かつて正岡子規は、1894年12月錦糸町から佐倉に総武線が開通した初乗りとして「佐倉の地」に訪れています。
佐倉駅から見える北側の盛り上がった台地(佐倉城がある)をみて「霜枯れの見上ぐる野道かな」と詠んでいます。
また佐倉城があった跡をみて「常盤木や冬されまさる城の跡」と詠んでいます。
日清戦争の途中だった頃でもあり、海隣寺においては清国人の捕虜収容所となっていて、その前も通ったりもしています。
記録には残っていませんが、かつて城下町として栄えた佐倉の地で、食べることが好きな正岡子規は、「食」についてどのように考えたのでしょうか?
さて、今回は正岡子規はJR佐倉駅から佐倉城を目指していますが、京成佐倉駅から佐倉城跡を目指し、その後JR佐倉駅まで「食」を探す旅に出たいと思います。
■京成佐倉駅■
さて、京成佐倉駅におりると北口側にはロータリーと佐倉ミレニアムセンターという市の施設があり、住宅街が広がっています。佐倉は全体的に新しい住宅と昔ながらの住宅が混在していて、駅前や通りにマンションが多く、少し離れると古い住宅街が多い雰囲気があります。
また台地であるため、地形のアップダウンが多く、地形と利便性に沿って開発した感じがあります。
■トウズ京成佐倉店■
北口を少し歩いていくと、「トウズ京成佐倉店」があります。
「トウズ」は1984年にこちらに佐倉1号店を築き、本社もこちらになるそうです。その後、八街や白井など千葉の佐倉を中心に展開しているスーパーです。千葉県のスーパーだけあって、千葉で生産された商品をブランドとして販売しています。
青果コーナーでは、近くの「山万ユーカリが丘ファームのトマト」がおいてあります。山万ユーカリが丘ファームはビニールハウスで徹底的な温度管理と清潔感を保ち、生産量は多くないものの高品質なトマトを生産しています。「佐倉きのこ園のきのこ」も特集されていました。
鶏肉コーナーでは千葉県産の若鳥を取り扱い、(地元ではないのですが)岩手県産のアマタケの鶏肉と生卵も扱っていました。豚肉コーナーでは定番豚として香取市の元気豚を扱い、銘柄豚として恋する豚研究所を扱っていました。
米のコーナーでは多古米を扱っています。
■896 ヤチクロバーガー■
南口には、ヤチクロバーガーという2018年9月にオープンしたハンバーガー屋さんがあります。
八千代黒牛を使ったハンバーガー屋さんです。バンズは染井野にある「マルスベーグル」(佐倉市染井野の夫婦ふたりでやっている小さなベーグル屋さん)のものを使っているようです。
最近オープンしただけあって、フォトコーナーや学生用メニュー、クラフトビールなど色々ポイントも充実しています。
八千代黒牛とは、八千代牛と合わせて、発育増進を目的とした薬剤の禁止や千葉県北部酪農農業協同組合が定めた安全性が確認された飼料のみを使用して育てられた千葉県のブランド牛となっています。
八千代黒牛は、ホルスタインと黒毛和牛の交雑牛です。
■佐倉城■
さて「食」のフィールドワークとは横道にづれますが少し佐倉城に触れます。
佐倉城は「馬の背」と呼ばれる台地を利用して作られた石垣のない近世城となっています。更に周りに印旛沼から流れてくる鹿島川などがあり、自然が必然と守りと城下町の運営に役立ったのです。城は1611~1671年にかけて完成し、本丸などに庭園樹を植え雄大な風格をあらわしたそうです。周りに石垣を作る材料が豊富になかったため、石垣を使わない珍しい近世城郭となっています。
二ノ丸御殿は幕末期には老朽化し、三の丸に新御殿が作られそこが藩主の住まいとなりました。堀田正睦も三の丸にて亡くなっています。
1813年盗人の行灯が倒れた事から天守が燃えて再建されませんでした(ちょうど第五代藩主正睦が生まれた頃)。
明治維新後は陸軍が使用し、佐倉陸軍病院は1874年にできています。1965年までテラスをはいした洋風病棟が残っていました。
