ」。
この「スティルトン」とは、イギリスのロンドン北部にある宿場町の名前です。
でも、作られているのは「スティルトン」ではありません。
ではなぜ「スティルトン」と呼ばれているのでしょうか?
そこには、以下のようなストーリーがあります。
昔々、1730年、経済学者アダム・スミスが生まれた時代辺りに、パルメザンチーズで有名な「スティルトン」という村がありました。
その村で「ベル」という旅館を営んでいるオーナーがいました。
そのオーナーはある日、旅行でレスターシャ―州の田舎の小さな農場を訪れました。
するとその小さな農場で、今まで出会ったことのない特徴的なブルーチーズが出されました。
オーナーはそのブルーチーズを食べたら感動しました。
余りの感動のあまりに自分の旅館で、このブルーチーズを売り込むことを決めました。
すると、もともとパルメザンチーズを目当て手できた旅行客も多い村であったため、チーズに関心を持っている人も多く、このオーナーが見つけてきた特徴的なブルーチーズはたちまち噂になりました。
そして、この「スティルトン」という村は、ロンドンから北部の都市ヨークへ向かうグレート・ノース・ロードという大通りの途中にある宿場町であったため、たちまちこのブルーチーズは「スティルトン」村だけでなく、ロンドンにまで噂が広がりました。
当時は今以上にイギリス中の誰もが憧れる都会であった「ロンドン」で注目を浴びるという事は、イギリス全土で注目を浴びるという事になりました。
そうこうして、この特徴的なオーナーが見つけたブルーチーズは、いつしか村を代表するチーズになり「スティルトン・チーズ」と呼ばれるようになりました。
以下、「スティルトン・チーズ」の情報。
世界三大ブルーチーズのひとつ。
「スティルトン」とは、ロンドンとイングランド北部のヨークを結ぶ幹線道路(グレート・ノース・ロード:18世紀には駅馬車の主要ルート)にそって発展した宿場町の名前に由来する。
1730年、スティルトン村で「ベル」という旅館を営んでいたものがレスターシャ―の田舎の村にある小さな農場を訪問した際、出会った特徴的なブルーチーズにほれ込んで、グレート・ノース・ロードを行き来するお客さんに独占的に売り込んだことから有名になったことから。
ロビンソン・クルーソーで有名な作家ダニエル・デフォーの英国を巡るツアーという作品では、1724年にチーズが有名な村としてスティルトン村を紹介しているところをみると、もともとチーズが有名な村であったようで、そこにこのレスターシャ―で見つけたこのチーズを売り込んだようだ。
そのため、チーズの名前は「スティルトン」だが、チーズがつくられる場所は「スティルトン」一帯ではなく、「レスターシャ―」州の周辺3州でつられたものである。
世界三大ブルーチーズともなっているので生産には厳格な決まりがある。
特徴は、表の皮が茶色がかっており、大理石のように青カビが広がる。青カビのピリッとした刺激が強く、熟成するとコクが増し香ばしい味わいも持ち合わせる。ブルーチーズの中では水分が少なめでシャープな味わい。
ポートワインの肴として食べられることも多いという。
ポートワインとは、18世紀にポルトガルのポルト港からイングランドに大量輸出されたワインであり、18世紀にスティルトン・チーズが広がった時期と歴史的な繋がりを感じる。
またイギリスの作家チェスタートンは、チーズにまつわるエッセイでスティルトン・チーズに関するソネットを書いている。また、ジョージ・オーウェルは1945年12月に発表したイギリス料理に関するエッセイで“In Defence of English Cooking”の中で、「世界最高のチーズ」としてスティルトンを挙げている。