ミートセラピー 食のフィールドワーク UNCATEGORIZED 日本

最近、「菖蒲」は郊外の商業施設の拠り所として目をつけられてきています。

2008年「モラージュ菖蒲」を皮切りに、今年に入って「ロピア」と「ヤオコー」というスーパーマーケットがほぼ隣に出店しています。

そのため今回はこの地に「食」のフィールドワークに来たのですが、その前に簡単になぜ「菖蒲」が注目されてきたのかの流れの僕なりの仮説を述べてから、「食」の紹介に入りたいと思います。

■①「菖蒲」周辺の都市化と、その都市を結ぶ「郊外」としての「菖蒲」の誕生■

「菖蒲」は、大宮で「Yの形」に別れた「①東方北方面」と「②上越方面」へ向かう道路と線路の丁度中間になる位置になります。

発展としては、【①東北方面】では「宇都宮線」と「東北新幹線」「東北自動車道」を中心に「久喜」「鷲宮」などが、【②上越方面】としては「17号」「高崎線」「上越新幹線」を中心に「上尾」などが発展してきました。

この2方面がある程度の「都市化」が進んだのはここ「30年」くらいの話で、それに伴い「ニューシャトル」や「122号線」など【③(東北方面と上越方面の)真ん中の場所】の開発も進められてきました。

そして昨今、【①東北方面】と【②上越方面】が「都市化」して時間が経ち、【③真ん中の場所】も「伊奈」など大宮に近い場所は住宅街として栄えてきました。

そこで①②③の都市を結ぶ郊外として最近「菖蒲」が目をつけられてきたのだと思います。

■②注目される「郊外」としての「菖蒲」■

冒頭で最近「商業施設」が台頭してきたと述べましたが、実はそれより前に「物流施設」が台頭してきていたのです。

現在「モラージュ菖蒲」がある建物の周りには多くの「物流施設」がすでにあります。特にここ10年の間に「圏央道」が上尾方面から久喜方面まで繋がり(2015年)、また122号線が多少場所を移動して車線を広げたりと、道路の整備がなってきたため、より重要な場所になっています。

また「圏央道」の開通にともない「菖蒲パーキング」も2015年にでき、関越自動車道と東北自動車道を結ぶ高速道路の間にあるパーキングとして「全国」のご当地グルメや農産物を備えたパーキングができています。おそらく、本当に高速で全国から運んでご当地グルメ・農産物を運んで来れるのでしょう(またイベントスペースやイタリアボローニャ発の「セガフレード・ザネッティ・エスプレッソ」などハイグレードでお洒落なレストランも出店しており、多くの人が集まる拠点として注目されているのだと思います。

そしてその物流システムを活かした魅力的な品ぞろえを備えた「商業施設」が、2008年の「モラージュ菖蒲」を皮切りに、今年に入り「ヤオコー」などが出店してきたのだと思います。

ただ、忘れてはいけないのは、住宅地の発展はこれからであり、今までは農村地帯に「物流」や「商業」施設が進出してきたということです。そのため、「農作物」も強いのです。

菖蒲パーキングの名物として、「薪あげ」というお菓子があります。こちらは埼玉県一番の米どころ加須市の早川農場からのお米を使った銘菓となっています(因みに作っているメーカー・高砂製菓は久喜白岡JCTにあり、工場直売場もそこにあります)。

ですので、今回の「食」のフィールドワークは「全国からの物流」と「郊外として集客する魅力的な商業施設」と「地元の農作物の生かす道」、この流れが根底にあることを念頭に考えると面白いフィールドワークとなると思います。

zモラージュ菖蒲①ヨークマートz

2008年にできた当時埼玉県内第2位の規模のショッピングセンターとして誕生しました。その中核にあるのが「ヨークマート」となります。

「ヨークマート」はもともと生鮮食品と嗜好品が強く、今回は特にショッピングセンターとして意識して「青果コーナー」ではカットフルーツだけでなくフルーツを使ったスイーツなども展開しみて楽しい売り場となり、「精肉コーナー」では店内で加工していることを強みに様々な厚さのカットや盛り合わせ(ハラミとタン、ロースと豚トロなど)があり、「鮮魚」も刺身の盛り合わせの種類が非常に豊富です。(ただし、最近改装しており、開店当初の状況は分かりません)

Zワインも充実しているのですが、日本酒、特に地酒にこだわっています。上記の写真のお酒は全て「菖蒲」の隣である「加須市」と「久喜市」のお酒となっています(「彩の国のお酒」というPOPが付いていました)。右の2つは「力士」というメーカーで、特にことPOPを使って紹介していました。

以下、右から1番地として紹介します。

①『力士 にごり酒』・・・1748年に創業した加須市の「釜屋」という酒造が作っています。中山道の宿場町であった地に、武蔵野の優秀な酒米と利根川からとれる豊富な水を有効に利用して創業しました。中山道と日光街道などで大商圏江戸を近くにする地の利から発展していきました。1785年には銘柄「力士」(名前の由来は中国歌人李白の一節からで、李白も磁器の名陶工「力士」が作った酒器を愛していたようで、その陶工の名前に由来します)作っています。 こちらの『力士 にごり酒』は、にごり酒であるため甘くて濃厚ですがとてもすっきりとしていてヨーグルトにも近い感じがして、面白いです。