因みに佐倉城のある台地にある佐倉高等学校は長嶋茂雄の出身校のようです。
■木村屋■
1882年、銀座木村屋の2号店として佐倉市のパン屋として創業しました。現在は和菓子屋として、伝統の味を守り続けています。
木村屋の銘菓「蔵六餅」。
由来は、佐倉藩主堀田家に300年も昔から亀の甲の形をした「蔵六石」が大切にされていて、それを基にしています。
蔵六餅時代は、1954年佐倉が六町村合併した折に佐倉市が「亀のように末永く発展しますように」と願いを込めて発明した餅入り最中です。
色よってあんこに違いがあります。
■佐倉 小川園■
明治維新後、廃藩置県により佐倉藩士を養うために栽培が始まった「佐倉茶」。一時は大産地となったが、静岡などの競争により押され、落花生などの生産にシフトされ、現在では小川園など数件のみが栽培。
水色・香気・渋味を丁寧に強火で仕上げたお茶。深入煎りであるの特徴です。
■ららポーク■
こちらは以前からとんかつ屋さんだったようですが、何度か改装し、現在は「地産地消」を謳った地域密着型のトンカツ屋となっています。
今回は「アボカドポーク」を味わいました。
「アボカドポーク」とは千葉県香取産の豚肉で、肉質は柔らかく旨味に富み、脂身は融点が低くさらりとして甘みがあるのが特徴です。脂身には餌であるアボカド由来のオレイン酸を多く含み豚肉特有の臭みが全くありません。
「アボカドポークのとんかつ」。とんかつですが脂身がしつこくなく美味しく食べられます。肉自身にも甘みと旨味があって美味しいです。
「佐倉 日本サーナのハーブソース」。国産の野菜や果物を煮込んでできたエキスに厳選され18種類のハーブを混ぜ合わせたフレッシュでマイルドな濃厚ソースで、トンカツにかけてもとんかつの味にさまざまな味わいが付加されて面白いです。
「アボカドポークの炙りトントロ」。アボカドポークはトントロとそれを炙ったものもおススメです。脂身がさらしとしていて甘みがあるため、トントロでもしつこくなく、美味しく頂けます。おつまみに最適です。
お土産に、佐倉ヤマニ味噌を使った「みそ煎餅」やヤマニ味噌の「あまざけ」、八街生姜ジンジャエールなど地元のものがチョイスされているのも嬉しいです。
■いなげや■
JR佐倉駅の北口にあります。
志津駅でも見かけた「ひまわり」というローカルメーカーの佐倉銘菓「房総ぼっち」という落花生を使ったどら焼きが地元銘菓としておかれていました。
「千葉 市原の姉崎だいこんを使ったおろしソース ハンバーグ」。姉崎は冬になるため雪などによりとても冷たくなり、それがダイコンの糖度を高める結果となります。富士の火山灰によってできた地質のため大根が横に広がるのも特徴です。
千葉県酒々井町(佐倉の東側)の地酒『北総の辛口』です。
江戸時代から300年の歴史を持つと言われている「飯沼本家」という酒蔵が作っています。
「さらっとした口当たりと、すっきりとした爽快な味わい」の本格辛口酒のようで、ホントに飲むとさらっとしてすっきりとしているが、どことなく「芯」があり辛口を感じる爽快と言うのに相応しいお酒でした。
こちらの「飯沼本家」は「上質な田舎」の実現をコンセプトとしていて、「上質」とは最先端・現代的・洗練とされたという意味合いを持たせているようで、未来を考えた取り組みを多く行っています。
まず若い人に飲んでもらいたいと考え、若い醸造家も積極的に働いてもらっているようです。また、「きのえね農園」という農園をすぐと隣で経営していて、お酒に使う酒米はもちろん、お酒の「肴」も生産していく心構えがあります。更に「まかり家」というアートの企画展なども行っているスペースも運営していて、お酒の肴として上質な芸術を見るというまさに洗練した取り組みも行っています。
もちろん伝統や古きも大切にしていて、古くからのブランド「甲子正宗」があり、更に長年使った酒袋を財布としてリメイクし販売したりしています。
南口にはビックエーやライフなどもありました。