②『アロス』・・・こちらも『力士』同様「釜屋」が作った新しい挑戦です。国産の米を原料としワイン酵母で作ったお酒で、白ワインのように甘くて酸味がありますがしっかりと米の味がするというこちらもユニークなお酒です。

③『亀甲 花菱』・・・もともと騎西町で現在は加須市に位置する酒造「清水酒造」が作ったお酒です。19世紀末に創業していて、田園地帯の中に位置する酒蔵です。現在も設備を近代化せず手造りにこだわっています。程よい米の旨みとしっかりとした酸を含んだ均整の取れた辛口の酒質。

④『樽酒』・・・久喜駅前にある「寒梅」が作ったお酒。創業は1821年。
吉野杉の香りがほんのりとする本格的な樽酒。酒本来の旨みもしっかりと味わえます。

※さいたまは蔵元が46銘柄もあり全国で生産量8位、関東信越国税局鑑評会で12銘柄が金賞と地酒が盛ん(データは2000年を参照)。

zモラージュ菖蒲② 農産物直売店 わくわく広場z

モラージュ菖蒲には二階に「わくわく広場」という地元の農産物を始めとして全国のこだわり農産物が品ぞろえしている農産物直売所があります。

しかし、個人的には農産物より、地元のパン屋さんや惣菜屋さんなどの商品が販売されているところが興味を持ちました。

z加須市の『長沼精肉店 のメンチカツ』。加須駅北口の方面にある精肉店で、全国コロッケグランプリで2013年と2017年に金賞を取り、加須ブランドに認定されています。衣はサクサクしていますが、中のお肉とタマネギがものすごくふんわりとしていて強い弾力を持った中味です。味は濃すぎず肉とタマネギの味をふわふわの食感で食べらるコロッケとなっています。 創業は半世紀前で、メンチカツは当時は精肉として商品化できない部分をメンチカツにしていた肉屋の風習の中、メンチカツのためにお肉を用意することで支持されたようです。ただグランプリを取ったメンチカツはその後後継者などによって試行錯誤されたものです。

2019年3月22日にオープンしたお店です。HP『流通ニュース』の2018.11.12の記事によるとヨークマートと共存するために出店しようとしたところ、ロピアが急遽出店になったと語られています。

生鮮が強く、非日常を作るスーパーとしてヨークマートと共通点も多いヤオコーですが、ヨークマートはどちらかというと「地元の密着(地酒や地元の農産物)」に力を入れているのに対して、ヤオコーは「多くの人に受け入れやすいイタリアンによって非日常の形成」を行ているように見えました(ただし、そのようなことは記事などで目にしていないので、あくまで筆者の感想です)。

HP『流通ニュース』の2018.11.12の記事では生鮮の強化と語られていましたが、惣菜や寿司・ベーカリーが別空間を作っているようなコーナー化がされていました。特にベーカリーは「北イタリア仕込みのモツァレラチーズピザ(マルゲリータ)」など、以前から北イタリアのパネトーネやフォカッチャの開発などを行っていましたが、今回はその強みを更に押し進めたように感じました。ワインコーナーにおいても得意の直輸入ワインでイタリアのマニアックなワインも品ぞろえしてあり、更にパスターコーナーは他のスーパーでは見たことのないようなイタリアの輸入品のパスタが数多く品ぞろえして特性まで書かれています。またオリーブオイルコーナーも「手摘み」「早摘み」「コールドプレス製法」などこだわりのポイントが書かれて多くの品ぞろえがありました。チーズはイタリアのは少ないですが品ぞろえも多いです。

また有機農法など安全に気を使われた商品が多く取り扱われているのも注目です。「青果コーナー」では地元野菜コーナー近くに「有機野菜コーナー」がありました。

ロピアとモラージュは122号線沿いにあります。

現在は122号線は4車線の広い道路となっていますが、少し前まではあまり広くない西側にある道路でした。こちら沿いにマミマート菖蒲店があります。また現在は最近閉店してしまいまたがヤオコー菖蒲店もこの旧122号線沿いにありました。

『深谷育ちのたまご』が取り扱われていました。

おまけですが、梅林堂も菖蒲にも店舗がありました。

梅林堂は現在熊谷市に本社を置く銘菓店です。

1864年、埼玉県大里郡出身のものが上方で修行を経て、中山道沿いに旅人向けの茶屋を開きました。明治期に入り、熊谷周辺に製紙工場が数多く進出し、料亭や料理店のためのお菓子のお土産の需要が拡大し販路や規模を拡大しました。1897年、江戸時代から桜の名所として知られる熊谷にふさわしいお菓子として「荒川のさざれ岩」に見立てた「荒川さざれ」を作りました。一時は熊谷の銘菓となりました。1965年の深谷市から多店舗展開を始めています。

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